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2017年

11月

06日

新築の家を借りた人は新築の家を返さなければいけない?(借家の原状回復義務)

1.原状回復とは何か

(1)原状回復に関する誤解

 「原状回復というのは、借りた当初の状態で返す」という誤解が、貸す方も借りる方にもあるような気がします。

 

 貸主は、原状回復なのだから「ともかく元に戻してくれ」といいだします。ここが壊れたから直してくれ。ここは古びてきたにから新しいものに替えて返してくれ。際限なく注文をつけて最終的には貸したときと同じ状態で返すことを貸主は要求します。

 

 借主も、土地上に設置したものを撤去して、整地して返す土地の賃貸借のイメージが強い。そのせいか、借家についても借りた当初の状態で返さなければいけないと思い込んで、貸主の要求を受け入れてしまいます。

 

(2)自然損耗するものの原状回復

 原状回復に関する誤解は、土地のように使用しても通常その使用価値が下がらないものと、家屋のように使用した経過年数によりその価値が低下していくものとを、同じように捉えるところにあるのではないでしょうか。

 

 したがって、使用することによってあるいは時の経過とともにその価値が下がるものの原状回復は次のように考えるのが適当です。

 「通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化をのぞいた損傷」がある場合には、その損傷についてのみ借り受けたときの原状に戻して返せばよいことになります。(改正民法621条、平成29年法44をいう以下同じ)

 

 つまり、通常に使用している場合には、賃貸借契約の終了時にはそのままの状態で返還すればよいということです。

 ただし、借りて使用していた人(賃借人)の故意・過失、善管注意義務違反や通常の使用を超える損耗・毀損があれば、それを復旧する必要がでてきます。

 

2.原状回復特約とその有効性

(1)原状回復特約とは

 上で述べたように使用することによって自然にその価値が低下するものの原状回復は、原則として通常使用をしていれば賃借人はそのまま返せばよいのです。

 しかし、通常は賃貸人が負担すべき自然損耗などによる原状回復費用を賃借人が負担するという約束をすることがあります。こうした契約条項を原状回復特約と呼んでいます。

 

(2)原状回復特約の有効性

 本来は賃貸人が負担すべき自然損耗に対する修繕費などを賃借人に負担させるのは、著しく不公平であるので、公序良俗に反して原状回復特約は無効ではないかと見ることもできます。(民法90条)

 

 この点について、判例は契約自由の原則から特約は有効であると判断しています。(最高裁判所平成17年12月16日判決)

 とはいえ、特約が有効と判断される基準は厳格に制限されたものとなっています。

 

(3)消費者契約法から見た原状回復特約の有効性

 消費者契約法10条は「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」を定めています。

 この定めに原状回復特約が該当し無効であるという最高裁判所の判決はまだありません。

 

 地方裁判所段階では消費者契約法10条を根拠とした無効判決がいくつかでています。

 最近のものでは、京都地方裁判所の判決(平成16年3月16日)においても、原状回復特約は消費者契約法10条によって無効であるとしています。

 

3.まとめ

 原状回復義務とは必ずしも借りたときの状態そのままで返却する義務ではありません。ただし、契約で自然損耗分も借主の負担とするという特約がついている場合には注意が必要です。

 表題に掲げた極端な例を考えていただければこの理屈はお分かりになったいただけるとおもいます。新築の家を借りたからといって20年使用した後、新築の家を返す必要はないというのは明白です。ただ、契約時にそうすると約束すれば話はまた別ということです。

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2017年

10月

29日

ちょっと待ってその成年後見制度利用(事業継承と成年後見)

1.成年後見制度利用の開始と終了

(1)利用の開始(民法7条ほか)

 成年後見制度利用を利用するには配偶者や4親等内の親族などが家庭裁判所に申し出て審判(許可)をえなければなりません。

(2)利用の終了(民法10条ほか)

 原因が消滅したとき、配偶者や4親等内の親族などの申出によって家庭裁判所は審判を取り消します。

(3)任意終了の禁止

 相続の遺産分割協議や定期預金解約などにともない後見人が必要となり、成年後見制度を利用しなければならなくなることがあります。
 しかし、当初の定期預金解約などの手続が終わったからといって、成年後見制度の利用を勝手に終わらせることはできません。

 制度利用が消滅できるのは判断能力が回復した場合にのみ、家庭裁判所の許可をえて制度の利用を終了できます。そうでない限り本人が死亡するまで制度利用を義務づけられます。

 必要のときだけちょっと利用して、それ以外は利用しないということはできない制度設計になっています。

2.成年被後見人等の社会生活上の不利益

 制限行為能力者として審判を受けると社会活動の制限を受けることになります。
 問題なのはこの活動制限は一時的なものではなく、長期に継続するという点です。

 例えば、私は現在行政書士の登録を受けて行政書士の業務をおこなっています。
 もし、私が成年被後見人の審判を受けますと、その後この審判が取り消されるまで行政書士の業務を行うことができなくなります。
 (行政書士法2条の2第2号、7条第1号など)

 今回は次項において会社役員の地位の制限についてみてみます。

 社会生活上の不利益の不利益については以前書きました次のブログなどを参考にしてください。
 ブログ:「法定後見を受けることによる社会生活上の不利益

3.成年後見制度による会社役員の地位の制限

(1)株式会社の場合(会社法331項第2号)

 成年被後見人、被保佐人は取締役となることができません。
 したがって、成年被後見人の審判を受けると判断能力が回復したと家庭裁判所が判断するまでずっと取締役になることはできなくなります。当然、代表取締役(社長)になることもできません。

(2)持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)の場合(会社法607条1項第7号)

 成年後見人の審判を受けると自動的に社員(役員)でなくなります。持分会社では株式会社とは違い、被保佐人は含まれていません。
 ただし、その場合でも定款で別に定めた場合は社員を続けることができます。

(3)事業継承における不都合と対策

①不都合
 たとえば、現職の代表取締役が認知症で成年被後見人の審判を受けてしまいますと、強制的にその地位を奪われてしまいます。こうした状況は事業の円滑な継承の妨げになる場合も出てきます。

②対策
 不都合をさけ円滑な引継をするためには、早期の事業継承活動や任意後見制度、個人信託の検討も必要になります。

4.まとめ

 成年後見制度は都合のいいときに一時的に利用するということはできません。会社の役員にとどまることができないということを念頭に制度の利用を検討するべきです。

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2017年

10月

10日

相続財産に土地がある場合には登記以外に届出も必要になることがあります。

1.土地相続における登記制度と届け出制度

(1)不動産登記

 不動産は登記しなければその権利を当事者以外に主張できない。ということをご存じの人は多いと思います。
 たとえば、自分の土地を売ろうとする場合に買い手にこの土地は自分の土地だというにはその土地を自分名義に登記しておく必要があるわけです。(民法177条)
 土地を相続によって取得したときにはその旨を登記する必要が出てきます。
 とはいえ、不動産の登記は必ずしなければいけないわけではなく、登記をしなくても罰せられることはありません。
 登記にはお金がかかるため登記をしない人もいます。相続が何代も続き所有者不明の状況が発生し問題になっています

(2)農地・森林の取得の届け出

 相続した土地が農地・森林であった場合には、登記以外に届け出が必要になります。
 この届け出は義務であり、義務を果たさない場合には罰則があります。
 以下に相続した農地、森林についての届け出についてみていきます。

2.農地相続による届け出

(1)農地法に基づく届け出

 通常、農地を所有するには農業委員会の許可が必要です。(農地法3条1項)
 しかし、例外として相続による農地を取得する場合には届け出るだけで許可は必要ありません。(農地法3条の3)
 相模原市ホームページ:http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/sangyo/nougyo/016037.html

(2)届け出の期限

 法文上は「遅滞なく」農地のある市町村の農業委員会に届け出なければならないとなっていて、いつまでという期限は明示されていません。
 おおむね10ヶ月以内という解釈のようです(平成26年3月31日25経営第3937号 農地法関係事務に係る処理基準について)。市町村のホームページを見ますと、「権利を取得したことを知った時点から10ヶ月以内」となっています。
 相続税の申告期限の10ヶ月以内と平仄を合わせたものではないかとおもいます。
 処理基準:http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000145.html

(3)届け出義務者
①遺産分割協議済み

 遺産分割協議が10ヶ月以内にまとまった場合には遺産分割協議によってその農地を取得した相続人が農地取得の届け出をすることになります。

②遺産分割協議未了

 遺産分割協議が10ヶ月以内にまとまらない場合には相続人全員による届け出が必要になります。
 遺産分割協議が整ったのちに、遺産分割協議によってその農地を取得した相続人が再度届け出をすることになります。

(4)届出義務違反(農地法69条)

 無届けの場合には10万円以下の過料が科せられます。

3.森林相続による届け出

(1)森林法に基づく届け出

 相続した土地が森林である場合には市町村長に届け出なければなりません。(森林法10条の7の2)
 林野庁:http://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/todokede/

(2)届け出の期限

 90日以内に届け出なければなりません。(森林法施行規則7条1項)
 農地法では「遅滞なく」、具体的には10ヶ月以内に届け出ればよかったのですが、森林法ではそれより短期間になっていますので注意が必要です。

(3)届け出義務者
①遺産分割協議済み

 遺産分割協議が90日以内にまとまった場合には遺産分割協議によってその森林を取得した相続人が森林取得の届け出をすることになります。

②遺産分割協議未了

 被相続人の死亡日から90日以内に、法定相続人の共有物として届出が必要です。
 それぞれの方がそれぞれの持分割合について届け出るか、連名で届け出てください。
 また、その後分割協議が整ったときには、分割協議により持分に変更があった場合、その森林の土地の持分を取得した方(所有者となった方)は、分割協議の終了日から90日以内にその旨を届け出てください。

(4)届出義務違反

 無届けの場合には10万円以下の過料が科せられます。(森林法213条)

4.まとめ

 土地を相続してもその登記を必ずしなければいけないと言うことではありません。しかし、その相続した土地が農地・森林の場合には必ず届け出が必要になります。

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2017年

7月

23日

国籍法からみた二重国籍の解消手続(蓮舫氏の場合)

 蓮舫氏のケースを例として重国籍の解消手続について考えてみました。

1.重国籍

(1)発生原因

 国籍が違う男女の間に生まれた子は重国籍者となる可能性があります。また、外国で出産した場合にも重国籍になる場合があります。

 生まれた子の国籍について、出生地をその子の国籍とする生地主義両親の国籍を獲得する血統主義とがあります。
 血統主義はまた、父系優先血統主義と父母両系血統主義の両方の考え方があります。

 たとえば、アメリカで生まれた子は自動的にアメリカ国籍を取得します。日本では両親のいずれか一方の国籍が日本であればその子は日本国籍を取得します。
 日本国籍夫婦の子がアメリカで生まれた場合は、その生まれた子は日本国籍とアメリカ国籍の双方の国籍をもつことになります。重国籍の発生です。

(2)蓮舫氏の重国籍発生理由

1967年(昭和42年11月28日出生)
 蓮舫氏は台湾国籍の父と日本人の母とのことして生まれています。
 出生当時、日本は父系優先血統主義であったため、日本国籍は付与されず台湾国籍のみでした。

1985年(昭和60年1月1日改正国籍法施行)
 父系優先血統主義を改め父母両系血統主義の改正国籍法が施行
 改正国籍法の特例にしたがい届出によって日本国籍を取得しました。この時点で重国籍が発生しています。

(国籍の取得の特例) 昭和59年5月25日法律第四十五号附則
第五条 昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
 前項に規定する届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。

2.重国籍の解消手続

(1)国籍の選択(国籍法14条1項)

 日本の国籍法は国民が複数の国籍をもつことを認めていません。
 20歳前に外国籍を得た場合には22歳になるまでに、20歳以降に外国籍を得た場合には2年以内に日本国籍か外国国籍かのいずれかの国籍を選択しなければなりません。ただし、罰則規定はありません。
 

(2)国籍の選択の方法(国籍法14条2項)

外国の国籍を離脱する方法

選択の宣言をする方法
 「日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言」をします。

(3)選択の宣言により国籍の選択をした場合の義務(国籍法16条1項)

 残っている外国の国籍を離脱するように努力する義務が生じます。ただし、罰則規定はありません。

(4)蓮舫氏の国籍の選択の事実関係

以下につき、2017年7月18日の会見で明らかになった。
①蓮舫氏は20歳以前に日本国籍を取得していますので、22歳に達する前に国籍の選択をする義務があります。
②蓮舫氏は国籍の選択をしないまま、22歳になった平成元年11月28日から平成28年 10月6日まで国籍選択の義務を怠っていた。
③平成28年 10月7日に国籍選択の義務を履行した。
④外国籍離脱の今後の努力義務はなくなったと思われる。
 「日本政府が台湾との外交がないこを理由に、台湾当局発行の証明書が不受理となったため、行政指導に従い日本国籍の選択の宣言を行った」といういきさつからして、台湾籍の離脱の方法は閉ざされている。台湾の外交的地位が変化しない限り難しい。

(5)台湾の外交的地位

 中華人民共和国と中華民国の取扱いは外交上の難題です。
 台湾籍を日本として一国の国籍として扱うのかどうかという見解がはっきりしていないことが混乱のひとつの原因となっていいます。

 台湾の「国籍」が「外国の国籍」でないかどうかという日本政府の法律解釈については、以下のページが参考になるかもしれません。
 二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法  多田 恵(本会理事・亜細亜大学非常勤講師)

3.まとめ

 蓮舫氏の国籍選択の義務違反であったのは事実関係からみて実務的には明白です。ただし、罰則規定はありません。

 

 その事実、その違法性の軽重をどう評価するかは別の問題です。
 さらに進んで「国籍唯一の原則」に妥当性はあるのかなどは、政治的な判断にかかわる領域です。

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2017年

7月

05日

養子縁組は相続税対策としての効果は薄いが,遺留分を引き下げる効果は大きい。

1.相続対策としての養子縁組

 相続対策として養子縁組の効用を説く人がいます。
 一つは節税対策,もうひとつは遺留分対策です。

 今回は,孫と祖父が養子縁組をするという設定で考えてみます。

(1)相続税対策
①基礎控除増加による相続税の節税

 現在の相続税の基礎控除の計算は次の計算式によって算出されます。
  3000万円+600万円×法定相続人数
 養子縁組をおこなうことによって,上記計算式の法定相続人数を増やせば基礎控除額が多くなります。その結果,相続税が課税される財産が少なくなり,納める相続税が少なくてすむということになります。

②相続税課税の一代回避による節税

 相続税の課税回数を一回分回避する目的で養子縁組を考える人もいます。飛ばし相続ともいわれます。
 たとえば,父から子へ,子から孫へと財産が代々相続される場合。子から孫の相続にまず課税され,さらに子が死亡すると再び相続税が課税されます。結局都合2回相続税の課税が行われることになります。
 そこで,祖父と孫が養子縁組をおこなうことによって,孫は祖父の財産を直接養子として相続できます。祖父から子,子から孫という財産の移動を一回で引き継げます。相続税の課税もそれにともない一回ですむことになります。
 二回の相続課税を一回の相続課税ですますことができますので,大きな節税になることが考えられます。

③養子縁組による節税の効果と限界
ア 基礎控除を増加させるための養子縁組の限界

 養子の数は民法上その数に制限はありませんが,相続税法上においては基礎控除額計算に加算できる養子の数には制限があります。
 相続人に実の子がいる場合には法定相続人数に加えることができる養子の数は1名に制限されています。養子縁組によって手に入れることができる基礎控除額の増加額は600万円だけという結果になります。実子がいない場合でも最大2名までとなっています。
 この節税対策は効果が薄いと思われます。
 
  国税庁No.4170 相続人の中に養子がいるときhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4170.htm

イ 一代回避による養子縁組の限界

 実子と違い養子の相続税は2割が加算されます。
 2割加算のデメリットと2回の課税が1回ですむというメリットとを考えると,節税対策として効果が期待できる余地は大きいと思われます。

2.遺留分対策

(1)遺留分と子の数

 子の数が増えるとひとりひとりの子の遺留分は減少します。
 兄弟姉妹を除いて,法定相続人には遺留分という最低限の相続分が認められています。(民法1028条)
 
 子がいて配偶者がいない場合には,子の数が増えるにしたがって次のように遺留分が減っていきます。
  子供がひとりであればその子は二分の一が遺留分
  子供がふたりであれば子ひとりにつき四分の一が遺留分
  子供が三人であれば子ひとりにつき六分の一が遺留分

(2)養子縁組と子の数

 養子縁組をすることによって子の数が増えます。(民法809条)
 子の数が増えますと先に見ましたように一人あたりの子供の遺留分が減っていきます。

(3)相続対策としての遺留分減少の効果

 養子縁組を利用して遺留分を減少させた上で遺言を作成します。
 もし遺言書の内容に不満があったとしても,遺留分減殺請求できるのは減少した遺留分に限定されます。(民法1031条)

①浪費癖のある子の遺留分を引き下げる

 子供の相続権を廃除によって奪うことはできますが,家庭裁判所の許可が必要になります。(民法893条)
 そうして煩雑さを避ける方法として,孫たちと養子縁組を結ぶことによって,浪費癖のある子の遺留分を引き下げることが可能になります。

②本家の財産を温存

 たとえば長男に本家を継がせるとともに,長男に可能な限り財産を集中させるために利用されます。
 推定相続人は本人の意思によって遺留分を放棄することは可能ですが,やはり家庭裁判所の許可が必要となります(民法1043条)。

3.養子縁組の有効性

(1)基礎控除額を増加させるなど

「もっぱら相続税の節税のための養子縁組」の有効性について議論があります。
 平成29年1月31日,これに関係した最高裁の判決がでています。
 それによると,「専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。」として,有効と判断しています。
 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86480

 相続税の基礎控除の計算については,養子の数の繰り入れを認めない場合も例外的にあるということになっています。
 「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記(1)又は(2)の養子の数に含めることはできません。」(上記の国税庁のページを参照)

(2)遺留分の減少

 遺留分対策としての養子縁組についてはこの判決は直接述べてはいません。「当事者間に養子縁組をする意思」があることを基準とすることを一般化することができるとすれば有効とも考えられます。(民法802条)

4.まとめ

 

 養子縁組の制度を使うことによって,相続税の節税を図ることは可能です。また,議論はあるとはおもいますが,遺留分を減額する手段として養子縁組を考えることもできると思います。
 「当事者間に養子縁組をする意思」があり,その養子縁組がたまたま相続対策になっていたというのがあるべき姿ではないでしょうか。

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2017年

6月

29日

離婚時に作成した遺言書を今後書き換えないという離婚協議事項は無効。

1.協議離婚

(1)離婚の種類

 離婚は裁判による離婚と協議による離婚があります。
 裁判による離婚は離婚原因が必要ですが,協議離婚ではそういった制限は一切ありません。別れたいというふたりの意見が一致することによって,離婚できます。

(2)離婚協議書

 離婚協議書は離婚についての契約書です。
 離婚にあたり財産分与,子供の親権者をだれにするかや養育費などについて協議します。協議した内容を文書にしたり,公正証書にしたりします。

2.離婚協議書における遺言撤回の禁止条項の有効性

(1)遺言の撤回(民法1022条)

 遺言者はいつでも以前にした遺言を取り消す(正確には撤回)ことができます。以前の遺言の全部でも,その一部でも自由に取り消すことができます。

(2)離婚協議書における遺言撤回の禁止条項

 たとえば,離婚時に夫の財産をすべて夫婦の子どもに相続させるという遺言書の作成をします。そして,その遺言書を書き換えることは今後おこなわないと約束します。
 その主旨は,今後夫が再婚するかもしれない次の配偶者や新たな夫婦間に生まれる子供には夫の財産を渡したくないということです。

(3)遺言撤回の禁止条項の有効性(民法1026条)

 遺言撤回の禁止条項は無効です。
 民法1026条において遺言の撤回権の放棄は禁止されています。
 遺言者はいつでも理由のあるなしにかかわらず自由に撤回できます。遺言の撤回ができるのは遺言者本人のみであり,代理人がすることはできません。
 また,遺言撤回の表明が遺言とともになされ,あるいは受遺者やその他の者との契約によろうが,その遺言撤回の表明は無効です。

具体的には,
 遺言書中に「これが最終の遺言であって,撤回することはない」と表明したり,受遺者その他の者と「今後遺言は撤回しない」ことを約束したりしても,それによって遺言の撤回を阻むことはできません。

3.まとめ

 

 離婚時において作成した遺言書の内容の書き換えを禁止したり,強制したりすることは不可能です。
 できるのは,離婚した相手方の自らの意思として離婚時の遺言書の内容を維持してもらうことだけです。離婚した相手と良好な関係を維持するのは難しいとは思いますが,離婚後も円満な関係をできる限り維持するしかありません。

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2017年

4月

22日

子供がいない場合の遺産分割は面倒です(戸籍謄本の取り付け範囲)。

1.子供がいない場合の法定相続人

 法定相続の関係者は,死亡した人から見て配偶者,両親,父方・母方のそれぞれの祖父母等の直系尊属,兄弟姉妹,甥・姪です。

(1)配偶者

 死亡したひとに配偶者がいれば無条件に法定相続人になります。
 このことは,どんな親族関係による相続においても同じです。

(2)死亡したひとの親族の相続順位

 相続順位は次に列挙する親族の順番になります。その順番に該当する親族がひとりでも生存していればその人が相続人となり,次の順位の親族のグループの人は相続にはなれません。
 ただし,⑤の甥姪は代襲相続ですので生存している兄弟姉妹と死亡している兄弟姉妹の甥姪は同順位の相続人となります。

①両親
 生存している親が相続人になります。両親のうちどちらかがなくなっていれば,生存している親だけが相続人です。

②祖父母
 両親ともに死亡している場合には,次順位の法定相続人は父方・母方それぞれの祖父母のうち生存している人が法定相続人となります。

③曾祖父母,高祖父母,五世の祖,六世の祖・・・・(直系尊属)

 父方,母方のいずれの祖父母も生存していない場合には,それぞれの祖父母の両親である曾祖父母が次順位の法定相続人となります。曾祖父母のいずれも死亡している場合には,高祖父母が次順位の法定相続人となります。以下順に法定相続人が繰り上がります。

④死亡した人の兄弟姉妹

 直系尊属のいずれも死亡している場合兄弟姉妹が次順位の法定相続人となります。

⑤甥・姪(兄弟姉妹の代襲相続)

 兄弟姉妹のうちすでに死亡した人がいる場合には,その人に子がある場合にその子がなくなった親の代わりに相続人となります。これを代襲相続といいます。
 その甥姪もすでに亡くなっている場合には,その兄弟姉妹の相続権は消滅します。他の兄弟姉妹の相続分が増加します。

(3)法定相続人

 死亡した人に配偶者がいる場合には,法定相続人は配偶者と(2)で示した死亡した人の該当する親族が法定相続人がともに共同相続人となります。

 死亡した人に配偶者がいない場合には,(2)で示した死亡した人の該当する親族のみが法定相続人となります。

参照:続柄

2.遺産分割協議書の作成

(1)法定相続人全員による遺産分割協議

 遺産分割協議は遺言がない場合には,法定相続人全員が参加して遺産分割の方法を協議しなければなりません。法定相続人のひとりでも欠けた遺産分割協議は無効です。

(2)法定相続人の確定とその証明

 遺産分割協議に参加する資格がある法定相続人であることの証明は,戸籍謄本によっておこないます。
 この作業は楽ではありません。

(3)兄弟姉妹が法定相続人となる場合の戸籍謄本による証明
①両親の戸籍謄本

 両親の生まれてから死亡までの継続した全部の戸籍謄本が必要です。
 死亡した人の兄弟姉妹に該当する人をすべて拾い出す作業です。養子,認知した子などを調査します。

②直系尊属の戸籍謄本

 死亡の表示がある直系尊属の戸籍謄本です。
 父方・母方の直系尊属に当たる人が全員死亡していることを確認します。実務的には生きていれば120歳くらいまでの直系尊属の戸籍謄本が必要になります。

③生存している兄弟姉妹の戸籍謄本

 亡くなった人の死亡日に生存していたことを示す戸籍謄本により法定相続人であることが証明されます。

④死亡している兄弟姉妹の生まれてから死亡までの継続した全部の戸籍謄本

 死亡している兄弟姉妹に代襲相続人となる子がいるかを調査をします。もしその兄弟姉妹に子があることが判明すれば,その甥・姪は代襲相続人として相続権を獲得します。

3.まとめ

 兄弟姉妹が法定相続人となる場合の戸籍謄本の取付けは,対象者の数と申請先の市町村の数とにおいて大きな負担となります。
 兄弟姉妹の数が多く,また本籍を何度も移動しているなどの事情が重なる場合には,その範囲は広がり,手間と手数料の負担が馬鹿にできなくなります。

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2017年

3月

21日

相続放棄をしたからあとは知らないというわけにはいきません(相続財産の管理責任)

 前回と前々回において相続放棄と特定遺贈について考えてきました。
前々回:「田舎の土地や家は放棄して金融資産だけを相続できるか(一部相続放棄の可否)
前回:「不動産以外の相続財産だけを相続することは可能か(相続放棄プラス遺贈)
 今回は,相続放棄におけるモラルの問題,相続放棄後の財産管理の問題について考えてみます。

1.相続放棄におけるモラルの問題(詐害行為の取り消し)

 消費者金融の借金が1000万円あり,預金が500万円ある父親が,預金を長男に遺贈する。相続が発生して,長男を含めたすべての法定相続人が相続を放棄する。長男は500万円の預金を手に入れることができるか。

 遺贈と相続放棄は別の制度ですからこの例では長男は問題なく預金を手にすることができそうに思えます。しかし,それでは話がうますぎます。お金を貸した消費者金融は堪りません。
 民法には詐害行為取消権(民法424条)という規定が設けられています。
 債務者や利益を受ける者は,債権者をだますようなことをしてはいけませんという規定です。ここで挙げた例でいえば,父や長男は消費者金融会社に損を与えることを承知で遺贈したり,遺贈を受け取ることはできないということになります。

2.相続放棄後の財産管理(民法940条)

(1)遺産が動産・債権の場合

 遺産が動産であれば時の経過とともにその価値は失われるでしょうが,とくに管理が必要というわけではありません。また,債権であれば時効で自然に消滅してしまいます。相続を放棄した元相続人が管理の責任を問われることはないでしょう。
 いずれにしても第三者から責任を追及されることは考えにくいです。

(2)遺産が不動産の場合

 遺産に不動産がある場合には,この財産管理責任がのしかかってきます。
 相続を放棄した人は,その財産が他の人に相続できる状況になるまで,管理を続ける必要があるのです。

 たとえば田舎の空き屋だけしか相続財産がないということで,相続放棄をしたとします。すべての法定相続人に相続放棄をされた相続財産であった空き屋のせいで事故が起きた場合には,相続放棄をした元相続人が賠償責任を負わなければならない恐れが生じます。

 誰も相続人がいない相続財産は相続財産法人となります(民法951条)。本来であれば相続財産法人は財産管理人が選任され,その管理人が相続財産の生産に当たることが期待されています。
 ところが,相続財産管理人の選任を裁判所に申し立てるには予納金の納付が必要であるため,さして財産価値のない相続財産においては,財産の管理人のいない相続財産法人が相続財産を所有するという状況が続くということが起こります。

3.まとめ

 いくら相続の放棄と遺贈の制度は別だとしても,自分の都合のいいものだけを受け取ることは容易ではないのは以上見てきたとおりです。
 田舎の空き屋という相続財産は,負の財産価値しかないのかもしれません。<

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2017年

2月

12日

不動産以外の相続財産だけを相続することは可能か(相続放棄プラス遺贈)

 前回,個別の財産について恣意的に相続したり放棄したりはできないと言いました。まるで方法がないのか,今回はこのことについて考えてみます。
前回ブログ:
田舎の土地や家は放棄して金融資産だけを相続できるか(一部相続放棄の可否)

1.相続と相続の放棄(民法896条,920条)

 相続とは包括的に被相続人の地位を承継します。したがって,個別の財産や債務について承認や放棄を選択することはできません。
 これは欲しいがこれはいらないという形での相続はできず,相続するなら一切合切相続し,相続放棄をするならすべて放棄をしなさいということになります。

2.特定遺贈(民法964条)

 被相続人が特定の財産を指定して特定の人に遺言で財産を贈与することができます。これを特定遺贈と呼んでいます。
 「私が死んだらこの宝石を君にあげる」と遺言することになります。
 特定遺贈ができる相手は相続欠格事由に当たらない人になら誰にでも遺言で贈与ができます。法定相続人でもかまいません。(民法965条)

注:法定相続人の場合の遺言では通常は「相続させる」と遺言書に書きますが,遺贈をおこないたいときは「遺贈する」と遺言書に書く必要があります

3.受贈と相続放棄の併立

 遺贈と相続放棄は別の制度ですので併立は可能です。遺贈を受けた人が相続を放棄することは問題ありません。
(相続放棄におけるモラルの問題,相続放棄後の財産管理の問題については次回とします。)

4.まとめ

 遺言書を書いてもらうことによって,自分が欲しい財産だけを選別して相続することが理論上可能となります。
 したがって,不動産以外の相続財産だけを相続することは可能だと言えます。

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2017年

2月

09日

田舎の土地や家は放棄して金融資産だけを相続できるか(一部相続放棄の可否)

1.相続財産の一部を相続したいという要望の時代背景

 土地や建物が資産価値を持ち,相続財産の元凶とみられていた時代もありました。
 時代は変わり,土地や建物が維持管理費だけがかかり,売りに売れないマイナスの相続財産であるという認識が広まってきました。とくに,地方の古い家屋は借り手もおらず,管理費のみがかさむという現実があります。また,解体するにしてもその費用は相続する者に重くのしかかります。
 そんなお荷物になる相続財産はいらない,預金や現金など管理の必要のない財産だけ欲しいという気持ちになるのは自然の流れです。

2.相続の仕方は三種類

 相続の方法は法律で三種類のみに限定されています。それ以外の方法は認められていません。単純承認,限定承認,相続放棄の三種類です。

(1)単純承認(民法920条)

 無条件で相続財産を相続する方法です。
 プラスの財産もマイナスの財産もすべてひっくるめて無条件で相続します。何もしないとこの単純承認をしたものとして扱われます。
 裁判所に申し出る必要もありません。

(2)限定承認(民法922条)

 条件付で相続財産を相続する方法です。
 プラスの財産からマイナスの財産を引いて,プラスの財産が残ればその財産を相続し,プラスの財産が残らなければ相続をしないという方法です。プラスがあれば相続し,マイナスであれば相続しないという方法です。
 相続人の全員が同じ方法の選択をしなければなりません。家庭裁判所へ申し出る必要があります。

(3)相続の放棄(民法938条)

 相続をしない方法です。
 プラスの財産もマイナスの財産も一切合切相続しないことになります。この方法を選択するとこの相続においては最初から相続人でなかったとみなされます。この相続に関して一切無関係となります。
 この方法を選択するには,相続人各自で家庭裁判所に申し出る必要があります。

3.一部相続放棄

(1)一部相続放棄の誤解

 一部の財産だけを選んで相続できるのではないかという誤解は,たぶん上記の限定承認の制度と相続の放棄の制度を合体して考えてしまったための誤解ではないかと思われます。
 限定承認では相続するかしないかを選択できるという側面があります。また,相続の放棄はいらないものを放棄することができるという側面があります。両者を合体すれば,希望する資産だけを相続し,不要な資産は相続の放棄をすることができるという話に流れていきます。

(2)一部相続放棄の可否

 一部相続放棄は認められません。
 一部の相続財産を相続し,一部の相続財産を放棄するという方式は民法が認める3つの相続方法のいずれにも該当しないからです。限定承認の制度は相続人が都合のいい財産だけをつまみ食いすることを許す制度ではありません。
 いずれの制度においても,相続財産を一括して相続するか,相続しないかのいずれしか選択の余地はないことになります。

(3)単独の相続人のみの一部相続

 この場合でも理屈は同じです。一部の相続財産の相続つまり一部の相続財産の放棄は認められません。
 自分一人が相続する権利があるのであるから,自分が欲しいものだけもらえばよいと考えてのことだとおもいますが,法律が定める相続の方法には当てはまりません。

4.まとめ

 相続財産の一部を相続して,一部を相続しないということはできません。たとえ,自分だけが相続人で,他に相続人がいない場合でも変わることはありません。

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2017年

1月

04日

土葬は禁じられているのでしょうか(土葬と火葬)

1.火葬率

(1)火葬率の変遷

 下記のように日本の火葬率は明治29年の27%から推移して,現在はほぼ100%に達しています。

1896年(明治29年) 26.8%
1955年(昭和30年) 54.0%
1980年(昭和55年) 90%
1984年(昭和59年) 94%
2005年(平成17年) 99.8%
2013年(平成25年) 99.9%
 出典:http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000149083
    http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001127716 

(2)アメリカの火葬率

 アメリカの火葬率は日本よりも低く,北米火葬協会による以下のような統計が残っています。

1996年(平成8年)21.37%
1997年(平成9年)23.59%
2010年(平成22年)には火葬率が33%を超えると予測
 出典:http://www.osoushiki-plaza.com/institut/dw/199909.html

 アメリカの映画などから受けるイメージでは,棺を土中に埋める土葬が主流のような印象ですが,そうとも言えないようです。

(3)世界の火葬事情

 火葬が世界の主流というわけではなく,その国の宗教,死生観などによって火葬を嫌い,土葬を好む国もあるようです。イスラム教徒は土葬であるという話しも聞きます。はっきりした統計数値は見あたりませんでしたが,それぞれ違うというのは想像に難くありません。
 死体を火で焼くという行為は死者にむち打つと感じる人がいたとしても不思議ではありません。黒焦げになった遺体にすがりつき,「こんな姿になって,熱かっただろう」と問いかける女性の姿が目に浮かびます。

2.土葬は禁止されているのか

(1)墓地、埋葬等に関する法律

 埋葬に関する法律として「墓地、埋葬等に関する法律」があります。
 その法律を見ますと土葬を禁じる規定はありません。むしろ土葬を原則とするとも読むことができます。(墓地、埋葬等に関する法律2条1項など)
 私が幼少の頃には,土葬が村の葬式の中心でした。

(2)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

 感染症に汚染された死体は原則として火葬をしなければならないと,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(30条2項)に定められています。

 1897年(明治30年)に「伝染病予防法」が制定されました。現在の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に当たる法律です。「伝染病(感染症)による死者は火葬にすべきこ とが初めて自治体に義務付けられ、自治体による火葬場施設の設置と管理が積極的に進められた。」ことが,現在の火葬の隆盛につながったようです。(http://kanrishikai.sakura.ne.jp/files/kasou_history.pdf 日本火葬技術管理士会)

(3)墓地・霊園などの埋葬施設の利用規程

 遺体を埋葬するできる場所は墓地として都道府県知事の許可を受けた場所でしかできません。(墓地、埋葬等に関する法律2条4,5,6項)
 したがって,土葬をさせてくれる墓地・霊園でなければ埋葬できないことになります。

 土葬を許可している施設はほとんどないといわれています。ちなみに,事務所のある山梨県甲府市の市立公園墓地においては,甲府市墓地条例により「焼骨の埋蔵又は収蔵以外の目的に使用することはできない」(6条の3,規則15条1項)と明示されています。
 参照:甲府市墓地条例
    甲府市墓地条例施行規則

3.まとめ

 感染症の患者の遺体でない限り,遺体の土葬は現在法律では禁じられていません。しかし,埋葬施設の利用規程などにより現実的に土葬を引き受けてくれる埋葬施設がほとんどありません

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2016年

12月

11日

土地の贈与を受けて,相続時精算課税を選択した。相続を放棄できるか。(相続時精算課税と相続放棄)

 相続時精算課税制度を利用すると相続放棄ができないのではないかという不安を持つ人が多いようです。以前にも相続時精算課税について書いたことがありますが,改めて相続放棄との関連について取り上げてみたいと思います。

1.相続時精算課税制度

(1)相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度とは,「原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度」です。詳細は下記の国税庁のペーをご覧ください。
国税庁:http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm

私の以前のブログの記事:
 「相続時精算課税制度とは,なにもの
 「相続時精算課税制度とは,なにもの(続)

(2)生前贈与の課税方式

 贈与がおこなわれると原則として贈与税を支払わなければなりません(相続税法21条)。しかし,一定の条件を満たす者が生前贈与を受けた場合には,贈与時ではなく贈与者が死亡したときに相続税として精算するという課税の特例が設けられています。(相続税法21条の9から21条の18)

2.生前贈与と法定単純承認・詐害行為

(1)生前贈与は法定単純承認の原因となるか

 相続時精算課税を選択をすると相続放棄ができなくなると心配する理由の多くは,相続時精算課税の選択が相続財産の処分に当たるのではないかという心配ではないのでしょうか。

 生前におこなわれる贈与の元になる財産は相続財産ではありません。したがって,法定単純承認の場合には当たりません。(民法921条)
 たとえば,父親に生前に土地をもらえば,それは父親から贈与を受けたことになります。しかし,父親の相続財産を相続人である子が処分したという法律関係ではありません。

(2)生前贈与と詐害行為

 多額の負債を抱え債務超過に陥っていることを知った上で、相続人と示し合わせて全部の財産を相続人へ生前贈与したようなケースなどの権利濫用が考えられます。
 このような場合については,詐害行為取消の対象となるため、贈与が取り消される可能性があります。(民法424条)
 この問題は,相続時精算課税制度とは直接関係のない事柄です。

3.まとめ

 相続時精算課税を利用していても,法定単純承認とはならず,相続の放棄ができます。
 相続時精算課税の利用にかかわらず,単純承認,限定承認,相続の放棄ができることになります。(民法915条)

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2016年

11月

28日

借金まみれの祖父の相続を父が放棄した場合,孫である私が父に代わって相続するのか(代襲相続)

1.代襲相続が発生する原因

 代襲相続というのは,本来の相続人に代わってその子がかわりにその相続分を受け取ることを言います。

 相続放棄と代襲相続について以下のブログも参照してください。
自分が相続を放棄しても,自分の子がその相続分をもらえるわけではない。
父親の相続放棄すると祖父の相続もできなくなるか(相続放棄と代襲相続)前編
父親の相続放棄すると祖父の相続もできなくなるか(相続放棄と代襲相続)後編

 代襲相続が発生する原因は下記三つの場合です。(民法887条2項)

(1)被相続人の子が相続の開始以前に死亡した場合

 表題に掲げたケースでいえば,父が祖父の亡くなる前に死亡しているときということになります。
 祖父と父が同時に死亡した場合も,相続の開始以前に亡くなった場合に含まれ,代襲相続が発生します。
 同時死亡の推定がなされる場合も代襲相続が発生します(民法32条の2)。たとえば,祖父と父が同じ飛行機事故で亡くなった場合などに同時死亡の推定が働きます。

(2)被相続人の子が相続欠格によって相続権を喪失した場合

 父が相続欠格の事由に該当するために相続権を失った場合には,代襲相続が発生します。

 相続欠格の事由は次の五つです。(民法891条)

①被相続人・相続人の殺害など
②殺害事実の不告発など
③詐欺・強迫による遺言の妨害など
④詐欺・強迫による遺言をさせるなど
⑤遺言書の偽造など

(3)被相続人によって相続人が廃除により相続権を失った場合

 祖父が,父による虐待・侮辱などを理由に父を祖父の相続関係から廃除した場合には,代襲相続が発生します。

 相続人の廃除の事由は次のとおりです。(民法892条)

①被相続人に対す虐待・重大な侮辱
②推定相続人の著しい非行

(4)再代襲(民法887条3項)

 父からの代襲相続人である孫が祖父の死亡前に死亡している場合には,孫の子である曾孫に代襲相続が発生します(再代襲)。
 それ以降につきましても,同様に直系血族に代襲がおこなわれていきます(再々代襲など)。

(5)被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合の代襲相続(民法889条2項)

 被相続人の兄弟姉妹が相続人の場合の代襲相続は,被保険者の甥・姪までで,再代襲は発生しません。

 兄弟姉妹における代襲相続発生事由は子における代襲相続と同様です。ただし,廃除による事由の適用はありません(兄弟姉妹に対する廃除と言うことがありえないため)。

2.まとめ

 借金まみれの祖父の相続を父が放棄した場合,孫は父の代襲相続人とはなりません。
 なぜなら,(1)被相続人の子が相続の開始以前に死亡した場合,(2)被相続人の子が相続欠格によって相続権を喪失した場合,(3)被相続人によって相続人が廃除により相続権を失った場合のいずれの場合にも当たらないからです。

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2016年

10月

31日

妻側の親族には自分の財産を渡したくない(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)

1.子のない夫婦の相続

(1)子のない夫婦の相続の一例

 たとえば,夫側の親族は弟と弟の子(甥)だけという家族状況の家庭の相続について考えてみます。

①妻が,夫の死亡により夫の財産を相続。
②妻が死亡したとき夫から相続した財産は,妻側の親族だけに相続される。

 ②の段階で夫側親族から不満が出ることがあります。
 妻が夫の財産を相続してそれを生活の糧にするのは分かる。しかし,妻が死亡したとき妻側の親族がもともと夫のものであった財産を相続するのは納得がいかない。という不満です。

(2)複数回の相続財産移転を内容とする遺言は不可

 自分の意思に基づいて死後の自分の財産の処分する方法として遺言があります。とはいえ,遺言でできる財産処分は一回だけです。
 妻に自分の財産をすべて相続させるという遺言は可能です。しかし,その妻が死亡したときには自分が相続させた財産を甥に相続させるという遺言はできません。
 妻がいったん相続した財産は妻の所有となり,妻の死亡後の財産の処分は妻の意思により次に相続されるのが原則です。長期にわたって遺産を遺言者の意思で拘束するのはよろしくないという判断もあり,民法では認められていないようです。

2.死後の複数回遺産移転指示を可能にする方法(後継ぎ遺贈型受益者連続信託の利用)

(1)後継ぎ遺贈型受益者連続信託を設定

 受益者の死亡により順次他の者が新たな受益権を取得するという内容の信託を使うことによって数次の相続財産の移転を本人が生前に指示できます。(信託法91条)
 このような信託を受益者連続型信託と呼んだり,後継ぎ遺贈型受益者連続信託と呼んだりしています。
 「後継ぎ遺贈型」とは,妻にまず遺贈し妻が死亡したときに妻に遺贈した財産を甥に遺贈するというように,遺贈の後継ぎ先を決めているという意味合いを表しています。死亡を契機として受益者が変わる内容の信託の名としては,後継ぎ遺贈型受益者連続信託の呼び名がふさわしいと思いますので,以後はその名に統一して使います。

(2)後継ぎ遺贈型受益者連続信託の有効期間

 後継ぎ遺贈型受益者連続信託の有効期間は30年です。
 正確には,「 当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間」です。(信託法91条)

 30年の有効期間は具体的には次のようになります。

①第一次受益者が長生きして30年を経過したあとに死亡した場合
 次の第二次受益者が死亡したときに信託が終了します。
②第一次受益者が30年を経過する前に死亡し,第二次受益者が受益権を取得して信託設定後30年を経過した後に死亡した場合
 次の第三次受益者が死亡したときに信託が終了します。

(3)後継ぎ遺贈型受益者連続信託と遺留分

 「後継ぎ遺贈」の法的な性格については明文の規定はありませんが,委託者本人が死亡した時点で遺留分を判断すると解釈されているようです。
 各次の受益者は委託者本人から直接受益権を取得し,第一次受益者が持つ受益権を第二次受益者が相続するというようなものではないとされています。

(4)後継ぎ遺贈型受益者連続信託の税務上の難点
ア 相続税の2割加算(相続税法18条)

 子供のいない家庭の例で説明します。
 妻が死亡し第二次受益者である甥が受益者となるときには,税法上は妻が夫の甥に遺贈したとみなして相続税が課せられます。妻と甥は配偶者の関係でもなく,一親等の血族でもありませんので,相続税が2割加算されます。(相続税法18条)

イ 制限付き受益権であっても制限がないものとして相続税評価額を算定(相続税法9条の3)

 たとえば,信託された財産が相続税評価額1億の賃貸用オフィスビルだったとします。賃料収入を死亡するまで受け取るという内容の受益権であっても,その受益者はオフィスビルそのものを取得したとみなされて1億円に対する相続税がかかってきます。

3.まとめ

 後継ぎ遺贈型受益者連続信託を採用することによって,確かに自分の死後に発生する先のさきまでの自分の財産の移動先を指示することは可能になります。
 しかし,税法上のデメリットもかなり大きなものになることも考慮に入れる必要があります。

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2016年

10月

01日

成年後見監督人を辞めさせたい。

 成年後見人と成年後見監督人との間の意思の疎通がうまくいかないという話しを聞きます。
 今回は成年後見監督人の解任の申請について考えてみたいとおもいます。

1.成年後見監督人の職務

 成年後見監督人の仕事はおもに成年後見人の仕事の監督をすることです。成年後見人が任務を怠ったり,不正行為を行わないように監督します。(民法851条)

 具体的な成年後見監督人の仕事は次のようなものです。

①成年後見人による財産の調査,その目録の作成への立会(民法853条)
②いつでも,成年後見人に対して報告・財産目録の提出を求めたり,仕事や財産の状況を調査できます。(民法863条)
③成年後見人が被成年後見人に代わって重要な行為を行うときには,成年後見監督人の同意が必要です。(民法864条)
④成年後見人と被成年後見人との間の利害が反するときには,成年後見人に代わって被後見人を代理します。(民法851条4号)
⑤その他

 成年後見監督人の職務からして成年後見人とは微妙な人間関係になりがちです。

 なお,成年後見人の配偶者,直系血族,,兄弟姉妹は成年後見監督人にはなれません。(民法850条)

2.成年後見監督人の辞任

 成年後見監督人にいったん就任すると自由に辞めることはできません。被後見人の保護が確保できなくなるからです。
 辞任するには正当な事由がある場合にかぎり,家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。(民法844条を準用)
 老齢・疾病・事務負担過重などの後見監督人としての職務を行うに支障があるような場合などが考えられます。

3.成年後見監督人の解任(民法846条を準用)

 解任するかどうか決定するのは家庭裁判所です。

 解任を請求できる関係者以下のとおりです。

①成年後見監督人が複数いるときには他の成年後見監督人
②被後見人
③被後見人の親族
④検察官

 なお,成年後見人には監督人の辞任請求権はないと考えられています。また,家庭裁判所は請求がなくとも,職権で解任することも可能です。

 解任ができるのは,不正な行為・著しい不行跡その他成年後見監督人の任務に適さない理由があるときです。

3.まとめ

 成年後見監督人監督人を辞めさせるにはその職務に適さないという事由が必要です。単に,気が合わないというような理由では成年後見監督人の辞任を請求することはできません。

 成年後見人と成年後見監督人はその立場上から対立関係に類似した関係になります。そのため,両者の意思の疎通に齟齬が生じやすい面があります。
 成年後見人が成年後見監督人を替えたいと希望しても,法律的には請求する方法がありません。また,辞任させるかさせないかの権限は家庭裁判所にあります。
(成年後見には成年監督人に対する辞任請求権はないと言う説の立場ー有力説ーにしたがいました)。

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2016年

8月

28日

長男に遺言を丸投げすることは可能でしょうか(信託契約の受益者指定権利者)

 前々回になりますが,「長男に遺言を丸投げすることは可能でしょか(代理による遺言)」という記事を書きました。今回はその続きです。

1.代理遺言の可能性

(1)遺言による代理遺言

 前々回のこのブログで見たように,代理人を立てて遺言を実現するのは法的には不可能だと考えられます。

(2)遺言代用信託による代理遺言

 前回のブログで,遺言代用信託の紹介をいたしました。
 その仕組みのなかにある「受益者指定権利者」を指定することによって,長男に遺言を丸投げすることに近いことが実現できます。

前回のブログ:「遺言だけではない生前にする遺産分割指示方法(遺言代用信託)

2.受益者指定権利者を指定した遺言代用信託

(1)信託契約に登場する基本的関係者

委託者:受託者に財産を託して,その財産の管理・運用・処分をまかせる。
受託者:信託契約に従って,受益者のために委託者から信託された財産を管理・運用・処分する。
受益者:管理・運用・処分された利益を受託者から受ける。
(信託法2条,4項・5項・6項)

(2)受益者指定権利者

 受益者指定権利者とは,受益者を指定・変更する権利を持つと信託契約によって定められている人のことをいいます。(信託法89条)

(3)受益者指定権利者の定めのある遺言代用信託
ア 信託の契約内容

 遺言代用信託として次の契約を例として考えます。

 委託者は長男に財産を信託して,委託者自身を委託者の生存中の受益者とします。
 委託者死亡後の財産分与受益者の指定権利者として長男を指定します。

①遺言代用信託契約において,委託者の長男を受託者として契約を結びます。
②その信託契約に,受益者指定権利者を長男と定めます。
③受益者指定権利者の効力の発生時期は委託者の死亡時とします。
④さらに,次の条項を付け加えます。
「受益者指定変更権者である長男は、遺留分を侵害しない範囲で、任意に相続人から残余財産受益者等を選定し、これらの者に任意の判断で給付する財産を決めて引き渡しすることができる」

イ 契約例の効果

 この契約例によれば,すべての残余の信託財産(遺産)の配分などの権限を長男に付与することができます

 委託者(被相続人)が遺言するとすときには,「誰を受遺者とするか」・「受遺者とした者への受遺財産を具体的にはどれにするか」・「それぞれ受遺者の相続割合をどうするのか」などを決めなければなりません。その判断を先延ばしにして,長男に委託することが可能となります。

この記事を書くに当たって次の記事を参考にさせていただいています。
遺産分割は,妻に一任」弁護士遠藤英嗣氏。

3.まとめ

 遺言代用信託契約を利用することによって,民法では困難だとされる「代理による遺言」を実現することが可能になると言えます。

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2016年

8月

27日

遺言だけではない生前にする遺産分割指示方法(遺言代用信託)

 自分の財産を自分の死後誰にどのように残したいかを,生前に指示する方法は遺言だけではありません。
 今回は,それを見てみようと思います。

1.生前にする遺産処分指示方法

(1)遺言

 法律で決められている自分の死後の遺産処分方法を,自分の考えによって修正する方法です。
 民法に定められている厳格な遺言の方式に従う必要があります。

 普通には次の方式にしたがって自分の意思を表明します。(民法967条)

①自筆証書
②公正証書
③秘密証書

(2)死因贈与契約

 自分が死亡したときに契約が有効になるとする内容の贈与契約。(民法554条)
 民法の遺贈の規定が準用されます。

(3)遺言代用信託契約

 信託契約を結ぶことによって自分の死後の財産の処分を指示します。(信託法90条)
 詳細については次項。

 なお,遺言のなかで信託の設定をおこなうものを「遺言信託」といいます。この「遺言信託」は契約によってする信託である信託契約の一種の「遺言代用信託」とは違います。混同する可能性がありますので注意が必要です。

2.遺言代用信託契約

(1)遺言代用信託の種類

 法定されている遺言代用信託は次の2種類が想定されています。(信託法90条 任意規定)

①委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
 本来的に委託者の死亡時までは受益権を取得しない信託

②委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託
 本来委託者の死亡以前から受益権を取得するのが原則であるが,信託法90条2項の規定により委託者が死亡するまで受益者の権利を有しないとされている信託。

(2)両者の区別の意味

 家族を中心とする信託契約において,両者の区別は実務上それほど重要であるとは思われません
 受益権の取得の時期,贈与税の課税の有無に影響が出てくる場合が考えられます。

(3)遺言代用信託の仕組みを利用した典型契約例

 委託者の長男に財産を信託して,委託者自身を委託者の生存中の受益者とする。委託者家族である子と配偶者を委託者の死亡後受益者とする信託が想定されます。

 自益信託でスタートする。当初受益者(兼委託者)が死亡すると他益信託になり,その信託において指名されていた死亡後の受益者が受益権を得るという定めがある信託であるということもできます。

(自益信託とは委託者が自分を受益者とする信託であり,他益信託とは委託者が自分以外の人を受益者とする信託のことをいいます。)

 委託者が信託した財産からの利益を受ける権利が,委託者自身から第二受益者に,委託者の死亡にともない相続されるようなかたちになります。つまり委託者の死亡が受益者交替の条件となっています。

3.まとめ

 自分の財産を自分の死亡後どう分割すれば,残された家族の幸せを最大限にできるかを考え,それを法律的に意思表示する方法はひとつではありません。

 遺言・遺贈・遺言代用信託を考慮しながら,最適な死亡後の自分の財産処分を総合的に考えてみましょう。

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2016年

8月

22日

長男に遺言を丸投げすることは可能でしょうか(代理による遺言)

1.遺言適格事項

(1)遺言適格とは

 遺言によって法的効果が発生する事項は法律で決められています。遺言適格事項といいます。
 「兄弟仲良く暮らすように。」というような精神的な事柄は遺言適格事項とはなりません。また,法律的に意味のあることでも,法律で決められていないことは遺言適格事項ではありません。

(2)遺言適格とされる事項
ア 家族法関係

①認知請求(781条)
②未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条・848条)

イ 相続法関係

①推定相続人の廃除・取消し(893条・894条)
②祭祀財産承継者の指定(897条1項ただし書き)
③相続分の指定(902条)
④遺産分割方法の指定(908条)
⑤相続人の担保責任の指定(914条)
⑥遺贈(964条)
⑦遺言執行者の指定(1006条)
⑧遺留分減殺請求方法の指定(1034条ただし書き)

(『民法講義Ⅶ 親族法・相続法』近江幸治,誠文堂,2010年)
参考ブログ:「寄与分についての遺言は可能でしょうか(遺言事項)

2.遺言と代理

 「遺産の分割についてすべて長男にまかせる。」という遺言は有効でしょうか。

(1)第三者に委託できるとされている遺言適格事項

 遺言をする人(被相続人)が遺言において第三者に委託できる事項は,相続分の指定(902条)と分割方法の指定(908条)だけです。

(2)遺言の制度の趣旨

 遺言は,相続の法定原則を修正する被相続人の意思表示手段であると考えられています。できるだけ遺言者自身の意思を尊重しようという趣旨です。

(3)代理による遺言の適否

 遺言適格事項・遺言の制度の趣旨からみて,遺言の内容をすべて第三者に委託することは適当ではありません。
 また,法定相続人が第三者に当たるかという点についても疑問があります。

3.まとめ

 遺言を実質的に丸投げをするような遺言は好ましくありません。
 「誰に・何を・どれだけ・どのように」財産を継承するのかが特定できる内容での遺言が必要です。

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2016年

7月

30日

自分が選んだ人に必ず自分の後見人になってもらえるのでしょうか(任意後見)

1.任意後見契約(任意後見契約に関する法律第2条)

 本人の判断能力が精神上の障害で不十分になったとき,自分の療養看護・財産の管理についての代理権を,後見人に与える委任契約です。

 代理権を与える後見人をだれにするか,療養看護・財産の管理の範囲や内容をどうするかについて,本人の判断能力があるときに任意後見受任者となる相手と契約を結ぶことで,決めることができます。

 この任意後見契約の効力は,契約締結時ではありません。任意後見監督人が家庭裁判所によって選任されたときから契約の効力が生じます。
 契約の効力の発生時期についての特約がついた委任契約ということになります。

2.任意後見人の資格

(1)任意後見契約の効力発生の有無

 任意後見契約が有効になるには,家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときからです。とはいえ,必ず選任が行われというわけではありません。
 家庭裁判所は,場合によっては任意後見監督人を選任しないこともあります

 任意後見監督人が選任されないかぎり,任意後見契約が有効になることはありません。
 したがって,任意後見契約が意図した目的をはたすことができません。

(2)任意後見監督人を選任をしない場合(任意後見契約に関する法律第4条)
ア 後見人の欠格事由に該当する者(民法847条で4号は除く)

①未成年者
②家庭裁判所で解任された法定代理人,保佐人又は補助人
③破産者(復権を得ていないとき)
④行方不明者

イ 本人に対して訴訟をした者やその配偶者・直系血族

原告として訴訟をした場合だけでなく,被告として訴えられた場合もこれに含まれます(判例・学説であるようです)。

ウ 不正な行為,著しい不行跡,その他任意後見人の任務に適しない事由がある者

 民法の後見人の解任事由(民法846条)と同じ趣旨の規定です。

①不正な行為
 違法行為や社会的に非難されるべき行為。背任行為や財産流用など。

②著しい不行跡
 品行が著しく悪いこと

③後見人の任務に適しない事由
 以下のことなどの一切の事情を考慮して判断をします(民法843条4項)。
・本人と任意後見人との利害関係
・年齢・人間関係
・前科等で財産管理の不適切なおそれ
・療養看護義務不履行などの配慮

(3)法人による任意後見人
ア 任意後見人の法人

 法人も任意後見人になることができます。
 法人の種類は問いません。株式会社などの営利法人でも可能です。

 任意後見人が法人だからといって,特別な規定があるわけではありません。
 しかし,法人としての特性から自然人の任意後見人にはない注意も必要となります。

イ 法人の任意後見人の場合の注意点

①法人の種類
 任意後見人の資格は,法人だからといって変わるところはありません。
 しかし,任意後見の仕事の性質から考えると,営利目的の法人を任意後見契約の受任者とする場合には,慎重な考慮が必要になります。
②本人の入所先施設
 社会福祉法人などの非営利法人であっても,本人と利益相反が生じやすい立場の法人は避ける方がいいです。
③長所・短所
 長所:親族間の争いから中立,後見人の年齢に左右されずに長期的な支援が可能。
 短所:後見人と本人との人間関係が希薄,法人の倒産の危険

 法人の任意後見受任者を考えている場合には,任意後見人として本人を支援するだけの適格性があるかどうかを,多面的で慎重に判断することが望まれます。

3.まとめ

任意後見人にしたい人が,任意後見人の欠格事由に該当したり,任意後見人の任務に適しない事由がある場合は,任意後見監督人が選任されません。その結果,任意後見契約の効力が生じず,意図した支援が受けられないことになってしまいます。

 つまり,家庭裁判所が任意後見監督人を選任しないために,自分が任意後見人として選んだ人の任意後見人としての支援を受けられないということも出てきます。

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2016年

7月

24日

複数の任意後見人の順位づけはできるでしょうか(予備的任意後見契約)。

1.任意後見契約における予備的受任者の定め

(1)予備的受任者

 予備的受任者とは,先順位の任意後見人が何らかの理由で任意後見の仕事ができなくなった場合に備えて,先順位の任意後見人に替わって任意後見の仕事をすると定められた次順位以降の任意後見受任者のことです。

 たとえば,任意後見人が甲・乙の複数いる場合,第一順位の任意後見人を甲として,第二順位の任意後見人を乙とするというような任意後見契約が結ばれたとします。そのときの乙を予備的受任者といいます。

(2)予備的受任者が必要とされる場合の例

 第一順位の任意後見人甲が病気になったり,死亡したりして,任意後見人のしごと(後見事務)ができなくなった場合に,第二順位の任意後見人受任者である乙が任意後見監督人選任の申立をおこないます。
 家庭裁判所の乙の任意後見監督人の選任の後,甲に替わって乙が任意後見人として任意後見事務を行います。

2.予備的受任者についての特約

(1)任意後見人の順位付け登記の可否

 現行の後見登記法には,任意後見人の順位づけ目的とする予備的な任意後見契約の登記をする規定がありません。
 したがって,甲乙の両者を同列・同順位の受任者として,任意後見契約を結ぶしかありません。

(2)実務上の工夫としての特約

 次の手順によって準備的任意後見契約を結びます。

①任意後見契約の委任者は,甲・乙それぞれと任意後見契約を締結します。
委任者と乙との間の任意後見契約には以下の特約を定めておきます。

特約の例
「なお,委任者と乙間の契約は,甲の死亡又は病気等により,甲の任意後見人としての職務の遂行が不可能若しくは困難となった時に,乙が家庭裁判所に対し,乙について任意後見監督人の選任の請求をするものとし,任意後見監督人が選任された時からその効力を生じる。」

(3)予備的任意後見契約の特約の効力

 上記特約の例に掲げた予備的受任者であること予備的受任者の任意後見監督人選任請求時期に関する特約は,登記することはできません

 この特約に反して,乙によって家庭裁判所に任意後見監督人選任の請求がなされた場合に,家庭裁判所は特約を考慮することはありません。家庭裁判所は特約に拘束されません。
(日本公証人連合会『新版 証書の作成と文例〔全訂家事関係編〕(立花書房・2005)p.111)

(4)特約の実務上の意義

 予備的任意後見契約の特約は,契約者当事者間では効力を生じ,契約者当事者間を拘束すると解釈することは可能です。

 先ほどの例で言えば,任意後見契約の委任者と受任者乙との予備的任意後見契約は有効です。
 受任者乙は,先順位受任者である任意後見人甲の死亡・病気等により後見事務が執務不能となった場合にかぎり,任意後見監督人選任の申立てをする権利があることになります。

3.まとめ

予備的任意後見契約の特約は登記することはできず,裁判所を拘束することはできません。しかし,契約者当事者間を特約によって拘束しているという解釈も可能です。

任意後見受任者は,十分信頼できる方にすることが重要です。また,任意後見受任者はできれば委任者より年齢が若い方が適任といえます。

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2016年

7月

23日

後見人の数は多いほどいいか(任意後見)

1.任意後見制度

(1)任意後見契約

 委任契約の一種です。
 任意後見契約に関する法律にしたがって,公正証書で契約を結びます。

(2)後見人受任者

 この任意後見契約を結ぶときに,指名する人のことを後見人受任者と呼びます。

(3)任意後見人

 判断能力が不十分な状況になったとき,関係者の申立てで家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されます。
 この選任によって任意後見契約は効力を発生します。
 任意後見契約が発行した以降,指名を受けていた後見人受任者が正式に任意後見人となります。

こちらのブログも参照してください:「任意後見と法定後見の関係

2.任意後見人の数

 前回,法定後見人の数についてお話をさせていただきました。
後見人の数が多いと報酬もたくさん支払わなければいけないのか(複数後見人)
 法定後見人の数をどうするのかは,最終的には家庭裁判所が決めます。

 任意後見契約では,一般の委任契約と同様に複数の人と契約を結ぶことができます。つまり,複数の任意後見人が可能となります。

3.複数後見人の長所・短所

 前回のブログでも触れましたがもう一度書いておきます。

(1)共同代理方式の長所・短所

 共同代理方式とは,常に受任者である任意後見人全員によらないと代理権を行使することができない方式です。
 本人と複数の受任者との契約は一本の不可分の契約となります。そして,共同代理について任意後見契約公正証書に明記され,登記がされます。複数の任意後見受任者がいますが,登記はひとつだけです。

ア 共同代理の長所

一人の任意後見人の考えで独走される危険を避けることができます。受任者相互に監視してもらうことによって,不正や誤りを防止することが可能になります。

②本人の判断能力不十分な状態になったとき,家庭裁判所に申し立ててもらうことができ,任意後見契約の効力をすみやかに発生させることができます。

イ 共同代理の短所

①任意後見受任者あるいは任意後見人の一人でも問題がありますと,任意後見契約の全体の効力が発生しなかったり,失効することになります

 このことは,任意後見監督人を家庭裁判所が選任する場面でも起きますし,任意後見人が契約に基づいて支援を開始した後の場合にも起こりえます。

 たとえば,任意後見受任者の一人に不正の行為などがあった場合に,家庭裁判所は任意後見監督人を選任することができません。したがって,任意後見契約は効力が生じません。
 また,任意後見人のうちの一人に不正の行為などがあった場合に,家庭裁判所はその任意後見人を解任します。そうなりますと,任意後見契約は効力を失ってしまいます。

②任意後見人の間に意見の食い違いが生じた場合に,任意後見契約による支援が滞ってしまいます

(2)各自代理方式の長所・短所

 各自代理とは複数の任意後見人が単独で独自に代理権を行使することを言います。
 共同代理の場合と違い,各自代理の契約は一つの公正証書による契約によっても,また複数の公正証書による契約によっても可能です。
 登記は一通の公正証書であっても,任意後見人受任者のかずだけの登記が必要です。

 なお,各自代理方式には,各自が代理権の全範囲を各自単独でおこなうものと,代理権の範囲の一部を各任意代理人が分担するものとがあります。

ア 各自代理方式の長所

①一人の任意後見人受任者に不適任の者があっても,任意後見監督人は選任され契約の効力は発生します。
 また,一人の任意後見人に不適任の者があっても任意後見契約が効力を失うことはありません

②共同代理と同様に複数の任意後見受任者が関わっていますので,本人の判断能力不十分な状態になったとき,家庭裁判所に申し立ててもらうことができ,任意後見契約の効力をすみやかに発生させることができます

イ 各自代理方式の欠点

①各任意後見受任者ごとに任意後見監督人の選任が行われます。このため,甲との任意後見契約は効力を発生しているが,乙との任意後見契約は発生していないという状況が考えられます

 この場合において,乙との間に財産管理契約が結ばれているときには,本人の判断能力が不十分になっているにもかかわらず,甲の任意後見監督人は乙の行動を制限できないという不都合が生じます

②任意後見人の意見の食い違いがあるときには,矛盾した内容の代理権が行使されるおそれがあります。
 また,代理権の範囲の分担されている場合に,その分担した者が欠けたときには,その部分の代理権がないことになります。そのために,任意後見の支援がうまくいかなくなることも考えられます。

4.まとめ

 任意後見における複数代理人は,長所もあり短所もあります。
 本人の判断能力が不十分になり,任意後見契約の効力が発生する状況になりますと,判明した短所を修正する新たな任意後見契約を結び直すことは通常は本人の判断能力の故に困難です。

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2016年

7月

14日

後見人の数が多いと報酬もたくさん支払わなければいけないのか(複数後見人)

1.複数後見人

(1)後見人の数

 成年後見人の数に制限はありません。また,成年後見人は個人に限定されることなく,法人も成年後見人となることが可能です。

 後見開始後の後見人を追加することができるという規定は民法843条3項にあります。
 後見開始当初の複数成年後見人について直接規定する条文はありませんが,後見開始の当初から複数の後見人を選任することができると考えられています。

 「家庭裁判所は,必要があると認めるときは」複数の後見人を選任することができます。

(2)家庭裁判所が必要があると認めるとき

 具体的には次のような場合です。

①財産管理と身上監護を分担するとき
②本人が住んでいるところと財産のあるところが離れているとき
③財産の種類が多く,また多額のとき
④未成年者の親権者が成年後見人となるとき
⑤高齢の親と親亡き後の支援を託される者が成年後見人になるとき
⑥高齢の配偶者後見人とその後の後見を託される者が後見人になるとき

(3)複数後見人の組み合わせパターン

①複数の親族後見人が選任されるもの
②親族後見人と専門職後見人が選任されるもの
③複数の専門職後見人が選任されるもの

2.複数後見人の権限(民法859条の2第1項)

(1)権限の原則

 原則として,それぞれの後見人が独立して成年後見人の職務を行います。
 この場合,それぞれの後見人が矛盾する法律行為をする場合が考えられます。

(2)共同権限行使

 共同権限行使とした場合には,複数の成年後見人が全員一致で法律行為をする必要があります。
 一部の成年後見人が死亡した場合や,解任・辞任などで欠けた場合には,他の成年後見人だけでは後見人の仕事を有効にすることができないという事態が想定されます。

 共同権限,次項の権限分掌が家庭裁判所の審判よって定められると,そのことが登記されます。成年後見登記全部事項証明書に明示されます。

(3)権限分掌

 権限分掌とは成年後見人の仕事を個々の後見人に振り分けて,役割分担の下に後見支援を行うことをいいます。
 たとえば,親族後見人に身上監護に関する後見の仕事を,専門職後見人に財産管理に関する後見の仕事を振り分けて役割分担をさせます。

 実際の後見事務(後見の仕事)においてそれを分けることは困難であることが指摘されています。
 また,一人の後見人が欠けると,他の後見人では欠けた後見人の後見事務を代わりに行うことができません。そのため,後見の支援に支障をきたすことがでてきます。

3.複数後見人の報酬

(1)単独・複数後見人の報酬額

 後見人に支払う報酬の額は,単独後見人であっても,複数後見人であっても被後見人が負担する額は同じです

 複数人で後見を行った場合には,それぞれの後見人の負担する事務の内容に応じた割合でそれぞれの後見人に報酬を支払います。後見人の人数が増えると支払う報酬の額もそれに応じて増えるということはありません。

(2)成年後見人の標準的報酬額の目安

 家庭裁判所が行う報酬付与の申立てに対する審判の標準的報酬額が家庭裁判所によって公表されています。

 以下のブログを参照してください。
参照ブログ:
第三者法定後見人の報酬
成年後見人等の支払報酬額の相場はどのくらいか(家庭裁判所発表文書)

4.まとめ

①成年後見人が単独でなく,複数になると後見人の権限が複雑となります。
②単独の後見にするか複数の後見人にするかは家庭裁判所が判断をします。
③後見人が複数になったとしても,後見人に支払われる報酬額は単独後見人の場合と同額で,増えることはありません。

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2016年

6月

27日

死んだ父が祖父の相続の遺留分放棄している,私も遺留分放棄したことになるか。

1.遺留分放棄した相続の代襲相続

 前回のブログの続きになります。(前回ブログ「遺留分のない相続権てなんですか」)

(1)遺留分放棄とそれに続く代襲相続の事例

父Fには,AとBの子がいます。
②父Fの配偶者はすでになくなっています
③子Aには過去十分な支援をしています。
子Aは遺留分放棄の家庭裁判所の許可を得ました。
子Bに全財産を相続させるという遺言を父Fが残しました。
⑥留分を生前放棄した子Aが父Fより早くに死亡しました。
子Aにつづいて父Fが死亡し,父Fの相続が開始しました。
子Aには長男Cがいて,父Fの相続の子Aの代襲相続人です。

 このケースで,子Aの遺留分放棄にかかわらず,子Aの長男Cは子Aの代襲相続人として遺留分の請求ができるのでしょうか

(2)遺留分放棄がされた代襲相続の相続権の性質

 代襲相続される相続権は前回のブログで検討した「遺留分のない相続権」です。
 したがいまして,事例では,Aの長男Cは遺留分のない相続権です。遺言で全額が子Bに相続されていますが,Aの長男Cは子Bに遺留分の減殺請求はできません。

2.まとめ

 遺留分が放棄された代襲相続では,代襲相続人は遺留分の請求はできません。

注:廃除を受けて相続権を失った相続人,相続人の欠格事由に該当して相続権を失った相続人を代襲して相続人になった人は,遺留分を失うことはありません。

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2016年

6月

26日

遺留分のない相続権てなんですか。

1.遺言と遺留分

(1)遺言による死後の財産処分

 自分の財産を自分が死んだあと誰にあげるかは, 原則として自分の自由です。具体的には,遺言を残すことによって死後の財産処分を行うことになります。

(2)遺留分

 たとえば,家族とは縁もゆかりもない自分が親しくしている女性に,すべての財産を譲ると遺言を書くことはできるのでしょうか。

 遺言に書くことはできます。しかし,遺言者の親などの直系尊属,配偶者,子どもなどの直系卑属から遺留分を自分に渡すように請求されると,一定の割合を請求してきたその相続人に渡さなければなりません。(遺留分減殺請求)

 遺留分とはこのように一定の相続人のために法律上必ず残しておかなければならない遺産の一定割合のことを言います。(民法1028条 遺留分の帰属及びその割合)

(3)遺留分の放棄

 相続人は相続によって期待できる最少限度の相続分(遺留分)を放棄することはできるのでしょうか。

 遺留分の放棄は可能です。相続が発生する前の放棄かあとの放棄かによって手続が違ってきます。(民法1031条 遺贈または贈与の減殺請求)

ア 相続が発生する前の遺留分放棄

 生前に相続の放棄をしようとするときには,家庭裁判所の許可を得る必要があります。

 裁判所は次のような観点から遺留分放棄の許可の判断します。
①遺留分放棄が遺留分権利者の自由意思によるか。
②遺留分放棄する理由が合理的でありその必要があるか
③遺留分放棄に対する代償があるか

 注意:家庭裁判所の許可を得た遺留分放棄の取消し
    原則として取消しはできません。(家事事件手続法78条 審判の取消し又は変更)

イ 相続発生以後の遺留分の放棄

 遺留分放棄に家庭裁判所の許可は必要ありません。遺留分による減殺請求をしなければ,遺留分を放棄したことになります。
 相続人が自分の遺留分が侵害されていることに気づいても,特別に文句を言わなければ,それでよいわけです。

2.遺留分放棄と相続権

(1)遺留分放棄がある相続権

 遺留分を放棄しても,相続権を放棄したことにはなりません。
 遺留分を放棄することは,相続を放棄することとは直接関係しません。遺留分放棄は自分の遺留分を下回る相続財産しか遺言で残されなくても,異存はありませんという意思表示です。
 したがって,遺言が残されていない場合,遺言で遺留分以下の財産が指定された場合において,当然に相続を受けることができます。

(2)遺留分放棄がない相続権

 遺留分放棄がされていない場合は,自分の遺留分が侵害されているときには,自分の遺留分を最低限度の受取額として要求することができます
 したがって,遺言の内容が遺留分額を下回っているときには,遺言にかかわらず遺留分額を要求することは可能です。

3.まとめ

 遺留分権とは,自分の相続額が自分の遺留分が侵害されている場合には,自分の遺留分額は最低いただきますと主張できる権利のことです。
 遺留分の放棄とは,その権利は主張しませんと言うことです。したがって,相続できるものがある場合は,その相続権にしたがって相続ができることになります。

 遺留分を放棄している場合の相続権を「遺留分のない相続権」といいます。

参考ブログ:
相続放棄とは似て非なる遺留分放棄の相棒は遺言です。

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2016年

6月

12日

相続税を払わずに雲隠れ,誰が払うのか(相続税の連帯納付義務)

1.相続税の支払い

 相続した人がそれぞれ自分の相続税を支払えば,それで納税は完了と思うのが普通でしょう。
 ところが,税金の世界では事情が少し違うようです。

 相続人のひとりが相続税の支払いをしないまま雲隠れをしてしまった。その人には,税務署が差し押さえることができるような財産はない。税務署はしょうがないなと言って,税金の取り立てをあきらめてくれるでしょうか。

 今回は,このことについてみてみようとおもいます。

2.相続税の連帯納付義務(相続税法34条)

(1)相続税の連帯納付義務

 相続税の支払いができない相続人がいる場合は,連帯責任で相続税の支払いをする必要があります。
 あいつの相続税をなぜ俺が払わなければいけないのだと,文句を言うことができないと決められています。

(2)連帯納付義務の範囲

 無制限に連帯納付の責任があるわけではありません。
 その相続で受け取った相続財産の利益の範囲で,連帯責任により支払いの義務があります。

(3)例外として連帯納付義務が亡い場合
①申告期限から5年を経過した場合

 申告期限から5年が経過しても,税務署長から連帯責任で相続税を納めるように通知を受けなかったときには,連帯納付義務がなくなります。

②納税義務者が延納の許可を受けている場合

 延納の許可後に相続税の支払いが困難になっても,他の相続をした人達は,延納の許可を受けた納税の範囲については連帯納付義務はありません。

③納税義務者が納税猶予を受けている場合

 たとえば,農地における納税猶予がなされた場合には,他の相続をした人達は,納税猶予を受けた範囲についての連帯納付義務はありません。

参考:http://www.kurashi-able.jp/file/4834453200.pdf

3.連帯納付義務が発生する事例

(1)相続時精算課税を選択した場合

 相続時精算課税制度は生前に贈与を受けていた分を贈与税ではなく、相続発生時に相続税として支払う制度です。
 相続税の支払時期が贈与を受けたときではないために,相続発生時に無一文と言うことも考えられます。
 この場合には,他の相続をした人達に連帯納付義務が発生します。

参考ブログ:
相続時精算課税制度とは,なにもの
相続時精算課税制度とは,なにもの(続)

(2)遺産分割協議において現金・預金のみを相続した場合

 相続人のひとりに多額の借金があり,その返済に充てたいので現金・預金を相続したいということがあります。
 相続税を支払わずに借金の返済にすべて充ててしまい,相続税の支払いに充てるような財産がない。といった場合に,その相続税の支払いの義務が他の相続をした人達に回ってきます。

4.まとめ

 基礎控除額を超える遺産がある場合は,相続税の支払いをしなければなりません。
 その場合には,自分の相続税の支払いだけではなく,他の相続した人の相続税まで負担しなければいけなくなることもあります。
 遺産分割のやり方,相続税の納税手順などの工夫が必要になります。

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2016年

5月

14日

タイタニック号の遭難,遺言はどうする?

 船舶の遭難というとなんと言ってもタイタニック号の遭難が有名ですね。
 死亡者:1517人,生存者:706人だったと言われています。
http://homepage1.nifty.com/Titanic/real/aboutTitanic.htm

 このような緊急時においての遺言について考えてみます。

1.遺言の方式

 遺言の普通の方式については皆さんがよくご存じのとおりです。
 普通の方式以外に,特別の場合の方式も民法は定めています。

(1)普通の方式(民法967条)

①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言

(2)特別の方式

①死亡の危急に迫った者の遺言(民法976条)
②伝染病隔離者の遺言(民法977条)
③在船者の遺言(民法978条)
④船舶の遭難者の遺言(民法979条)

2.船舶の遭難者の遺言の方式

 今回は特別の方式のうち,船舶遭難者の遺言についてみてみます。

(1)民法979条(船舶の遭難者の遺言)

①船が遭難した場合,死亡の危険が迫った人は,二人以上の証人の立会のもとに口頭だけで遺言をすることができます。(1項)

②口がきけない人は,通訳人の通訳によって遺言をします。(2項)

③証人がその遺言の趣旨を筆記して,これに署名・押印する。証人のひとり又は利害関係人が家庭裁判所に請求をして,その確認を得る。(3項)

④家庭裁判所は,遺言が遺言者の真意からでてものであるとの心証をえなければ,確認できない。

(2)特殊状況を勘案しての方式の厳格さの緩和

①証人は2名でよい

②口頭での意思表示だけでよい(口がきけない人は通訳人の通訳)

③証人はその場ではなく,危難が去った後に記憶に従って,証書を作成してもよい。遺言者の署名押印は不要です。

④署名・押印もその場でする必要はなく,また,署名又は印を押すことのできない証人がいるときは,証人はその事由を付記する。

⑤病気その他の理由でその人だけが死にそうな場合に限らず,乗船者全員が危険な状態の場合にも,この船舶遭難者の遺言の方式で遺言をすることができます。

⑥死亡の危急に迫った者の遺言(民法976条)のような遺言者,証人への読み聞かせあるいは閲覧,筆記の正確さの承認は求められていない。

(3)船舶遭難者の遺言の効力

 遺言者が普通の方式によって遺言することができるようになったときから,6ヶ月間生存するときには,効力を生じません。

3.まとめ

 タイタニック号の遭難のような場合に遺言をしたければ,証人二人を見つけて,口頭で遺言を伝えればよいのです。

 規定は規定として,死亡の危険が迫っている中で,遺言を残そうと考えたり,遺言の証人を引き受ける余裕がある人がいるのでしょうか。この条文を読むたび疑念が湧いてきます。

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2016年

5月

12日

保険金受取人が死亡していた場合,誰が保険の受取人になるのだろうか。

妻を生命保険の死亡保険金受取人に指定していたところ,妻に先立たれてしまった。
受取人を変更しないまま,夫が亡くなってしまった。
誰が夫の保険の死亡保険金を受け取ることができるのでしょうか。

今回は,
①生命保険における死亡保険金受取人が被保険者より先に死亡した場合,死亡保険金受取人は誰になるか。
その受取人が複数になる場合の受取割合はどうなるか。
を検討してみようと思います。

1.保険金受取人が保険事故の発生前に死亡した場合

(1)保険金受取人が保険事故の発生前に死亡した場合の受取人

 保険証券に記載された死亡保険金受取人の相続人が,死亡保険金の請求権を相続します。(保険法46条(保険金受取人の死亡))

 たとえば,妻に先立たれた夫が,保険の受取人を変更しないまま死亡。この場合は妻の相続人がこの保険の受取人になります。
 ご夫婦に子どもがいなかった場合には,妻の相続人である妻の両親などの直系尊属,いないときは妻の兄弟姉妹,それもいないときは甥・姪が保険金を受け取ることになります。
 死亡した夫側の相続人には保険金は支払われません。
参考ブログ:「家族全員が死亡,妻を受取人にした夫の保険の受取は夫の両親になるのだろうか。

(2)保険金受取人が保険事故の発生前に死亡した場合の受取割合
ア 保険証書上の死亡保険金受取人を特定の者に指定している場合

 受取割合は受取人の全相続人は全員同額です。相続割合ではありません。(民法427条(分割債権及び分割債務))

イ 保険証書上の死亡保険金受取人を相続人としている場合

 受取割合は亡くなった被保険者の相続人の法定相続割合になります。被保険者とは保険がかけられている人のことです。先ほどの例では,夫は契約者であり被保険者です。

 ここでの相続人は「被保険者の相続人」のことを指しています。アの場合で言う相続人は「保険証書上の死亡保険金受取人の相続人」のことを指しています。混同しやすいのでお気をつけください。

参考ブログ:「保険金受取人が相続人のときの相続人の範囲とその受取割合の取扱い

2.保険金受取人が保険事故発生時に同時に死亡した場合

(1)保険金受取人が保険事故発生時に同時に死亡した場合の受取人

 こうした同時死亡の場合には,同時に死亡した者は保険証書上の死亡保険金受取人の相続人とはなりません

 たとえば夫婦が同時に死亡したような場合ですと,死亡保険金受取人である妻の保険金の請求権に関する相続人としては,夫はカウントされません。
参考ブログ:「家族全員が死亡,妻を受取人にした夫の保険の受取は夫の両親になるのだろうか。

(2)保険金受取人が保険事故発生時に同時に死亡した場合の受取割合

 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡した場合の受取割合(1.(2))と同じ扱いになります。
 つまり,特定の者を指定している場合は,その指定された人(保険証書上の死亡保険金受取人)の相続人の全員が同額を受け取ります。
 相続人としている場合には,死亡した人(被保険者)の相続人がその法定相続割合にしたがって保険金を受け取ります。

3.まとめ

 死亡保険金受取人が先に死亡してしまった場合には,忘れずに受取人の変更手続きをおこない,意図した人が保険金を受け取ることができるようにしておくことが大事です。

注意:保険証券に記載された死亡保険金受取人の相続人が,死亡保険金の請求権を相続します。(保険法46条(保険金受取人の死亡))となっていますが,この保険法46条は任意規定です。
したがって,保険契約を結んだ生命保険会社の約款によっては違う内容になっていることもあります。ご自分の契約については契約保険会社の約款でご確認ください。

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2016年

5月

01日

続・同じ戸籍に名があれば,みんな親子や兄弟姉妹でしょうか(姻族関係終了・分籍)。

 前回,「同じ戸籍に名があれば,みんな親子や兄弟姉妹でしょうか。」ということについて考えてみました。
 同じ戸籍に名があっても,親子または兄弟姉妹関係ではないこともあります。その関係は姻族関係です。

 前回の生存配偶者と死亡配偶者である父の子だけになった戸籍の例について,この姻族関係を終了させる方法,戸籍を別にする方法について考えてみます。

1.姻族関係終了

(1)姻族関係の発生

 姻族関係は婚姻(結婚)によって発生します。
 姻族とは「配偶者Aの兄弟の妻」とか「他方配偶者Bの父母」などのように,「配偶者Aの血族の配偶者」及び「他方配偶者Bの血族」を言います。

(2)姻族の効果

 結婚して姻族関係が発生しますと,それにともなう権利義務などが出てきます。以下に例を挙げます。

①同居の姻族の互助(民法730条)
②扶養義務(民法877条2項)
③直系姻族間の婚姻禁止(民法735条)

(3)姻族関係終了
ア 離婚の場合

 姻族関係は離婚の場合は直ちに終了します。

イ 相手方配偶者死亡の場合

 相手方配偶者が死亡した場合には,生存配偶者が届け出ることによって終了します。(民法728条2項,戸籍法96条)
 姻族関係終了届は姻族関係が終了するだけで,戸籍の変動はありません。戸籍の異動を希望するときには,復氏の手続が必要になります。(民法751条1項,戸籍法95条)

 姻族関係終了につきましては,次のブログを参考にしてください。
夫が亡くなったとき、婚家の方(夫の両親)から妻と法的に縁を切ることはできるのでしょうか。
夫が亡くなっても妻は嫁ぎ先の嫁が当たり前だろうか。

2.子どもの新戸籍

 分籍,その他の方法により新戸籍を作成しても,姻族関係は終了しません。姻族関係終了の届けは,生存配偶者だけしか提出できません。姻族関係を終了させることができるのは,生存配偶者のみということです。

(1)分籍

 分籍とは,氏の変動を伴わずに、従前の戸籍から除籍して新戸籍を作ることです。
 成年に達すれば分籍は自由にできます。
 分籍がおこなわれますと,その子が戸籍の単独の筆頭者となります。
(戸籍法21条,100条)

(2)その他の方法

 ①その子が家裁の許可をもらい、実の母親の戸籍への「入籍届」を出す。(民法791条)
 ②その子が結婚して妻(夫)と新戸籍を作る。(民法750条,戸籍法16条)
 ③その子が子供を生み出生届または認知して子を入籍させる。(戸籍法17条)

3.まとめ

姻族関係のみの関係で同一戸籍になっている場合において,
姻族関係を終了させることができるのは,生存配偶者のみであり,
死亡した配偶者の子は分籍やその他の方法により新しい戸籍を作ることにより,父の生存配偶者と違う戸籍に入ることができます。

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2016年

4月

30日

同じ戸籍に名があれば,みんな親子や兄弟姉妹でしょうか。

 戸籍に名がある者同士は親子か,兄弟姉妹の関係があるのでしょうか。それについて考えてみます。

1.子どもの氏と戸籍

 子どもは氏(姓あるいは名字のこと)は両親が婚姻中か離婚しているかによって変わります。

(1)婚姻中の子の氏と戸籍

 婚姻(結婚)をしている子供の氏は両親と同じです。また両親と同一の戸籍です。

(2)離婚した夫婦の子の氏と戸籍

 離婚がおこなわれても子どもの氏,戸籍は変わりません。

2.離婚による氏と戸籍の変動

(1) 夫の氏,戸籍(正確には戸籍の筆頭者について)

 離婚がおこなわれても夫の氏,戸籍は変わりません。

(2)妻の氏,戸籍(正確には婚姻時に氏を変えた配偶者について)

 妻は婚姻前の氏か婚姻時の氏かどちらかを選択できます。
 婚姻前の氏に戻るときは婚姻前の戸籍があるときにはその戸籍に戻ります。
 婚姻時の氏を名乗るときや,婚姻前の戸籍がなくなっているときは,新しい戸籍を作ります。
 (民法767条,戸籍法19条1項,戸籍法77条の2)

(3)両親が離婚した子の氏の変更
ア 離婚の場合の子の氏,戸籍

 離婚がおこなわれても子どもの氏,戸籍はそれだけでは変動はありません。

 父親が戸籍の筆頭者だの場合には,父と子は同一の氏であり,同一の戸籍です。
 母と子は氏は異なり,戸籍も別となります。
 婚姻時の氏を離婚後の氏として選択しても,それは同じ氏ではないとされます。母の名乗る氏は民法上の氏ではなく,呼称上の氏として区別されています。

イ 離婚の場合の子の氏の変更手続き

 子の氏を母と同じ氏に変えるためには手続が必要になります。(民法791条,戸籍法98条1項)

 子ども本人,子どもが15差未満の場合は親権者が家庭裁判所の許可を得て,入籍届を提出します。
 この手続きをおこなうことにより,母親と子どもの氏は同じものとなり,戸籍も同じ戸籍となります。
 今度は,父親は子と氏が相違すると同時に,戸籍も別となります。

参考ブログ:「子の氏の変更について考える。

3.婚姻の場合の配偶者の氏,戸籍

 婚姻に際して夫の氏を名乗る場合,夫の戸籍に入ります。(妻の姓を名乗る場合は,妻の戸籍に入ります。(民法750条,戸籍法74条1号)

参考ブログ:「夫に死別した妻が再婚後に離婚。離婚後の姓の取扱い。

3.同一戸籍の家族関係

 同一戸籍の家族関係の一例を示します。
 この例では再婚相手の妻と前妻の子が養子縁組を結んでいないとして考えています。

①親子同氏の原則
 夫に再婚前に離婚した前の妻との子がいます。夫と子は同じ氏であり,同じ戸籍です。
②夫婦同氏の原則
 夫が再婚し,妻が夫の氏を名乗ることとしました。妻は夫と同じ氏であり,同じ戸籍です。
③同氏同籍の原則
 夫も妻も子も同じ氏であり,同一の戸籍です。

 つまり,再婚時に夫側に子があり,その戸籍に再婚時に妻が入籍するという事例です。

4.まとめ

 先ほどの例でも分かりますように,同一の戸籍にある者が必ずしも親子や兄弟姉妹関係があるとは限りません。

 この戸籍で戸籍の筆頭者である夫が死亡すると,親子でもない,兄弟姉妹でもない者同士が同一戸籍に同居する事態が発生します。父の配偶者である者と夫の子である者とは姻族関係にあると言います。
 この戸籍の解消の方法については,次回とします。

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2016年

4月

24日

ハンコと印鑑は同じものだろうか(ハンコの基礎知識)

 ハンコ(判子)にまつわる名称は多く,その意味が紛らわしいものもまた多いです。
 今回は主に個人のハンコについて見てみようと思います
 ちなみに,山梨県にはハンコで有名な六郷町があります。水晶細工からの歴史を持つ宝飾産業は山梨県の代表的な産業の一つです。

1.ハンコ(判子)にまつわる名称

 思いつくまま並べてみます。
 実印,認め印,銀行印,三文判,シャチハタ印,印章,印鑑,印顆,印形,印影の語が浮かんできます。

2.ハンコにまつわる基本的な要素(印形・印影)

 ハンコにつて考えるに当たって基本的な二つの要素があります。
 印形と印影です。

(1)印形(いんぎょう)

 印形は印顆(いんか),印判(いんばん)とも言います。
 文字が彫刻された木、牙(きば)、角、水晶、石、金属などの印材のことを言います。ハンコと言えばこれを指します。

(2)印影(いんえい)

 朱肉を付けた印形を紙などについたときに,そのついた紙などに残る印形の跡(影蹟)のことを言います。
 「印が逆さになっている」などと日常使う「印」のことです。

(3)押印(おういん)

 捺印(なついん),押捺(おうなつ)とも言います。
 印形に朱肉を付けて紙などの上に押して,その押した紙などの上に印影を残す行動を言います。
 日常いうハンコをつくと同じ意味です。

3.印章(いんしょう)

 日常語と法令用語ととしての意味が少し違うので注意が必要です。

(1)日常語としての印章の意味

印形すなわちハンコのことをいいます。
ハンコ屋も看板をよく見ると印章店となっています。

(2)法令用語としての印章の意味

 日常的な使い方とは違い,印章は印影の意味で使われます。(民法970条1項2号)
 刑法では,印章の意味として印影のほかに印形も指すという判例があるようです。
 紛らわしいかぎりです。

4.印鑑(いんかん)

 印鑑も印章と同様に日常語と法令用語の意味に違いがあります。

(1)日常語としての印鑑の意味

 印形すなわちハンコ,日常語としての印章のことです。
「今日は印鑑をお持ちですか」という時の印鑑のことです。

(2)法令用語としての印鑑の意味

 法令用語としての印鑑は印影を指します。印鑑証明のために届けてある印影のことをいいます。
 印影(印を押した跡の形)と対照してその真否を確かめるためにあらかじめ官公署、取引先に差し出しておく印影[有斐閣 法律用語辞典 第4版]

(3)印鑑登録・印鑑証明の法的根拠

 印鑑証明の根拠法令を調べてみましたが,見つかりませんでした。
 各市町村の自治事務として地方自治法第2条第3項に定められている「市町村が行う事務」に該当すると思われます。

 私の住む山梨県甲府市の印鑑条例は次のページにあります。「甲府市印鑑条例
 シャチハタ印の禁止などがこの条例の中にあります。

(4)実印・認め印
①実印

 印鑑証明のために印影が届け出てある印形(ハンコ)のことです。

②認め印

 実印以外のすべての印は認め印ということになります。
 すなわち,銀行印,三文判,シャチハタ印などのことです。

5.まとめ

 ハンコと印鑑は日常使う言葉としては,同じものを指します。
 法令用語としては,ハンコと印鑑は別のものを指します。

 ハンコに関する用語は混乱しています。意味が通じればそれでよしとしても日常生活に困ることはありません
 それより,注意が必要なのは,必要もないのに押印しないということです。
 実印・三文判にかかわらずその効力は変わらないと思うべきです。

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2016年

4月

22日

行政書士による「相続・遺言・成年後見無料相談会(コスモス山梨)」7月まで日程

平成28年7月までの日程が決まりました。

◎行政書士による「相続・遺言・成年後見無料相談会」(コスモス山梨)毎月定期開催中
どうぞご利用ください。

主催:コスモス成年後見サポートセンター山梨県支部
 問合せ:055-237-2601(山梨県行政書士会事務局)
 場所:山梨県立図書館(甲府駅北口)
 時間:午後2:00 から 午後5:00

実施日程

5月18日(水)交流ルーム103
6月14日(火)交流ルーム103
7月5日(火)交流ルーム103

 

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4月

10日

遺言書作成にともなうリスク(遺言の撤回と遺言能力)

 相続に関する記事を読むと,必ずといっていいほど遺言書作成を勧めるものが多いです。
遺言書作成は遺産相続の争いに決着を付けるには十分な効果を持っています。
 しかし,メリットだけでなく,デメリットもあることも理解したうえで遺言制度を利用するのが望ましいと思います。
 今回は,遺言書作成にともなう好ましくない点について考えてみます。

1.遺言の効力

(1)遺言の効力発生時期

 遺言は遺言者の死亡の時から効力が発生します。(民法985条)
 このことから,遺言の効力が発生するのは通常は遺言がなされてからかなりの時間の隔たりが予想されます。その間に,遺言を作成したときに想定していた家族環境が大きく異なってしまい,遺言を修正する必要が出てくることは十分考えられます。

(2)遺言の撤回

 いったん行った遺言は,その遺言者が撤回しないかぎり有効です。(民法1022条)
 撤回は法律が定める方式に従ってしなければ,撤回したことにはなりません。法律に従った撤回でないものは無効です。
 つまり,遺言を撤回するには遺言能力が必要になるのです。

ア 遺言撤回の方式
①遺言の方式に従って撤回

 新たな遺言によって前の遺言を撤回します。
 前回にした遺言の方式とは別の遺言の方式によって撤回することも認められています。たとえば,前回の公正証書遺言を今回は自筆証書遺言の形式で撤回することができます。

②法定遺言撤回

 一定の事実が認められる場合には,以前になされた遺言は撤回したものと見なされます。
・前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合や遺言した財産を死亡する前に処分してしまった場合など(民法1023条)
・遺言書や遺贈したものを破棄したり壊した場合(民法1024条)。

 つまり,後の遺言の内容を実行しようとすると,以前の遺言の内容と矛盾してしまう場合は,その矛盾する部分の遺言は撤回されたとみなされます。

2.遺言能力

 次の二つの条件を満たす人は遺言をすることができます。
 行為者本人保護の制度である行為能力制度は,遺言には適用されません。
 したがって,制限行為能力者(未成年者,成年被後見人,被保佐人,被補助人)も後見人などの同意はいりません。

(1)年齢制限

 15歳にならないと遺言をすることはできません。(民法961条)
 15歳に満たない人がした遺言は無効です。親が同意したり,追認したり,子に代わって代理して遺言することはできません。

(2)意思能力

 遺言内容を理解し,遺言の結果を予測できる(弁識しうるに足る)意思能力が必要です。15歳になっていてもこの意思能力(遺言能力)がない場合は,遺言は無効です。

 遺言をするに足る意思能力である遺言能力は,遺言によってなされる内容の難易度,遺言される財産額などによって,その程度は異なってきます。遺言能力程度は個別具体的な遺言についてその程度は異なります。また,財産の管理能力までは要求されません。

3.遺言書作成のリスク

 一度作成した遺言も家族関係の変化にともない修正する必要が出てきます。特に,若年の時期に作成した遺言は,その効力が発生するまでの期間が長くなりますので,以前の遺言の内容を変更する必要が強くなります。
 しかし,以前の遺言の内容を撤回して,新しい内容の遺言を作成することが制限される場合が出てきます。まったく自由には,前遺言を撤回して新たな遺言をするわけにはいかないのです。

(1)遺言書撤回の形式

 遺言書の撤回は,遺言作成の方式に従わなければなりません。正式な撤回が行われるまで以前の遺言の内容が有効のまま残ってしまいます。また,遺言書に方式上の誤りがある場合には,その遺言で撤回したつもりの遺言が依然として有効のままであるという恐れも出てきます。

(2)遺言能力

 遺言の撤回をして新しい遺言書を作成するためには,遺言能力が必要になります。
 遺言書作成時の遺言能力の程度によっては,有効な遺言書を作成することができなくなるおそれがあります。

4.まとめ

 遺言書作成は相続にともなう争いに決着を付ける効果は大きいが,一度作成した遺言を撤回するには法律に従った撤回の方式をとらなければならないという不都合な面も出てきます。最悪の場合は,遺言能力の低下により以前の遺言の内容を撤回できない恐れも,出てきます。

 遺言書作成の必要性をよく検討したうえで,遺言書作成を行うことが望ましい気がします。民法に定めてある法定相続の規定で過不足がなければ,遺言書作成の必要はないでしょう。

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2016年

4月

03日

兄弟姉妹が外国に住んでいるときの相続手続

 最近は,親戚の誰かが外国に住んでいて日本にはいないというのも,めずらしくありません。兄弟姉妹の誰かが外国暮らしだと聞いても驚かなくなりました。
 今回は相続人の誰かが外国に居住している場合の相続手続について考えてみます。
 相続人に外国籍の人がいる場合には今回は触れていません。相続登記の添付情報がもう少し複雑になります。

1.相続手続の流れ

 相続が発生しますと相続手続は以下のような流れになります。

①相続人の調査
②相続財産の調査
③全相続人による遺産分割協議
④遺産分割協議にしたがった不動産などの登記

2.不動産の相続登記

(1)相続登記の添付情報

 上記④の相続登記を行うときには次のような添付書類が必要です。

①遺産分割協議書
②死亡した人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍,除籍,改製原戸籍の謄本
③被相続人の住民除票
④相続人全員の戸籍謄本
⑤固定資産評価証明書
相続人全員の印鑑証明書
不動産を取得する相続人の住民票

(2)外国在住者の場合の証明書

ア 外国在住者の印鑑証明書(上記添付情報⑥)に替わる証明書

 印鑑証明書は日本に住民登録をしていない人には印鑑登録ができませんので,海外に在留している人には印鑑証明書は発行されません
 印鑑証明書に替わる証明書として「署名証明書」(サイン証明書ともいいます)などがあります。

①在外領事が発行する署名証明書(サイン証明書)

 在外日本領事が印鑑証明書の替わりに発行します。申請者の署名が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。
 2種類あります。

ⅰ申請者が領事の面前で署名した遺産分割協議書と利用時が発行した証明書を一緒に綴じて,割印をしたもの
ⅱ申請者の署名を単独で証明するもの

②現地公証人が発行する署名証明書(サイン証明書)
③日本の公証人による公正証書による遺産分割協議書

 日本に一時帰国のさいに作成する。

イ 住民票(上記添付情報の⑦)に替わる証明書

 日本に住民登録をしていませんと,当然住民票は発行されません。
 住民票に替わるものとして,「在留証明書」を取り付けます。日本の在外公館で発行されます。

在外公館の発行する各証明書については外務省の次のページをご参照ください。
在外公館における証明書:http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html

3.まとめ

 相続人が外国に在留している場合の相続手続は難しいものではありませんが,時間と手間がかかります。
 通信網の発達により,メールや電話により打合せ・連絡は便利になってはいます。それでも各証明書の取付けは国内にいる相続人に比べ煩雑です。

 不動産の相続登記の煩雑さを避けるためには,「相続させる」旨の遺言書の作成などの検討が必要になります。

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2016年

4月

02日

成年後見人を辞めたいと申し出たが取下げをしたい,可能か(辞任申立の取下げの可否)

1.審判の申立ての取下げの制限

(1)申立ての取下げに関する原則

 原則として,審判があるまでは申立ての取下げは自由です。(家事事件手続法82条)
 申立ての取下げは申立てがなかった状態にすることですから,原則的には自由のはずです。

(2)後見申立ての取下げの制限

 以下の申立てについては,審判の前であっても家庭裁判所の許可がなければ取り下げることができません。(家事事件手続法121条)
 公益的観点から取下げの自由を規制する必要があるためです。

後見開始の申立て(同条1項)
成年後見人が欠けたときの成年後見人選任の申立て(同条2項)
③成年後見人が辞任し,後見人を選任する必要があるときの成年後見人選任の申立て(同条3項)

2.後見制度に関する申立ての取下げの制限

(1)後見関係の申立ての取下げ

 後見関係の審判申立ての取下げについての制限されるのは具体的には次の審判の申立てです。
(家事事件手続法121・133・142・180・221の各条)

後見・保佐・補助の開始
成年後見人等(後見人,保佐人,補助人)が欠けた場合の成年後見人等の選任
成年後見人等の辞任によって成年後見人等がいなくなったなどの場合の成年後見人等の選任
任意後見契約の効力を発生させるための任意後見監督人の選任
未成年後見人の選任

(2)申立ての取下げの手続

 上記の申立ての取下げをする場合は,取下げの理由を明らかにしなければなりません。
(家事事件手続規則78条1項,85・86・97・118の各条)

(3)後見人等候補者が選任されないと予想されるときの取り下げ

 よく質問されますが,家庭裁判所が選任しようとする後見人等が申立人の意にそわない人物であっても,申立ての取下げはできません。
 また,その選任について異議の申立てもできません。

次のブログを参照してください。
自分が後見人に選任されないならば,申立てを取り下げることができるのでしょうか。

3.まとめ

 成年後見人等が必要になる場合においては,いったん申し立てた申立てを申立人の都合で取り下げるには,審判前であっても裁判所の許可が必要となります。
 一方,後見人等の辞任などの申立ては,審判の前であればいつでも取下げができると思われます。

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2016年

3月

29日

相続争いの後に何が残るのでしょうか(遺言の限界)。

父親が亡くなって13年。「以前は仲が良かった」という親族間のいさかいの出口はまだ見えない。

情報源: 8年後に出てきた遺言書、「争族」の決着は?

相続争いの不毛さをおもい,他人のこととはいえ暗澹たる気持ちに襲われてしまいました。

なぜ取り立ててこの記事に引き込まれたのだろうか。
たぶん,相続争いと無縁とおもえる兄弟間に起こった争いだったからかもしれません。
しかも,父親の死後13年も経過している今,いまだ解決の目処がたっていないためなのかもしれません。

相続争いの予防策としての遺言の限界について,思いつくまま書いてみます。

1.相続争いによく出てくる事情

相続争いの発端としてよく出てくるのが次のような話です。

①本人が認知症を患っている。
②本人を一部の親族が隔離する。
③養子縁組がなされる。
④遺言が作成される。
⑤本人の死亡直前に養子縁組・遺言書作成がなされる。

2.相続争いの行き着く先

(1)争いの長期化

裁判で争うのが一般的ででしょうが,長期化する傾向があります。
今回の事例でも,相続後争いは13年間も続いています。

(2)修復不可能の人間関係

どちらが勝ったとしても,家族関係は修復不能となってしまいます。
勝ったところで残るのは少々の財産だけです。
相続争いは得るものは少なく,失うものは大きいのです。

3.相続争いの回避策の有効性

遺言書作成

遺言書を作成すればよいという人もいますが,私は悲観的にならざるを得ません。

遺言書に不満なものが必ず出てくるからです。形式的には遺産分割は終了しますが,不満は残ったままです。
不満が昂じてくれば,遺言書の有効性について裁判が行われるということになってしまいます。

4.まとめ

相続における争いの種は,遺産がたくさんあるかどうかということに関わりなく発生してしまいます。
いったん発生してしまえば,どう解決したとしても不満を残す人が出てきます。そして,家族関係は破戒され,修復はきわめて難しくなってしまいます。

法定相続人全員が納得できる遺言はない。そう覚悟を決める必要があります。
それを避けたいのであれば,法定相続にしたがって相続させるほかはないのではないでしょうか。

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2016年

3月

21日

親の土地に自分で家を建てて住んでいるが,親が死んだ場合どうなるのだろうか。

 親の土地のうえに家を建て,親より先に家を建てた子どもがなくなった場合,その家に住んでいる配偶者や子どもは,家を撤去して出ていく必要があるのか。ということをこのブログで考えたことがあります。
 参考ブログ:
嫁さんの家の土地にある夫婦共有建物,嫁さんの早死にで土地明渡し?
嫁さんの家の土地にある夫婦共有建物,嫁さんの早死にで土地明渡し?(相続時精算課税と所有権の追補)

 土地の使用料を払わずに親の土地のうえに家を建てて住んでいる娘夫婦は,親が死亡した場合にはその権利関係はどうなるのでしょうか。今回は,そのことを考えてみます。

1.親の死亡と親の土地の使用貸借

(1)使用貸借契約

 親の土地をタダ(無償)で使わせてもらう契約のことを使用貸借契約といいます。特別に契約書を取り交わすことなく約束したものを黙示の使用貸借契約と呼んでいます。
 子どもである娘は,親の土地を無償で借りる契約をしたという子となります。

(2)貸主の死亡と使用貸借契約

 貸主である親が亡くなっても,無償で借りる契約が亡くなってしまうわけではありません。
 使用貸借契約の契約期間は,通常は借主が死亡するまでとなっています。(借主の死亡による使用貸借の終了民法599条)
 普通は,親の子である娘(借主)が死亡するまで,使用貸借契約は続きます。

2.親の土地の使用貸借における相続上の留意点

(1)遺産分割協議による底地の獲得

 底地とは建物の建っている土地のことをいいます。
 遺産分割協議において,自分の家の底地が自分に分割されないということが起こるかもしれません。

(2)特別受益の評価対象としての使用貸借権

 使用貸借をしている娘は親から生前に使用貸借する権利を贈与されたことになり,通常は特別受益として遺産分割する財産の中に加えられます。
 遺産分割する財産にその特別受益を加えなくてもよいという意向を親が表明することを,「被相続人の持戻し免除の意思表示」といいます。

3.使用貸借に関係する相続対策

 使用貸借の借主の立場から相続対策を検討すると次のようになるのではないでしょうか。

(1)底地について

 底地は評価が低くなる傾向がありますので,通常は遺産分割の対象としてほかの相続人が希望することはまれでしょう。ほかの相続人が希望したとしても,通常より低い価格に基づき自分の手持ちのお金を支払うことも可能となります。これを代償分割といいます。

(2)特別受益について

 特別受益の持戻し免除の意思表示をしてもらうようにします。

(3)遺言書について

 遺言書を作成してもらうのが一番確実の方法です。
 底地については使用貸借権者(娘)に相続させると遺言を残してもらいます。
 使用貸借権の特別受益については持戻しを免除する旨を遺言書に書いてもらいます。

(4)借地権契約,相続時精算課税について

 遺言書を書いてもらうのが一番よいのですが,それが難しい場合は借地権契約を結ぶというのもひとつの解決策になります。
  ただし,権利金の支払いがないときには娘へ権利金分を贈与したことになる場合がありますので,税務上の注意が必要です。
また,相続時精算課税の利用の検討なども有効ではないでしょうか。

 相続時精算課税制度についてはこちらのブログを参照してください。
相続時精算課税制度とは,なにもの。
相続時精算課税制度とは,なにもの(続)

4.まとめ

 親の土地に自分たちが家を建てて生活をするということは,一般的に行われていますし,理にかなっている方法でもあります。
 ただ,相続時にはそれが使用貸借の契約によるものなので,すこし注意が必要になります。
遺言を書いてもらう,それが無理であれば借地契約や相続時精算課税などの制度を利用することなどが考えられます。

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2016年

3月

06日

私の子は私の妹です(相続資格の重複の場合の相続分)

 前々回に相続資格の重複について書きました。
 そこでは,妻が夫の父の養子となり,夫がなくなった場合は夫の配偶者であるとともに,夫とは義理の姉妹関係にもなるということに触れました。
参考:「私の妻は私の妹です(相続資格の重複)

今回は,
子であるという相続資格と代襲代襲相続人であるという相続資格の重複
婚外子を養子にした場合の婚外子であるとともに嫡出子の子という相続資格の重複
をみることにします。

1.代襲相続人と子の相続資格の重複

(1)孫を養子とした場合

相続資格の重複,子と代襲相続資格
相続資格の重複,子と代襲相続資格

 父Fに子Aと子Bがいます。Aには子がひとり,Bには子はいません。
 父Fが子Aの子C(父Fの孫)と養子縁組を行いました。
 その後,父Fより先に子Aが死亡し,ついで父Fが死亡しました。母はすでに亡くなっています。

 相続人は子のみでA,B,C(養子)の三人です。
 Aはすでに亡くなっていますので,Aの代襲相続人CがAを代襲します。
 Cは父Fの子としての相続資格と子Aの代襲相続人としての相続資格が重複することになります。

(2)代襲相続人と子の相続資格は重複して認められるか

 相続資格の重複を認めて,二口分の相続を認めています。
 つまり,Bの相続分は3分の1,Cの相続分は3分の2となります。

(3)重複して認められる理由

①相続人としての身分関係が重複することを民法が認めていること。
②もし子Aが父Fより長生きしていれば,子Bは3分の1であること。(「偶然の事情による利益・不利益はできるだけ避けよ」という基本原理から来ています。)

2.婚外子と嫡出子の相続資格の重複

(1)婚外子を養子とした場合

 父Fには配偶者との間に子Aがいます。
 また,父Fには配偶者とは別の女性の間に認知した子婚外子Bがいます。
 父Fは婚外子Bを養子としました。

(2)婚外子の相続資格と嫡出子の相続資格は重複して認められるか

 認められません。嫡出子の相続資格だけが認められます。

(3)重複して認められない理由

 婚外子,嫡出子についてそもそも身分関係の重複がありません
 養子縁組の目的は婚外子Bに嫡出子の地位を与えることです。(嫡出子,非嫡出子の相続割合が平成25年の民法改正で均等になったためにこの目的での養子縁組は意味をなさなくなっています)。

3.まとめ

養子としての相続資格と代襲相続人としての相続資格は重複して認められ,二口分の相続分が認められる。
配偶者としての相続資格と兄弟姉妹としての相続資格が重複したときには,配偶者としての資格相続資格のみが実務上認められる。

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2016年

3月

04日

認知症損害賠償事件の最高裁判決にみる成年後見人の賠償責任(成年後見人は監督義務者か)

 JR東海が男性の家族に損害賠償を求めていた訴訟の最高裁判所の判決が、最高裁判所で3月1日にありました。
 この判決に出てくる監督義務者と成年後見人の関係についてみていきたいと思います。

 なお,成年後見人の賠償責任について次の過去のブログも参照してください。
後見人になったが為に,認知症の人の賠償金を払わされて破産?
認知症の親の介護で自己破産?(監督義務者の賠償責任)
高齢の妻に認知症の夫の監督義務を認定(名古屋高裁)
行政書士の賠償責任補償制度(成年後見人の賠償保険を中心として)

●男性の家族は「監督義務者」にあたらない

弁護団などによると、事故が起きたのは2007年12月。認知症の男性は、妻(当時85歳)が目を離したすきに外出して、愛知県大府市にあるJR東海道本線の駅構内から線路に立ち入り、列車にはねられた。JR東海は2010年、列車が遅延して損害が発生したとして、男性の家族に損害賠償を求める訴訟を起こした。

民法では、責任能力がない人は損害賠償責任を負わないとしつつ、その人の「監督義務者」が原則として責任を負うとしている(714条)。男性は認知症で責任能力がなかったとされたため、男性の妻や長男らに「監督義務」があったかどうかが大きな争点になった。
https://www.bengo4.com/saiban/1139/n_4357/ (弁護士ドットコム ニュース)

1.監督義務者とは誰を指すのか

 認知症患者などが他人に損害を与えた場合は,その認知症患者には損害を賠償する責任はありません。そのかわりに,認知症患者などを監督する人(監督義務者)が,その監督義務に過失があったことを根拠に,その発生した損害を賠償しなければなりません。(民法714条1項)

(1)旧来,法定の監督義務者とされた賠償責任負担者

 手元にある法律関係の書籍の何冊かに当たってみました。法定の監督義務者とされている者は大差ありませんでした。
 私なりに整理しますと次のようになります。

ア 未成年者の監督義務者

 親権者,親権代行者,未成年後見人
 離婚に際して,親権者と別に監護者が選ばれている場合には,監護者が監督義務者
 児童福祉施設に入所中の者で親権者・未成年後見人のいない場合には同施設の長

イ 精神的な障害による責任無能力者の監督義務者

 成年被後見人の場合 成年後見人
 精神障害者の場合 保護者(異論あり) 

(2)認知症損害賠償事件の最高裁判決が示した法定の監督義務者

ア 成年後見人,保護者は法定の監督義務者には当たらない

 精神的な障害による責任無能力者の法定の監督義務者について旧来それに該当すると考えられていた法的地位に該当する者は,法定の監督義務者ではないと判示しました。

 「保護者や成年後見人であることだけでは直ちに法定の監督義務者に該当するということはできない。」と今まで当然監督義務者に該当するとしていた法的立場の人の賠償責任を否定しました。

 つまり,成年後見人は法定の監督義務者ではなく,監督義務者として被後見人の引き起こした不法行為の損害賠償義務はないと判決の理由として明確に示しました。

イ 法定の監督義務者に準ずべき者

 この判決にしたがうと,精神的な障害による責任無能力者の監督義務者がいないことになってしまいます。
 そこで出てきたのが「法定の監督義務者に準ずべき者」という考え方です。714条2項の代理監督者とは違います。

ハ 法定の監督義務者に準ずべき者に当たるかどうかの判断基準

 以下にその基準を判決から抜き出しておきます。たぶん私と同じようにちんぷんかんぷんだと思います。
 気が向くようでしたら読んでください。

ある者が,精神 障害者に関し,このような法定の監督義務者に準ずべき者に当たるか否かは,その者自身の生活状況や心身の状況などとともに,精神障害者との親族関係の有無・濃 淡,同居の有無その他の日常的な接触の程度,精神障害者の財産管理への関与の状 況などその者と精神障害者との関わりの実情,精神障害者の心身の状況や日常生活 における問題行動の有無・内容,これらに対応して行われている監護や介護の実態 など諸般の事情を総合考慮して,その者が精神障害者を現に監督しているかあるい は監督することが可能かつ容易であるなど衡平の見地からその者に対し精神障害者 の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか否かという観 点から判断すべきである。

 判決全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/714/085714_hanrei.pdf

2.まとめ

 成年後見人は成年被後見人の法定の監督義務者に当然には該当しません。
 とはいえ,その置かれた状況においては法定の後見監督義務者に準ずべき者に当たるとして,民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)の賠償責任を追及されることもありえます。

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2016年

2月

27日

私の妻は私の妹です(相続資格の重複の場合の相続分)

 いささか近親婚のような表題を掲げましたが,ここでは相続の資格を複数持つ場合の相続の割合について考えたみようというわけです。
 妻で妹というような変則とも思われる相続資格の重複は養子縁組と代襲相続制度に由来します。

養子縁組につては下記のブログも参照してください。
養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)。
養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)その2
養子の相続財産を相続する者が兄弟姉妹の場合,養子縁組前の兄弟姉妹は関係ない?

1.相続人の資格

(1)相続人と受遺者

ア 相続人

 相続人というのは民法の規定により相続権を持つ人のことです。この人のことを法定相続人と呼びます。つまり,相続人とは法定相続人のことになります。

 具体的には以下の者が相続人になることができます。
 推定相続人とは,今現在死亡したと仮定した場合の相続人のことをいいます。
 実際に死亡が発生して,死亡した者の財産を継承すると法律で決められた人が相続人と呼ばれます。

死亡した者(被相続人)の
①配偶者は常に相続人です。
以下の者は次の優先順位より相続人となります。
①子(その他の直系卑属,代襲相続人)
②父母(その他の直系尊属)
③兄弟姉妹(代襲相続人としての甥・姪)

イ 受遺者

 遺言で被相続人が自分の財産を与えるとして指定した人のことをいいます。
 自分の財産とはいえ,被相続人は遺言による処分を一定範囲で制限されています。それが遺留分制度です。

2.相続資格の重複

 養子縁組,代襲相続の制度があるため相続人の資格を複数持つ人が出てきます。
 以下の三つが典型的なケースです。

①養子と配偶者の相続資格の重複
②養子と代襲相続人の相続資格の重複
③嫡出子と非嫡出子の相続資格の重複

3.養子と配偶者の相続資格の重複

 今回は2.①養子と配偶者の相続資格の重複を考えていきます。

(1)Aが長男Bの配偶者(嫁)と養子縁組の場合

ア 身分関係

設定条件
AにはB,C,Dの三人の子があります。
Aは子であるBの配偶者W(嫁)と養子縁組
Aの妻はすでに亡く,Aが死亡
ついでBが死亡してBの相続が発生
Bには子がなく,Bの相続財産は1億2000万円とします。

養子と配偶者の相続資格重複
養子と配偶者の相続資格重複
イ Bの相続人

配偶者  W(Bと結婚しています)
兄弟姉妹 C,DおよびW(養子縁組によりAの子の身分を獲得しています)

4.養子と配偶者の相続資格が重複した場合の相続分の取扱い

(1)戸籍先例(昭和23年8月9日民事甲2371号民事局長回答)

 実務処理としては,配偶者としての資格しか認められていません
 W:配偶者としての相続分3/4(9000万円),兄弟姉妹としての相続分0
 C,D:兄弟姉妹としての相続分は各々1/4の半分の1/8(1500万円)

(2)学説

学説は別れています。

ア 先例賛成説

 Aが息子の妻を養子にしたのは自分の財産を分配する意図に基づくものであり,夫Bの財産の分与を意図したものではないという理由によります。

イ 先例反対説

 配偶者の身分と養子としての兄弟の身分は民法上排斥し合う関係にない資格です。また,社会慣行として子どもの配偶者を養子として迎えることが行われていることから,複数の資格を認めてもよいとしています。

 この説にしたがうと相続分は次のようになります。実務処理と比べるとWの相続は1000万円増えることになります。

W:合計10/12(1億円)
配偶者としての相続分3/4(9000万円),兄弟姉妹としての相続分1/4を3人で分割した1/12(1000万円)。
C,D:各々1000万円
兄弟姉妹としての相続分各々1/12

5.まとめ

 相続資格が重複する場合に,それぞれの相続資格に対する相続分を認められる場合と,片方の相続資格しか認められない場合とがあります
 ここに取り上げた配偶者と兄弟姉妹の相続資格の重複では,配偶者としての相続資格しか先例としては認められていません。これに不満ということであれば,遺言を夫Bが妻Wのために残すことによって解決できます。

 せっかくここまでやってきましたので,②養子と代襲相続人の相続資格の重複,③嫡出子と非嫡出子の相続資格の重複についても回を改めてみていきたいと思います。

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2月

14日

渋谷区の同姓パートナーシップ証明にかかる費用はいくら?

 前回,「同性パートナーシップ証明書では、手術に同意できない?」という記事で,後見人の医療同意について考えてみました。
 今回は,渋谷区の同姓パートナーシップ証明を受けるのに必要な費用について考えてみたいとおもいます。

 発行の正式の手順は「渋谷区パートナーシップ証明発行の手引き 」をご覧ください。

1.パートナーシップ合意契約公正証書作成費用

契約書の枚数が4枚として計算します。

公正証書作成手数料     1万1000円
正本又は謄本の作成手数料    1000円(250円×4枚)

合計 1万2000円

2.任意後見契約公正証書作成費用

 任意後見契約の枚数が10枚として計算します。
 また,この契約は同性パートナー同士がお互いに相手の任意後見候補者となる契約を結びますので,二つの契約になります。したがって費用は二人分必要になります。

公正証書作成手数料     1万2500円(11000+250×6枚)
法務局への登記印紙代      2600円
登記嘱託手数料         1400円
書留郵便料          約 540円
正本又は謄本の作成手数料    7500円(250×10枚×3部)

合計   2万4540円
二人分  4万9080円

3.その他添付書類の費用

戸籍謄本             900円(450円×2人)
住民票              600円(300円×2人)
印鑑登録証明書          600円(300円×2人)
パートナーシップ証明書発行手数料 300円

合計  2400円

4.総費用

(1)原則手続の費用

所要費用は6万3480円となります
(1万2000円+4万9080円+2400円)

(2)特例扱いに該当する場合の費用

 特例扱いに該当する場合には,任意後見契約公正証書の提出は必要ありません。
 したがって,費用はパートナーシップ合意契約公正証書作成費用とその他添付書類の費用のみとなります。

所要費用は1万4400円となります。
(1万2000円+2400円)

特別扱いが適用される条件は

特例適用 次の①~④に該当する場合には、任意後見契約に係る公正証書による確認に代えて、 次の合意契約公正証書を確認し、パートナーシップであることを証明することが できるものとしています。
① 相手方当事者以外の者を任意後見受任者とする任意後見契約を締結し、又は締 結しようとしており、相手方当事者がこれに合意しているとき。
② 性別の取扱いの変更の審判を受ける前の性同一性障害者で、性別の取扱いの変 更の審判を受けた後、婚姻することを両当事者間で合意しているとき。
③ 生活又は財産の形成過程であり、任意後見受任者に委託する事務の代理権の範 囲を特定することが困難であるとき。
④ ①~③のほか、区長が合理的な理由があると認めるとき。(例:性同一性障害者で、従前、他方当事者と婚姻していたが、性別の取扱い の変更の審判を受けるため、これを解消しており、性別の取扱いの変更の審判 を受けた後、現在も引続き同居しているとき)

合意契約公正証書
共同生活を営むに当たり、当事者間において、次の事項についての合意契約 が公正証書により交わされていること。 ・両当事者が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること。 ・両当事者が同居し、共同生活において互いに責任を持って協力し、及びそ の共同生活に必要な費用を分担する義務を負うこと。 ・前ページの①~④のいずれかに該当すること。 ・当事者の一方の身体能力又は判断能力が低下したときは、相手方当事者は、 当該人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を可能な限り援助し、 当該人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮する こと。 ・当事者間で必要が生じたときは、速やかに任意後見契約に係る公正証書を 作成すること。

5.まとめ

 パートナーシップ証明書を発行してもらうのにはかなりの費用が必要となります。
 原則手続きでは,すくなくとも6万5000円ほどの費用がかかります。
 特例扱いでも1万5000円ほどの出費を覚悟しなければなりません。

パートナーシップ証明書がもたらす具体的な利便はは次のようなものになろうと報じられています。
同性パートナーシップ証明書とは 今までと何が変わる? わかりやすく解説」をご覧ください。

渋谷区が発行するパートナーシップ証明書には、法的拘束力がなく法律上の夫婦にはなれないため、税金の配偶者控除などは受けられない

一方で、住宅ローンや生命保険については、民間企業が認めた場合に限り、パートナーとしてサービスを受けられる。ライフネット生命保険が11月4日から、同性パートナーを生命保険の受取人に指定できるようにしたほか、日本生命も渋谷区の証明書に基づき、同性パートナーを受取人として認める予定だ

KDDIも渋谷区の証明書などを元に、携帯電話サービスなどの家族割引の適用範囲を同性カップルにも適用すると発表NTTドコモも同様に、10月23日から受付を開始した(SoftBankは以前から、住所が同一であれば同性カップルであっても対応していた)。

また、同性カップルのパートナーシップ契約に詳しいアンパサンド法務行政書士事務所の公式サイトは、渋谷区内に職場があるのであれば、家族手当、単身赴任手当、慶弔休暇といった、従業員の家族構成に応じた福利厚生制度について、「異性間の事実婚当事者(内縁配偶者)に対してこのような便益を提供しているにもかかわらず、パートナーシップ証明を受けた同性カップルをこれと同じように扱わないといった対応を取ることは、本条例に違反する可能性」があると記載している。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/04/lgbt-couple-shibuya-setagaya_n_8475140.html

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2016年

2月

13日

同性パートナーシップ証明書では、手術に同意できない?ブログを書

 次の引用を読んでいて手術の同意を委任することはできるものなのだろうかと気になりました。
 「医療行為の同意」は一身専属のものですから,本人以外が代わりに決定できる性質のものではないと思われます。そうだとすれば,医療行為の同意権を委任することはできないことになります。

参考:「渋谷区パートナーシップ証明 任意後見契約・合意契約公正証書作成の手引き」( 渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター 平成27年10月発行 ),以下単に「手引」と呼びます。
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/oowada/pdf/partnership3c.pdf

手術の同意をできるようにするには?

別の公正証書とは、「医療に関する意思表示書」などです。渋谷区の「パートナーシップ証明 任意後見契約・合意契約 公正証書作成の手引き」でも、必須条件とはしていないのですが、「療養看護に関する委任」という項目を例示しています(日本公証人連合会が作成した「任意事項事例集」より)。

第〇条【療養看護に関する委任】
1 甲乙は,そのいずれか一方が罹患し,病院において治療又は手術を受ける場合、他方に対して、治療等の場面に立ち会い、本人と共に、又は本人に代わって、医師らから、症状や治療の方針・見通し等に関する説明を受けることを予め委任する。
2 前項の場合に加え、罹患した本人は、その通院・入院・手術時及び危篤時において、他方に対し、入院時の付添い、面会謝絶時の面会、手術同意書への署名等を含む通常親族に与えられる権利の行使につき、本人の最近親の親族に優先する権利を付与する。

この任意事項について都側の説明がなかったために、私も含めて一部の参加者で誤解が生じました。

同性パートナーシップ証明書では、手術に同意できない その問題点と、東京都の対応 - ウートピ

1.手術に同意することの委任

(1)パートナーシップ合意契約と任意後見契約

 手引によりますと,渋谷区のパートナーシップ証明で必要になる契約は2種類あります。
 任意後見契約とパートナーシップ合意契約です。いずれも公正証書によることが必要です。

 ただし,区長が合理的な理由があると認めるときには,任意後見契約はあとからでもよく,パートナーシップ合意契約だけでもパートナーシップ証明が発行されます。

(2)パートナーシップ合意契約の内容

 パートナーシップ合意契約書には最低限必要な記載事項があります。それ以外の二人の合意事項を付け加えることも可能です。

 必要記載事項は次のとおりです。
① 両当事者が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること。
② 両当事者が同居し、共同生活において互いに責任を持って協力し、及びその共同生活に必要 な費用を分担する義務があること。

(3)療養介護に関する委任

①任意合意事項

 パートナーシップ合意契約の任意合意事項として,療養介護に関する委任もできるとして,その文案が手引の6ページに示されています。引用のサイトに示されているものと同じです。
 日本公証人連合会が作成した「任意事項事例集」であると手引にありますが,確認できませんでした。

「療養介護に関する委任」と題された内容は,後見人の身上配慮義務(②の手術同意事項を除く)の一環として通常でも認められているものです(民法858条)。

②手術同意事項

 その文案の第2項として「手術同意書への署名等を含む通常親族に与え られる権利の行使につき,本人の最近親の親族に優先する権利を付与する。 」とあり,手術の同意の権利をパートナーに与えています。医療行為の同意権をパートナーに譲り,代わりにパートナーがその同意権を行使することができることになります。

 引用サイトの筆者はこの条項があるので,パートナーは親族に成り代わって医療行為の同意もできると考えているように思われます。
 しかし,医療行為の同意権を契約でパートナーに与えることは,適切でしょうか。

 後見人に対しても与えられていない医療行為の同意権を,たんなるパートナーシップ合意契約の相手方に与えることは適切でないとも思えます。もし,このことが可能であれば,専門職後見人らの第三者後見人の難題は一気に解決することになります。

2.医療行為の同意権

(1)医療行為の本人の同意

 具体的な医療行為は医療診療契約とは別に患者からの同意が必要になります。もし同意がないまま医療行為を行うと違法となってしまいます。この同意は他の人が代わりに決定できない一身専属的なものだと考えられています。

(2)同意の代行

 同意する能力が無ければ,患者本人の同意は受けられません。その場合,どのようなよう条件であれば患者本人の同意がなくとも医療行為をしてよいかをはっきりさせる必要があります。
 しかし,現状では明確に規定した法律はありません。そこで,社会通念のほか,緊急避難,緊急事務管理などの一般法理を援用して対処して行くほかはないとされているようです。

①家族による同意

ア 未成年者
 未成年者については親権者,未成年後見人が医療行為について同意することができます。(民法820条,昭和56年6月19日 最高裁小法廷判決)

イ 成年者
 家族による同意を求めることが医療現場では通例行われています。
 しかし,家族の同意なぜ有効なのかについては根拠が明らかではありません。家族が同意すればなぜ違法性がなくなるのでしょうか。
 また,同意をすることができる家族はどういう家族をいうのか,家族観に意見の対立がある場合にはどうするのかということも明らかではありません。

 家族に同意を求めるのは,本人の意思を推測する立場として適任であり,本人の利益を適切に図る観点から,家族が一番ふさわしいと考えているためだとおもわれます。
 このことについてパートナーは家族より適任であるという解釈も成り立ち得ますが,現段階においては,社会的に十分受け入れられるとは考えづらいところです。

 さらに,医療過誤に対する損害賠償請求に対する医療側の防衛策として,その請求権を持つと推定される親族の同意を得ておくという一面も見逃せません。

②家族のいない者の同意
ア 広い意味の家族

 患者が信頼を寄せ,終末期の患者を支える存在であり,患者の医師を推定できる人がいる場合。法的な意味の親族関係でなくともその人を広い意味で家族ととらえて,その推定された意思を尊重する。(終末期医療のプロセスに関するガイドライン

 しかし,これはあくまでも終末期の医療に関するものです。
 予防注射,胃ろう手術,骨折の手術などの医療行為についての指針はまったくありません

イ 実務現場の対応

 「親族のいない場合,親族からの協力が得られない場合,緊急を要する場合,病院が特に求める場合には,救命に必要な医療措置として手術や手術や治療への同意を求められたならば,後見人がその権限に基づいて,同意したり,同意書を書くことは差し支えないと考えられます」(千葉家庭裁判所「成年後見人のしおり」2011年4月発行版)

 「状況に応じて同意することもありうる」(大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター編『成年後見人の実務』大阪弁護士協同組合発行 2003年)

 治療が必要な本人を支援する後見人として,同意権がないと手をこまねいているわけにはいきません。実務として,様々な現実的な対応がなされてきています

 この項については「医療同意能力がない者の医療同意代行に関する法律大綱」(日本弁護士連合会 2011年)を主に参照しています。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/111215_6.pdf

3.まとめ

 医療行為の同意は患者本人の一身専属的なものであり,原則として他人が成り代わって意思決定を行うことはできません。
 しかし,同意する能力を欠く場合には,医療同意の代行が行われています。とはいえ,明確の法律の裏付けがないまま行われているのが実情です。

 パートナーシップ合意契約における医療行為の同意の委任は,それだけでは医療側から受け入れられるかははっきりしていません。
 この件について都側が説明をしていないのは,こうした背景があるためではなかったのかと推測します。

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2016年

2月

12日

夫が亡くなったとき、婚家の方(夫の両親)から妻と法的に縁を切ることはできるのでしょうか。

 読者の方から「夫が亡くなったとき、婚家の方(夫の両親)から妻と法的に縁を切ることは可能ですか。」という質問をいただきました。
 すこしそのことについて考えてみたいとおもいます。
 参照ブログ:「夫死別後の嫁・子の戸籍,氏,婚家との関係

1.姻族関係

(1)姻族関係の発生

 姻族関係は婚姻の効果として発生します。
 結婚をすると夫は妻の血族と姻族関係になります。また妻は夫の血族と姻族関係になります。
 この姻族のうち3親等内の者を親族といいます。

 親族は3親等内の姻族の他に,6親等内の血族,配偶者をいいます。血族には,自然血族・法定血族の両方を含みます(民法725条 親族の範囲)。

(2)姻族関係終了

 姻族関係は離婚によって終了します(民法728条1項)。
 また,夫婦の一方が死亡した場合に,生存配偶者が姻族雨関係を終了する意思表示をしたときにも,終了します(民法728条2項,戸籍法96条)。

 婚家と縁を切ることを姻族関係終了させるといいます。具体的には,市区町村の戸籍が係に届け出ます。
 これにより,義理の親子関係(嫁と舅・姑)関係もなくなります。当然,扶養義務もなくなることになります。これは同居・別居とは関係ありません。元嫁と元舅・元姑が同居していることも起きえます。この同居は他人同士がたまたま同居しているのと法律関係としては同じです。

(3)姻族関係終了申出

 生存配偶者だけが姻族関係を終了させる意思表示ができます。

 反対に,死亡配偶者の血族の側から生存配偶者との間の姻族関係を消滅させることは許されません。
 もしも,姻族関係終了の届出が生存配偶者の意思に基づかないでなされた場合には,訂正ではなく確定判決や審判によって戸籍訂正をする必要があります。(基本法コメンタール第5版親族22ページ(日本評論社))

 生存配偶者が再婚をして氏をあらためても,旧来の姻族関係も継続しています。
 旧来の姻族関係を終了させるためには生存配偶者の姻族関係を終了させる意思表示が必要です。

(4)姻族関係終了の法律的効果

親族間の扶け合い義務,相互扶養義務がなくなります。(民法730条,877条2項)
直系姻族との婚姻は姻族関係終了後もできません。(民法735条)
刑事法関係における親族関係にあることによる特別の取扱がなくなります。

2.まとめ

 姻族関係は当然には消滅しません。生存配偶者が姻族関係終了の意思表示をすることによって終了します。
 これに対して,死亡した配偶者の親族の側からは,生存配偶者との姻族関係を終了させることはできません。(二宮周平『家族法第4版』72ページ(有斐閣2014))

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2016年

2月

06日

養子の相続財産を相続する者が兄弟姉妹の場合,養子縁組前の兄弟姉妹は関係ない?

前回・前々回のブログで,主に,養子縁組先の実子が亡くなった場合を検討しました。
養子縁組先の兄弟姉妹がなくなり,養子を含む他の兄弟姉妹が相続人になる場合,相続分は全血・半血の兄弟姉妹の区分により,半血の兄弟姉妹は全血の兄弟姉妹の半分となります。

前前回ブログ:「養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)。
前回ブログ :「養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)その2

今回は養子が亡くなった場合において,「養子縁組先の兄弟姉妹」と「その養子の実の兄弟姉妹」との相続関係をみていきたいと思います。

1.養子の死亡により相続人として2系統の兄弟姉妹

(1)相続人としての実方の兄弟姉妹と養方の兄弟姉妹

養子が死亡した場合,その亡くなった養子に養子縁組前の兄弟姉妹が存在することも考えられます。
この場合の養子の兄弟姉妹は,養子縁組前の兄弟姉妹と養子縁組先の兄弟姉妹の2系統の兄弟姉妹が登場してきます。

(2)2系統の兄弟姉妹の相続分の全血・半血の判断基準

2系統の兄弟姉妹を半血・全血と区分する判断基準は明確には民法は示していません(民法900条4号)。それではその判断基準をどう考えたらよいのでしょうか。

養子と養父母の親子関係は、実父母との親子関係と同様のものであるといえるから、父母の双方を同じくする兄弟姉妹であるか一方のみを同じくする兄弟姉妹であるかの判定に当たっては、実親であるか養親であるかの区別をする必要はないと考えられる。
国税不服審判所 平成16年12月13日裁決書抄

この審判の考えにしたがえば,両親を同じくする兄弟姉妹とは
①父に関して同一の父であればよく,実父・養父の区分必要ない。
②母に関して同一の母であればよく,実母・養母の区分必要ない。
つまり,父Fと母Mの子であれば,F・Mを両親に持つ子は全血の兄弟姉妹関係です。

たとえば,
Aの父が実父F,母が実母M
Bの父が実父F,母が養母M
Cの父が養父F,母が実母M
だとすると,A,B,Cは両親を同じくする兄弟姉妹であり,全血の兄弟姉妹関係となります。

2.いくつかの具体例

(1)単独養子縁組

単独養子縁組相続関係図
単独養子縁組相続関係図

「養子が死亡した場合に、その養子に実父母の双方を同じくする兄Bと、養父とその妻(養母ではない)との間に生れた弟Cがあるときは、BCともAの相続人となるが、その相続分はAが3分の2、Bが3分の1である」
これはすこし変形していますが,先ほど示した裁決書抄に出てくる「昭和32年6月27日民事甲第1119号民事局長回答」に示されている事例です。
詳解すると次のようになります。

Cは甲男・乙女の実子
Aは甲男と養子縁組,また,a男・b女の実子
Bはa男・b女の実子

Aが死亡した場合のB,Cとの兄弟姉妹関係

①Bの両親は実父a,実母bであり,Aと両親を同じくする兄弟姉妹ですから全血の兄弟姉妹関係です。
②Cの父は実父甲男であり,Aの父は養父甲男ですので父は同じくしています。しかし,C,Aの母は同一ではありませんので,C,Aは半血の兄弟姉妹関係になります。
したがって,AはBとは全血の兄弟姉妹関係であり,Cとは半血の兄弟姉妹関係となります。

(2)両再婚の夫婦が連れ子と互いに養子縁組

再婚時相互養子縁組相続関係図
再婚時相互縁組相続関係図

「甲乙夫婦間にABの2子があり、丙丁夫婦にはCDの2子があり、乙丙死亡し、甲丁が婚姻、甲はCDを養子とし、丁はABを養子とした後、甲丁が死亡し、その後ACDのいずれか1人が死亡し兄弟姉妹が相続人になる場合におけるABCDの相続分は平等である。」
これはすこし変形していますが,先ほど示した裁決書抄に出てくる「A 本件事例二」に示されている事例です。

A,Bはともに甲男・乙女の子
C,Dはともに丙男・丁女の子
乙女,丙男が死亡して,甲男,丁女が再婚
再婚にともない,甲男はC,Dと養子縁組,丁女はA,Bと養子縁組

Aが死亡した場合のB,C,Dとの兄弟姉妹関係

①Aの父は実父甲男,母は養母丁女です。(また,母は実母乙女でもあります)
②Bの父は実父甲男,母は養母丁女です。(また,母は実母乙女でもあります)
③Cの父は養父甲男,母は実母丁女です。(また,父は実父丙男でもあります)
④Dの父は養父甲男,母は実母丁女です。(また,父は実父丙男でもあります)
したがって,B,C,DはAとともに父を甲男,母を丁女としていますので,父母の双方同じくする全血の兄弟姉妹関係にあることになります。実父・養父,実母・養母の区分は問いません。

3.まとめ

養子が死亡した場合の半血・全血の兄弟姉妹の判断は,実親子であろうと養親子であろうと,父母の双方が同じ場合には全血の兄弟姉妹関係です。また,養子縁組前の兄弟姉妹であると養子縁組後による兄弟姉妹であるとにかかわらず,相続人としての兄弟姉妹関係になります。
死亡した兄弟姉妹である者の財産を他の兄弟姉妹が相続する場合は,半血の兄弟姉妹関係にある者の相続分は全血の兄弟姉妹関係にある者の相続分の半分となります。

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2016年

2月

02日

養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)その2

1.前回のまとめ

前回,全血の兄弟姉妹関係とその兄弟の一人が亡くなった場合の相続割合につて考えてみました。
再掲しますと以下のとおりです。

兄弟姉妹の一人が亡くなり,その亡くなった人(被相続人)に子などの直系卑属,親などの直系尊属もない場合,
相続人となる兄弟姉妹の相続分は均等であるのが原則です。
ただし,被相続人と全血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人は,半血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人の半分となります。

一つ注意をしてほしいのは
全血・半血の兄弟姉妹関係が相続分に影響するのは,亡くなった人(相続人)に子などの直系卑属の相続人も親などの直系尊属の相続人もない場合に,兄弟姉妹が相続人になるときのみであることです。
たとえば,父親の相続においては全血・半血の兄弟姉妹関係であるなしにかかわらずその相続分は均一です。

2.養子縁組

(1)養子縁組により発生する兄弟姉妹関係

養子と血族の兄弟姉妹は,実の兄弟姉妹と同じ法律的な扱いを受けます。たとえれば,親に子がひとり増えたことになります。

「養子縁組をした親(養親)とその親と血族関係ある人達」と「養子縁組をした人(養子)」は,血族関係があるとみなされます。(民法727条)
つまり,親が養子縁組をするとその親と血のつながりがある子たちはその養子と実の兄弟と同じ関係になります。

血のつながりのある血族を自然血族,養子縁組によって発生する血族を法定血族といいます。

こちらのブログも参考にしてください。
養子縁組をすると相続はどうなるのだろう。

(2)養子の実方の血族と養方の血族との関係

養親に子がひとり増えただけですので,養方と実方との親戚関係は生じません。

養親の血族(養方の血族)と法定血族関係になるのは養子だけです。また養方の血族は,養子の血族(実方の血族)とは血族関係は発生しません。
養子になった者だけは,養方の子であると同時に実方の子でもありますので,両方の血族と親戚関係が継続します。ただし,特別養子については実方の親戚関係が消滅します。

また,養子縁組によって法定血族関係になった養親の血族である兄弟姉妹は,養子の実方の血族とは親族関係が発生することはありません。

3.養子の全血・半血の兄弟姉妹関係

(1)養子に関する全血・半血の判断基準

新たな血のつながった兄弟姉妹として養子をとらえ,全血・半血の兄弟姉妹かを判断します。

養子縁組によって親に実の子がひとり増えたことになることから,養子と養子を迎えた兄弟姉妹との全血・半血の関係は親との血族関係が全血か半血かによって判断することになります。ここでいう血族関係とは自然血族と法定血族の両方を含みます。

(2)いくつかの例示

いずれの例も死亡した子には配偶者はなく,子どもなどの直系卑属,親などの直系尊属もいないという前提です。

養子縁組相続関係図(夫婦と縁組)
養子縁組相続関係図(夫婦と縁組)

①例1

父母の間に子1と子2の実子2人生まれ、
その後父母と養子縁組をして養子ができた。
その後で、実子の子1が亡くなった場合、
残った実子子2と養子の法定相続分はそれぞれどうなるか。

「死亡した子1」と「子2及び養子」ともに法的に同一の父と母であるので,死亡した子1とは全血の兄弟姉妹関係となります。
したがって,子2の相続分と養子の相続分は同じです。二分の一がそれぞれの相続分となります。

養子縁組後再婚相続関係図
養子縁組後再婚相続関係図

②例2

父母と養子縁組をした養子がいて、
その後父と母1が離婚、
さらにその後父が母2と再婚して子1と子2の実子が2人生まれた。
その後で、実子の子1が亡くなった場合、
残った実子の子2と養子の法定相続分はそれぞれどうなるか。

「死亡した子1」と「実子の子2」は父と母2が同じですので,「死亡した子1」と全血の兄弟姉妹関係です。
「死亡した子1」と「養子の子」は父は同じですが母は同じではありませんので,父を同じくする異母兄弟です。ですから,「死亡した子1」と半血の兄弟姉妹関係となります。
したがって,養子の相続分は子2の相続分の半分です。子2の三分の二,養子の三分の一がそれぞれの相続分となります。

4.まとめ

兄弟姉妹のうちの死亡した兄弟姉妹(被相続人)の父・母と相続する兄弟姉妹(相続人)の父・母がともに同一の場合は全血の兄弟姉妹関係であり,片方だけが同じ場合は半血の兄弟姉妹関係となります。
被相続人である兄弟姉妹と半血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹関係にある相続人の兄弟姉妹の相続分の半分となります。

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2016年

2月

01日

養子にも全血の兄弟姉妹,半血の兄弟姉妹があります(兄弟姉妹間の相続割合)。

1.兄弟姉妹間の全血,半血

(1)人種が違う男女の間に生まれる子

 この区別は相続割合に影響を与えることはありません。
 混血児やハーフと言われることもありますが,不快な気分にさせる表現だとして最近はあまり使われなくなっています。ハーフというのはhalf-bloodの略語だと思われます。日本人と外国人の間に生まれた子どもを指します。

(2)両親をともにする子,一方の親だけを一緒にする子

 全血,半血という用語は法律用語ではないようですが,兄弟姉妹間の相続割合を説明するときに使われます。

①全血の兄弟姉妹

 子1と子2ともに両親が父F1と母M1である兄弟姉妹を全血の兄弟姉妹間関係といいます。

②半血の兄弟姉妹

 子1は父F1・母M1であり,子2の父F1・母M2,つまり子1と子2は父は同じですが,母が違うという兄弟姉妹を半血の兄弟姉妹間関係といいます。逆に母が同一で父が違う場合も同様に半血の兄弟姉妹間関係です。

2.全血・半血の兄弟姉妹間関係の相続割合

(1)半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の半分

 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一です。(民法900条2項)

たとえば,
 子1と子2は父母が同じ,子3は子1と子2と父は同じですが,母が子1と子2とは違う(異母兄弟姉妹)の場合。
 独身であった子1がなくなり,子1の両親はすでになくなっているとき。
子3の相続分は子2の相続分の半分です。

相続財産を3000万円とすると,
死亡した子1と全血の兄弟関係にある子2は2000万円,死亡した子1と半血の兄弟関係にある子3は1000万円が相続できる財産です。

(2)嫡出子と非嫡出子の相続割合

 嫡出子と非嫡出子の相続割合は相続割合は同一です。
 平成25年の法律改正以前は,全血・半血の兄弟姉妹間と同じように,非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とされていました。

 全血・半血の兄弟姉妹間の格差について,法の下の平等に反するのではないかという指摘はないようです。

こちらのブログも参照してください
半血の兄弟姉妹がいる場合の法定相続分 その1

半血の兄弟姉妹がいる場合の法定相続分 その2

3.ここまでのまとめ

 長くなってしまいましたので,養子における全血・半血の兄弟姉妹間関係については次回とします。

 兄弟姉妹の一人が亡くなり,その亡くなった人(被相続人)に子などの直系卑属,親などの直系尊属もない場合,
 相続人となる兄弟姉妹の相続分は均等であるのが原則です。

 ただし,被相続人と全血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人は,半血の兄弟姉妹関係にある兄弟姉妹の相続人の半分となります。

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2016年

1月

23日

後見人は家族でなければいけないの?(後見人の資格)

家族でなければ後見人にはなれないのでしょうか。二人で後見人になることはできるのでしょうか。法人が後見人になることは可能でしょうか。
今回は後見人候補者の資格などについて考えてみたいとおもいます。

1.後見人

(1)後見人候補者

成年後見の申立てをする場合に,申立人は後見人の候補者を推薦することができます。申立人が自分を候補者とすることもできます。

後見人としての資格がない人については民法に後見人の欠格事由という規定(民法847条)があります。これに該当する人は後見人になることができませんので,後見人候補者にも当然なれません。

後見人の欠格事由
①未成年者(結婚をしている未成年者は後見人候補者になれます)。
②家庭裁判所によって法定後見人・保佐人・補助人(以下法定後見人等という)を以前に辞めさせられた人。本人以外の法定後見人等を辞めさせられた場合も含みます。
③破産者
④被後見人に対して訴訟関係にある人またはあった人とその配偶者と直系血族
⑤支援を受ける成年被後見人(以下本人という),成年後見の申立人が行方を知らない人

上記の五つに当てはまらない人は,誰でも後見人候補者となることができます。

(2)後見人

後見人を誰にするかは,家庭裁判所の判断にまかされています。
推薦をした後見人候補者が,必ず後見人として選任されるわけではありません。推薦した人とまるで関係のない人が選ばれることもあります。また,その家庭裁判所の人選の判断に異議を唱えることは,できないことになっています。

2.複数後見人,法人後見人

(1)複数後見人

複数の後見人も可能です。
家庭裁判所は必要があると判断するときには,複数の後見人を選任することができます(成年後見人の選任民法843条3項)。
複数の後見人の仕事の役割分担についても,家庭裁判所が判断します(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等民法859条の2)。

(2)法人後見人

成年後見人には生身の人間だけでなく,法人もなることが可能です(民法843条4項)。
法令上は特別に制限は設けられてはいませんが,成年後見人の職務からみて自ずから選任される法人は限定されます。
社会福祉協議会,福祉公社,弁護士法人,司法書士法人などが考えられます。

法人後見人は個人後見人より長期にわたる後見業務が可能です。
個人の成年後見人は後見人の病気・死亡などにより後見業務が継続できなくなるおそれが,法人後見人より大きくなります。

個人後見人は本人と緊密な人間関係を結ぶことが,法人後見人に比べてすぐれています。
法人後見人の後見の担当者が同一人でないなど,本人との相性,意思の疎通などが障害になる場合もあります。

3.まとめ

成年後見になるには特別な資格は要りません。また,複数の後見人も可能ですし,法人も後見人になることは可能です。
しかし,誰を後見人にするかは,最終的には家庭裁判所の判断にまかされています。したがって,本人,申立人,利害関係者の希望どおりに後見人が選ばれるとは限りません。

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2015年

12月

23日

マイナンバー制では,成年後見人が本人のために単にマイナンバーを記入するだけでは足りません

認知症、個人番号記入の免除も 介護保険申請で厚労省(12/15 21:16)

マイナンバー制度に関して厚生労働省は15日、全国の自治体や施設の運営事業者、関連団体に個人番号の取り扱いを定める通知を出した。認知症が進むなどして、介護保険サービスの受給申請時などに自分で個人番号を書類に記入するのが難しく、代理人もいない高齢者には記入の免除を認めた。
厚労省は原則として申請書類への個人番号の記載を求めており、必要な場合には自治体職員が個人番号を住民基本台帳ネットワークで調べて代わりに記入できるとした。
来年1月から介護保険に関する多くの申請書類に記入欄が設けられることから、申請を受け付ける自治体職員やケアマネジャーらに周知するのが狙い。

長崎新聞 全国・海外ニュース:認知症、個人番号記入の免除も  介護保険申請で厚労省

 介護保険の受給申請などに個人番号(以下,マイナンバーという)を記入する必要が来年から出てきます。そのときの取扱をどうするかについて,厚生労働省から通知が出たようです。

 マイナンバー制度では,成年後見人が本人の替わりにマイナンバーを記入すればよいというわけではありません。そのマイナンバーの記入(提供)にあたって本人等の確認措置が必要になる制度です。

 そこで今回は,成年後見人(法定代理人)が本人のマイナンバーを提供する場合の本人確認等の方法について調べてみました。
 各種保険の受給申請,受給資格更新の手続きに必要になってきます。
 また税金の申告時にも必要となります。

 市役所でこの件について,お話をうかがいました。回答はどことなく自信なさげでしたし,的外れでした。

1.本人がマイナンバーを提供する能力がない場合の処理

(1)代理人がいない場合

 記入が免除されます。
 上記記事にあるとおり,必要な場合には自治体職員がマイナンバーを住民基本台帳ネットワークで調べて,本人に替わって記入してくれます。

(2)代理人がいる場合

 代理人が本人に替わって記入することになります。
 代理人とは成年後見人等,未成年後見人,任意後見人,親権者です。

2.代理人が本人のマイナンバーを記入する場合の本人等の確認の仕方

(1)本人がマイナンバーを提供する場合

 番号確認と身元確認の二つの確認がおこなわれます。

①番号確認
記入されたマイナンバーが本人の番号と相違ないか確認します。

②身元確認
手続きをおこなっている当人が本人であるか確認をおこないます。

(2)代理人が本人のマイナンバーを提供する場合

 代理権確認,代理人の身元確認,本人のマイナンバーの三つ確認がおこなわれます。

①代理権確認
本人に替わってマイナンバーを代理で提供している人に,本人を代理する権限があるのか確認がおこなわれます。

②代理人の身元確認
代理人であるとして手続きをおこなっている当人が代理人本人であるか確認します。

③本人の番号の確認
記入提供された番号が本人の番号と相違ないか確認します。

3.本人確認等の確認手段

(1)本人がマイナンバーを提供する場合

①個人番号カード
個人番号カードの表面で身元確認,裏面で番号確認がなされます。

②通知カードと運転免許証などの顔写真付きの身分証明書
運転免許証などにより身元確認,通知カードにより番号確認がなされます。

通知カードに代えて「マイナンバーの記載された住民票の写し」によることもできます。
顔写真付きの身分証明書がないときには,二つ以上の身分を証明する書類が必要になります。たとえば,健康保険被保険者証と年金手帳。

参考法令等
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下,番号法)16条
特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(事業編),(以下,ガイドライン)第4-3-(4)本人確認。
番号法施行規則1条,2条,3条,4条
番号法施行令12条1項

(2)代理人が本人のマイナンバーを提供する場合

 ①代理権の確認手段

戸籍謄本その他その資格を証明する書類(法定代理人),委任状(任意代理人)
成年後見人の場合は「登記事項証明書」を提示することになります。窓口の担当者は以前から継続して手続きをしている後見人は新たに「登記事項証明書」を取り付けずとも,以前のもののコピーを示せばよいという話でしたが,不安が残ります。

②代理人の身元確認手段

運転免許証などの顔写真付きの身分証明書
顔写真付きの身分証明書がないときには,二つ以上の身分を証明する書類が必要になります。たとえば,健康保険被保険者証と年金手帳。

③本人の番号確認

「本人の個人番号カード」「本人の通知カード」または「マイナンバーが記載された住民票の写し」です。本人の個人番号カード,本人の通知カードはそのコピーでもかまいません。

参考法令等
番号法16条
ガイドライン第4-3-(4)本人確認。
番号法施行規則6条,7条,8条,9条,10条,11条
番号法施行令12条2項

4.まとめ

成年後見人は「登記事項証明書」,「成年後見人の番号カード」と「被成年後見人の通知カード」を示すことによって,被成年後見人のマイナンバーを本人に替わって提供することができます。
成年後見人は番号カードを作っておくと提示書類が少なくてすみます。

送付する場合は原本でなくても写しでもかまいません。また代理の場合は,対面であっても本人の番号確認書類は写しでもよいとされています。

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2015年

11月

17日

焼骨の祀り方(個人供養墓・納骨堂・永代供養墓)

1.焼骨の祀り方と墓地,埋葬等に関する法律

(1)法律上の祀り方。

墓地,埋葬等に関する法律(以下,墓埋法)に出てくる焼骨の祀り方は次の二つです。

①墳墓への埋蔵
②納骨堂への収蔵

(2)埋蔵の意義についての混乱

 「埋蔵」の法律的な定義はなく,たんに土中に埋めるという風に理解がされています。
 しかし,地方によっては地面より上の部分に造った窪みに焼骨を安置することがあると聞きます。それは,収蔵なのかということになります。

 自宅の別棟に焼骨の安置場所を作り,安置することは,「埋蔵」にあたるのでしょうか。
 「埋蔵」にあたるということになれば,それは違法になりますし,あたらないということになれば,勝手に自宅に焼骨の安置所を設置することができます。

2.焼骨を祀る受け入れ施設の祀り方

 現在焼骨を受け入れる施設として次の3つがあり,焼骨の祀り方(取扱のしかた)は次のとおりです。

①個人墓(個人供養墓)

 墓地の一区画を家の墓の墓所とし,そこの墳墓に骨壺に収めた焼骨を埋蔵します。通常は,土中の遺骨収納室に安置します。

②納骨堂

 骨壺に収めた焼骨を個別の納骨棚に安置します。

③合祀墓(永代供養墓)

 この形式には2種類あります。

ア 焼骨を骨壺からとりだし,他の遺骨と同じ場所の土中に埋め合祀します。時間の経過とともに土に還ります。
イ 土中に埋め合祀する前の一定期間は納骨堂に収蔵したり,合祀墓の納骨棚に個々に区別して安置します。その後,上記のアのように合祀します。

3.供養の費用と継承者

①個人墓(個人供養墓)

個別墓は維持管理のためにかなりの費用が必要です。
費用だけでなく,墓地利用の継承者が必要になります。

②納骨堂

墓地利用がありませんので,費用は個別墓ほどはかかりません。とはいえ,継続利用にはそれなりの管理費用を要求されます。又,納骨堂の継承者が必要になります。

③合祀墓(合同供養墓)

合祀され個別に供養されることはありませんが,時々の法要などが時期ごとに執り行われます。
のちのちの維持管理費はなく,施設が存続する限り供養がおこなわれ,特には承継者は必要はありません

4.まとめ

 墓地の確保の難しさ,高額の資金が必要であること,承継者がいないなどの理由から合祀墓(合同供養墓)を選択する人が増えてきています
 また,個人墓(個人供養墓)や納骨堂に安置した焼骨であっても,継承者屋がいなくなったり,管理費の負担ができなくなると無縁墓として合祀墓に移されます

 

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11月

12日

「直葬(ちょくそう)」と呼ばれる葬儀の究極の簡略化

 最近の葬儀の事情は,大きく変わろうとしているというのが実感です。
 私が属している村落でも,葬儀への関わりが大きく変化しています。旧来は集落で,葬儀の一切を取り仕切ってきていましたが,いまではその役割は葬儀業者に替わられています。集落の役割は,葬儀のときの帳場においての香典の受付などに限定されています。

 今回は,簡略化が進む葬儀の様子について概観してみます。

1.葬儀の様式

 葬儀関係の資料を眺めていますと,いろいろな新しい葬儀の様式が出てきています。その呼称は葬儀業界で統一されているとは言いがたい状況にあります。

①家族葬

 近親者だけ,あるいはごく親しくしていた者達による少人数による葬儀のことを言うようです。

②一日葬,ワンデーセレモニー

 通常2日間にわたって執り行う葬儀のセレモニーを一日に圧縮しておこなうものです。夜型のものもあるようです。

③直葬(ちょくそう)

 通夜や告別式などの宗教的行事をおこなわないで,火葬のみをおこなわないものをいいます。火葬場の火葬炉の前でお経を上げる儀式をすることもあるようです。

 家族葬は葬儀の規模を縮小,一日葬は葬儀のセレモニーを簡略化・圧縮,直葬は宗教的なセレモニーを省略しているといえます。

2.直葬

(1)直葬での葬儀

 直葬は「焼きのみ」などと呼ばれることもあるようです。
 その名のとおり,通夜,葬儀,納骨などの宗教的セレモニーをおこなわないで,火葬だけで済ましてしまおうとするものです。究極の簡略化といえます。

(2)直葬における法的手続きの流れ

①死亡届(戸籍法86条,87条)

 市区町村長に7日以内に届出をする必要があります。
 医師による死亡診断書が必要になります。

②火葬許可書の申請(墓埋法5条)

 火葬のときには火葬の許可,土葬のときには埋葬許可を市町村長から受ける必要があります。
 死亡届と同時に火葬の許可書も取り付けます。

③火葬

 火葬場の管理者に火葬許可書を提出(墓埋法14条3項)
 火葬後に火葬許可証に火葬を行つた日時を記入し、署名押印後に提出者に返却(墓埋法規則8条)
 返却された火葬許可書は焼骨の埋蔵,収納のときに必要になります。

④遺骨の自宅安置

 納骨をすることは法律上の義務ではありません。
 遺骨をいつまでも自宅に保管しておくことは違法ではありません。

3.遺骨の取扱

 遺骨は旧来は墳墓に埋蔵したり,納骨堂に収蔵してきました。
 昨今は,遺骨について考え方にも変化が出てきています。

①手元供養

 遺骨や遺灰の一部を置物やペンダントの中に納めたりして,自分の身近において供養する人もでてきました。

②樹木葬

 旧来のように墓所,納骨堂に遺骨を納めるのではなく,樹木を石碑に見立ててその下に埋蔵することが人気になっています。

③散骨

 遺骨を粉状にして,海や山や野に撒くものです。

④送骨

 納骨・永代供養のために遺骨の処分としての納骨をしてもらうために,寺に遺骨を郵送するということがおこなわれています。
 引き取り手のない遺骨の取扱としても注目されます。

4.まとめ

 家族意識,祖先に対する意識,村落の消滅,個人主義の浸透という葬儀を取り巻く環境は大きく様変わりしてきています。
 その究極の姿が直葬(「焼きのみ」)なのではないでしょうか。

 

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2015年

11月

11日

あなたの墓地はどのタイプ?

現在,自分の家の墓地をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。また,これから墓地を買おうかなと考えている方もいらっしゃる。
墓地にもいろいろな種類や・タイプがあり混乱してしまいます。
そこで今回は,墓地の種類・タイプと相続についてみていこうと思います。

なお,この記事は愛媛大学文学部の竹内康博教授の論文「墓地所有権・墓地使用権にまつわる法的諸問題」(月報司法書士No.520)をベースにしています。

1.墓地に関係する用語の法律上の定義

墓地,埋葬等に関する法律(墓埋法と略)による定義は次のとおりです。

(1)施設

①墓地
墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域。
②墳墓
死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設
③納骨堂
他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設
④火葬場
火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設

以上が墓埋方が定義をする施設に関する用語の定義です。(墓埋法2条)
次の墓所については墓埋法での定義はありませんが,イメージが湧きやすいので付け加えておきます。

⑤墓所
墓地内の限定した区域で墓石・墳墓などの施設を設置する区分。

(2)葬送

①埋葬
死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ること
②火葬
死体を葬るために、これを焼くこと

(3)用語のまとめ

日常「自分の墓地」と言った場合は,葬送の場所として墓所のことを指しています。

そうした区別をはっきりさせるために,墓埋法の用語を使えば,葬送の儀式は以下の例のように表されます。
お寺の墓地の一角にわが家の墓所があり,その墓所内に設置された墳墓に遺体を埋葬したり,火葬した焼骨を埋蔵する。

2.墓地の所有権に基づく分類

公有墓地と私有墓地

登記簿上の所有権に基づく分類では次のようになります。

(1)公有墓地

国又は地方公共団体が所有する墓地のことです。千鳥ヶ淵戦没者公苑などがその例です。

(2)私有墓地

①個人有墓地
自分の所有地を墓地としているもの。共有しているものもあります。現在は新設できませんが,全国各地に多数例があるようです

②寺院有墓地
宗教法人などが所有する墓地です。

③公益社団・公益財団法人有墓地
公益社団,公益財団が所有する墓地です。

④株式会社有墓地
現在は認められていない。

⑤集落有墓地
不動産登記簿では一村総持・村持などと記載。

3.墓地の経営主体から墓地使用権の分類

経営主体から墓地使用権を分類すると次のようになります。

①集落営墓地使用権
②寺院営墓地使用権
③公営墓地使用権
④霊園営墓地使用権

4.墓所の相続

墓所の所有形態,墓地使用権の種類によって,相続するときの権利関係が変わってきます。

墳墓の所有権の相続に関しては民法(897条)にその規定があります。相続の順位は次のようになります。

①亡くなった人が指定した祭祀主宰者
②慣習に従って祖先の祭祀を主宰するべき者
③家庭裁判所が定める者

ここで言う慣習とは「旧法時代の家督相続的慣習ではなく,新民法施行後新たに育成される慣習」ですので注意が必要です。「被相続人と親族関係ないあることや,氏を同じくすることを必要と」しない。(昭和24年10月29日大阪高裁決定)

5.まとめ

墓地を誰が所有しているのか,墓地を誰が経営しているのかによって,相続する権利の内容が違ってきます。
又,墓所の相続については法定相続人とは違う観点から祭祀主宰者が相続することになっています。

 

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2015年

11月

08日

マイナンバー(個人番号)が漏れた場合,他人に教えた場合,本人に責任があるの?

前回,マイナンバー(個人番号)の「通知カード」の管理に関する責任を考えてみました。
マイナンバー(個人番号)「通知カード」の管理の責任・その用途
今回は,マイナンバーそのものの漏洩,提示の責任を考えてみようと思います。

 

1.マイナンバーの提示

 

(1)マイナンバー提供禁止の原則

 

マイナンバーの提供は原則禁止されています。定められた場合にのみそれが許されます。
番号法19条(特定個人情報の提供の制限)
注:番号法は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の略称です。

 

特定個人情報とは
①マイナンバー
②マイナンバーを含んだ個人情報
③マイナンバーではないがそれに代替する番号なども含む
個人番号法2条8項,37条。

 

(2)提供禁止に違反の場合

 

認められた以外の場合の提供は番号法の違反となります。

 

①インターネット上へのマイナンバーの公開

 

 このことに関連して,ある男性がネット上にマイナンバーを公開して、騒動になりました。
公開先ページ:http://sayuflatmound.com/?p=17808

 

このマイナンバーの公開について,特定個人情報保護委員会事務局は,「インターネット等におけるマイナンバー(個人番号)の公表に対する注意喚起」の文書を発表しました。

 

ア 番号法第19条の提供制限に違反する可能性がある。
イ これを見た他人が、インターネット等において公表されているマイナンバー(個人番号)をプリントアウト等して収集した場合には、番号法第20条の収集制限に違反する可能性がある。
と注意を喚起しています。

 

②罰則

 

ア 提供制限違反

 

番号法19条(特定個人情報の提供の制限)についての義務違反への直接の罰則はありません。

 

 違反行為をやめるように特定個人情報保護委員会から勧告を受けたにもかかわらず,その勧告に従わない場合には,勧告に従うように命令を受けます。(番号法51条1,項2項)
 この命令に従わない場合には,2年以下の懲役叉は50万円以下の罰金(番号法73条)

 

イ 特定個人情報収集等の制限

 

マイナンバーを含む特定個人情報の提供の制限を受ける場合には,何人もマイナンバーを収集したり,保管することは認められていません。(番号法20条)

 

(ア)職権を濫用してマイナンバーを収集した場合ときは,2年以下の懲役叉は100万円以下の罰金(番号法71条)
(イ)特定個人情報保護委員会の命令に従わない場合には,2年以下の懲役叉は50万円以下の罰金(番号法73条)

 

2.マイナンバーの漏洩

 

(1)意図的なマイナンバーの漏洩

意図的な漏洩につては「1.マイナンバーの提示」で見てきたとおりです。

 

(2)意図しないマイナンバーの漏洩の責任

この場合の本人の責任についての規定はないようです。

 

(3)マイナンバーが漏洩した場合情報流失のリスク

マイナンバーが他人に知られたとしても,具体的な不利益が発生することは通常はありえません。

 

①マイナンバーによる紐付け情報利用は行政機関に限定

 

 マイナンバーを活用してそのシステムを運用し,情報の管理・利用・授受をおこなうのは行政機関に限定されます。
 マイナンバーを使って情報に近づけるのは,原則として行政機関に所属する人間だけだということになります。
 行政機関に属さない一般の人にマイナンバーを知られたとしても,それが直ちに情報流失につながるわけではありません。

 

②身分証明書の提示の要求

 

マイナンバーの本人であることを示す身分証明書を,マイナンバーとともに提示することになっています。
 したがって,マイナンバーだけでは手続はできません。 マイナンバー制度は,従来、手続において必要とされていた住民票や所得証明が省略できるというメリットがある だけです。

 

以上のような点を考えると,マイナンバーが他人に知られたり番号カードを紛失しても,情報が流失する危険は少ないと思われます。

 

3.まとめ

 

マイナンバーを他人に教えた場合の本人の責任は限定的です。

 

また,マイナンバー漏洩による情報流失の危険も非常に限定的です。
とはいえ,政府のシステムに不正に侵入する者が現れないとは断言でず,一抹の不安をぬぐえません。また,行政機関の内部に不正な行為をおこなう者が出てこないとも限りません。

 

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11月

05日

マイナンバー(個人番号)「通知カード」の管理の責任・その用途

 「通知カード」がわが家にも届きました。

そこで,今回は通知カードをめぐる管理の責任,その用途を整理してみようと思います。
参考ブログ記事:「わかりますか,マイナンバー制(個人番号制度)

 

1.通知カード

 

 通知カードは「個人番号」が記載されている紙製のカードです。
「個人番号」は12桁の数字です。「個人番号」の愛称はマイナンバーです。


 マイナンバーの通知は通知カードを送付することによっておこないます。住民票のある人全員に書留で送付されてきます。
 生まれてたての赤ちゃんであっても,また日本国籍のない外国人であっても,日本に住民票がある限り全員に通知カードが発送されます。

 

2.通知カード受領で発生する義務

 

 通知カードを受け取ると通知カードを管理する以下の義務が受け取った人に生じます
逆にいうと,通知カードを受け取らない限り,管理する義務は生じません。


(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律について以下,番号法と呼ぶことにします)。

 

通知カードの交付を受けている者は,
①転入の届けをする場合には,通知カードを提出しなければなりません(番号法7条4項)
②通知カードの記載事項に変更があった場合には,カードを提出して届け出なければなりません(番号法7条5項)
③通知カードを紛失した場合には,直ちに届け出なければなりません(番号法7条6項)

 

3.通知カードの用途

 

(1)マイナンバーの確認

 

 来年の1月以降,職場や行政手続などの際にマイナンバーを伝えなければなりません。
その提示したマイナンバーに誤りがないかどうかを提示先が確認するために使います
 通知カードが提示できない場合には,マイナンバーが記載された住民票の写しでそれに替えることができます。

 

(2)身分証明書は別途必要

 

 通知カードは身分証明書としては利用することはできません。身元確認は別途必要です。
マイナンバーの本人であることを確認するためには,身元を確認するための身分証明書が別に必要になります。

 

4.通知カードと個人番号カード(マイナンバーカード)

 

(1)個人番号カード(マイナンバーカード)とは

 

 個人番号カードのことをマイナンバーカードと呼ぶことにします。

マイナンバーカードとは顔写真つきICカードです。機能的には身分証明書が付いた通知カード
 希望者は申請が必要になります。マイナンバーカードの交付を受けるときには,通知カードは返す必要があります。

 

(2)通知カードとマイナンバーカードの機能の違い

 

 通知カードは相手に提示するときには,身元確認ができる身分証明を別途提示する必要があります。
 マイナンバーカードは,マイナンバーの確認と身元確認がこのカード1枚でできます。

 

4.マイナンバー使用による利便性

 

(1)マイナンバー提示の場面

 

マイナンバーを提示を求められる場面
・児童手当申請時、あるいは毎年6月の現況届の時
・失業保険申請時
・生活保護申請時
・確定申告時
・入社時や年末調整の時
・パートやアルバイトを始める時

 

(2)利便性の具体例

 

マイナンバーを使用することによる利便性の具体例を挙げてみます。

①児童手当の給付申請
現在は所得証明書・健康保険証の写しが必要です。
マイナンバーによって不要になります。

 

②住宅ローン控除の申請
現在は住民票が必要です。
マイナンバーにより不要になります。

 

5.まとめ

「通知カード」はなくても,マイナンバーが記載された住民票を提示すれば「通知カード」の替わりとなります。
「通知カード}をいったん受け取るとそれを管理する義務が生じます。違反について罰則の規定はありません。

 

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2015年

10月

12日

亡くなった人が,まだもらっていない年金は誰のもの? (未支給年金の帰属)

 国民年金や厚生年金は後払いのために,本人が亡くなったときに必ず受取損なった年金が残ってしまいます。この受け取り損なってしまった年金のことを未支給年金といいます。

 

 一見したところ相続財産のように思われますが,相続財産ではないというのが最高裁判所の判断です。

 

1.年金の支払

 

(1)支給月

 

 年金の支払いは偶数月に支払われます。
 通常は偶数月の15日,その日が土曜,日曜,祝日のときは,直前の金融機関の営業日です。

 

(2)支給分

 

 支払月の前月までの分が支払われます。

 

(3)受給者死亡時

 

 死亡月の分は日割りでなくひと月分の支給されます。

 

2.未支給年金

 

(1)未支給年金の発生

 

①死亡日が奇数月の場合

 2ヶ月分が未支給年金となります。
たとえば9月に亡くなった場合は,8月,9月の2ヶ月分が未支給年金の額となります。

 

②死亡日が偶数月の場合

 3ヶ月分が未支給年金となります。
たとえば10月に亡くなった場合は,8月,9月,10月の3ヶ月分が未支給年金となります。

 

2.未支給年金の法律的性質

 

(1)非相続財産

 

 未支給年金は相続財産ではないと最高裁判所が判断をしました。それにより,その議論に決着がつきました。
 未支給年金は相続財産ではないので,遺産分割の対象にはならないということになります。
(平成7年11月7日最高裁判決:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57054

 

(2)未支給年金の請求該当者とその順位

 

 死亡した人に支給すべきであった未支給の年金は,死亡当時に生計を一にしていた次の人達が請求することになります。

 

 請求の順位は記載の順に従います。同順位にある人が複数の場合は、請求者に対する未支給年金の支払いをもって同順位者全員に支払ったものと見なされます。
 生計を一にしていない人は受け取ることができません。順位の上の人が受け取ったときには,次順位以降の人は当然ですが,受取人にはなれません。
 なお,該当者が相続放棄をしても,未支給年金は受け取ることができます

 

①配偶者
②子
③父母
④孫
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
⑦これらの者以外の三親等内の親族

 

参考のブログ:親族,血族,姻族,4親等内の親族

 

3.課税関係

 

(1)未収年金の受取人に対する課税

 未支給年金の受取人は,相続税ではなく一時所得としての課税がなされます。
参照:国税庁の未支給年金の課税関係のページ

 

(2)遺族年金に対する課税

 

厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡したときに遺族の方に対して支給される遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されません

 

4.まとめ

 

 亡くなった人が受け取るべきであった未支給の年金は,相続財産ではなありません。決められた人が自分の固有の財産として請求します。したがって,遺産分割の対象ではありません

 

 「相続 とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、 死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途 相続の対象となるものでないことは明らかである。」(最高裁判決抜粋)。

 

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2015年

10月

10日

印鑑でなくてサインじゃダメなの?(印鑑・署名の法的効果)

1.文書の真正の成立(偽造ではないこと)

 

(1)処分証書

 

 売買契約書契約解除の通知書などを処分証書といいます。
 売買契約書は売買がなされたことを示す書面です。売り買いという法律行為が書面によっておこなわれたことを表しています。また,消費貸借契約書はお金の貸し借りがあったということを示す処分証書です。

 

(2)真正の成立

 

 真正の成立とは,偽造されたものではないということです。本人が作った文書であるということを意味します。
 処分証書が偽物でなければ,その法律行為がなされたことが証明されます。売買契約書が偽造されたものでなければ,売買契約がおこなわれたことは証明されたことになります。

 

(3)本人の作成した書面であることの証明

 

 文書の真正の成立を証明する必要があります。
 直接に真正の成立を証明することは,本人が認めない限り困難です。そこで推定をすることになります。

 

①推定

 

 推定とは,相手側から反証がない限り,推測されたことを暫定的に事実として扱うことを意味します。
 借金の契約書(消費貸借契約書)があり,お金を貸した側が貸した金を返せと要求する場合。契約書は偽物ではなく,借りた人が作ったもので間違いがないということを,貸した人が推定という形で暫定的に証明する必要があります。

 

②二段の推定

 

 貸主が借主は消費貸借契約書の作成にかかわったことを証明しなければなりません。
 その手法として二段の推定と呼ばれる推定法を使います。推定に推定を重ねることになります。

 

 二段の推定の詳細は,次項,「文書の真正の成立の推定」をご覧ください。

 

2.文書の真正の成立の推定

 

 この推定のために使われるのが署名(サイン),押印(ハンコを押す)です。
以下に押印・署名があることによって,本人の作成した書面であることがどのように推定されるのかを見ていきます。

 

(1)押印がある場合の推定

 

 記名のうえ押印がある場合に,その記名のある人が作成した書面であると,どのように推定されるのかを見ていきましょう。
 記名とは署名以外の方法で氏名を表示することを言います。たとえば,氏名のゴム印を押すなどが考えられます。

 

①事実上の推定(裁判所が判例として認めている推定) 一段目の推定

 

 書面に押印がある場合に,問題になるのはその押印が本人の意思によってなされたものであるのかということです。

 

 この点については判例があります。
 その書面についてある印鑑が本人のものであれば,その押印は本人の意思によって押されたものであると推定されてしまいます。
(昭和39年5月12日最高裁判決:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53145

 

 そこに本人のものであるハンコがついてあれば,そのハンコは自分の意思でついたハンコだと推定されてしまいます。「いや自分がついてのではなく誰かが勝手についたものだ」とか言うのであれば,そういうあなたが自分で証明しなさいということになります。

 

 つまり,書面の押印の印鑑が本人のものであることが証明されれば,自分の意思でそこに押印したものであると推定されてしまいます。
 その証明は印鑑証明書によってするのが簡明です。推定の理屈はいわゆる三文判でも変わることはありませんが,押印されている印が本人のものであるという証明が難しくなります。

 

②法律上の推定(民事訴訟法228条4項に法定されている推定) 二段目の推定

 

 自分の意思でそこに押印したとして,次にその書面に書いてある内容について承知していたかが問題となります。
 たしかに自分の印をついたが,そのときには文面が白紙になっていたとか,自分が押印したときの文面と違うとかいう異論が出てくるかも知れません。

 

 そのことについては,民事訴訟法228条4項に規定があります。
 本人の意思に基づく押印がある場合には,その書面は偽造されたのではなくて,本人の意思に基づいて作成されたものであると推定されます。

 

③二段の推論から結論される推論

 

本人の印鑑が書面に押印されている場合には

その押印は本人の意思に基づき押されたものであり
そうであれば,その文面については本人が作成したものであり,他の者によって偽造されたものではない

と推定されます。

 

(2)署名(サイン)のみの推定

 

 押印の場合と署名の場合の推定も同じ筋道をたどります。

 署名というのは自分の氏名を自分で書くことです。

 

 本人の署名があった場合には,本人の意思に基づき署名がなされたものであると推定されます。誰かにむりやりに名前を書かされたわけではないとの推測を受けるわけです。

 書面に本人の意思に基づく署名があれば,その書面は偽造されたものではなく,本人が作成した書面であると推定されます。

 

3.結論

 

 押印でも署名でもその効力に変わりはありません。

 

 本人の印による押印であることの証明には印鑑登録制度あります。
 本人の署名であることの証明には印鑑のような登録制度がないため,筆跡鑑定のような面倒な手続きが必要になります。

 

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2015年

8月

09日

高齢者の財産管理と成年後見制度,信託制度

1.高齢者の財産管理の態様

 

(1)身体的な能力の衰えに備える財産管理

 

 判断能力に衰えはないが,身体的な能力の衰えにより支援が必要なることが出てきます。
 銀行に行って預金を下ろしてくるのが億劫になる。日常の諸手続を負担に感じる。貸家の賃料の取り立て,修理などの管理が辛くなる。など,若い頃にはどうということもない日常的なことに,誰かの支援がほしくなることが出てきます。

 

(2)精神的な能力の衰えに備える財産管理

 

 体力的な衰えはないが,判断能力の衰えが感じられるようになり支援が必要になってきます。
高額な商品の購入,複雑な取引などは,とくに支援が必要になります。また,最近では判断能力の衰えにつけ込んだ詐欺が横行して,社会問題になっています。振り込め詐欺がその典型です。

 

(3)身体的・精神的能力の衰えに備える財産管理

 

 身体的能力,精神的能力の両者に衰えが出て支援が必要な人もいます。
介護認定の手続き,介護施設への入所手続き,費用の支払いなどの支援が必要になります。

 

(4)死後に備える財産管理

 

 本人の死後の財産処理について一定の配慮を希望する人もいます。
亡くなった直後の治療費の支払い,葬儀費用の支払い,納骨・供養などの費用に支払などが発生します。こうした死後の支払費用などについて生前に本人が手当てをしておきたいという配慮がなされます。
 また,本人亡き後の家族や親しい人の行く末を案じて,遺言を残すこともあります。

 

2.高齢者の財産管理の法的制度

 

 高齢者特有の財産管理を支える大きな法的制度として,成年後見制度と信託制度があります。
その他一般的な法律の財産管理制度としては,委任・代理・消費寄託などがあります。

 

(1)成年後見制度

 

 成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
 参考ブログ:「任意後見と法定後見との関係

 

①法定後見制度

 

 判断能力の程度に応じて後見,保佐,補助の三段階の支援レベルが設けられています。
 判断能力が減少して初めて支援が開始される制度です。
 また,支援者(後見人,保佐人,補助人)は家庭裁判所が選びますので,本人の意に沿わない人物が支援者となってしまうこともあります。
 後見・補佐の支援を受ける人は,会社の役員ではいられないなど職業の制限を受けることがあります。
参考ブログ「法定後見等が開始されると本人の選挙権などはどうなりますか

 

②任意後見制度

 

 判断能力の低下がみられたときに初めて,任意後見人の支援を受けます。
 支援する人(任意後見人)は,あらかじめ本人が公正証書による契約を結んだ人です。
 任意後見の支援を受けても,法定後見の支援を受ける人とは違い,職業の制限を受けることはありません

 

(2)信託制度

 

 成年後見制度と並んで高齢者の財産管理に有用な制度として信託制度が注目を浴びています。
 信託制度は自分の財産を信頼する人に預けて,特定の人やことのために管理・運用・処分をしてもらうことをいいます。

 信託の目的・スキームに合わせて家族信託,福祉型信託などと呼ばれています。ここでは,信託会社が扱ういわゆる商事信託は除いて話をしています。

 さらに名前を列挙すると,高齢者福祉信託,福祉型遺言信託,遺言代用信託,任意後見支援信託,遺言信託,死後事務委任信託など百出です。

 

3.成年後見制度の財産管理の限界

 

(1)支援開始の時期

 

 成年後見制度は判断能力の低下したときでないと利用できないという弱点があります。
身体能力の低下には対応ができません。

 

(2)支援権限の終了時期

 

後見人等の任務は本人が死亡した時点で終了してしまいます。死後の事務については原則として後見人等は処理する権限がないのです。
死後の財産管理は相続人の役目です。後見人等は速やかに支援していた人の財産を相続人に渡さなければなりません。

 

4.まとめ

 

 成年後見制度の限界を補う方策として,信託制度の利用が工夫されています。
 判断能力の低下がなくても支援を開始すること,死後直後の仕事(死後事務),相続財産処分などの分野にまたがって,信託制度が活用できます。

 

信託制度の紹介を今後このブログで続けていきます。

 

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2015年

8月

07日

<不妊治療>「産んだ女性が母親」

 

親子関係については、1962年に最高裁が「産んだ女性が母」とする判決を出し、法務省法制審議会も2003年、不妊治療で生まれた子について「産んだ女性が母」とする中間試案を示した。07年には、最高裁がタレントの向井亜紀さんと、代理出産で生まれた双子との母子関係を認めない判断を示した。また、最高裁は13年、性同一性障害で女性から男性に性別変更した夫が、第三者の精子提供を受けて妻が出産した子を嫡出子(法律上の子)と認めた。今回の法案はこれらの判例や過去の議論に沿った内容となった。

<不妊治療>「産んだ女性が母親」自民部会が特例法案了承 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 

1.不妊治療と生まれてくる子どもの身分

 

自民部会が特例法案を用意して,この国会に提出を目指すようです。
詳細はわかりませんが,過去の判例,議論が反映された法案になっているようです。

骨子は「生んだ女性が母親」です。


 以前に「子どもがほしいご夫婦の生殖医療の類型」という記事を書きました。その記事を「生んだ女性が母親」という基準でもう一度検討してみようと思います。

 

2.生殖医療の類型と子の身分

 

(1)不妊の原因が妻側にある場合

 

①精子は夫,卵子は妻以外の女性,妻が出産

この場合は生まれた子の母親は妻となります。父は夫。
嫡出子としての届出が可能です。
衆議院議員の野田聖子さんのケースがこれにあたります。

②精子は夫,卵子は妻,妻以外の女性が出産

この場合は生まれた子の母親は妻以外の女性となります。父は夫。
特別養子縁組が必要になります。
タレントの向井亜紀さんのケースがこれにあたります。

③精子は夫,卵子は妻以外の女性,妻以外の女性が出産

この場合は生まれた子の母親は妻以外の女性。父は夫。
特別養子縁組が必要になります。

 

(2)不妊の原因が夫側にある場合

 

①精子は夫以外の男性,卵子は妻,妻が出産

この場合は生まれた子の母親は妻。父は夫とする。
嫡出子としての届出をします。

 

(3)不妊の原因が夫婦双方にある場合

 

この状況は今回の法案では想定していないようです。
原則論で類推すると以下のような取扱になるのではないかと考えます。

 

①夫以外の精子,妻以外の卵子,妻が出産

この場合生まれた子の母親は妻。父は夫。
嫡出子としての届出をします。

 

3.まとめ

 

 この法案が成立すれば,生まれてくる子の身分関係が安定するのではないかと期待されます。

 ニュースの記事にもあるように,代理出産を認めるのかなど,不妊治療のルールの法制化残されたままで,先送りされるようです。

 

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2015年

7月

15日

読点が,裁判結果の明暗を分けることも(契約における読点の重要性)

本件で問題となったのは生命保険の特約では,保険金等の支払いがされないとなっていたところ,原告女性は,保険の責任開始日から90日後に乳がんにり患しているとの確定診断がされたため,「90日以内に・・・意思による確定診断された」とはいえないとして,保険金の支払い等を求めたというものです。保険会社側は,「90日以内に」というのは,「乳房の悪性新生物にり患し」のみにかかり,「医師による確定診断」が90日より後であった場合は含まないと反論しました。

情報源: 生命保険契約における「90日以内に・・・にり患し,医師による確定診断がされたとき」の解釈|弁護士江木大輔のブログ

 

1.読点の使い方について

 

 読点の使い方については,文章術と呼ばれる本を読むと,必ずといっていいほど出てきます。句読点を打つ位置によってまるで意味が変わったしまうことも出てきます。

 たとえば,「美しい水車小屋の娘」についてかんがえてみましょう。
美しいのは水車小屋でしょうか,それとも娘なのでしょうか。
このままですとどちらに読んでも誤りとは言えません。

 もし,娘が美しいと伝えるつもりであれば,「美しい,水車小屋の娘」と読点を打たないと水車小屋が美しいと誤解をされるおそれがあります。

 

 「、」あるいは「,」の打ち方については,そうした本をお読みになってください。
 簡単そうで,なかなか使い方が難しいです。ご自分で契約書を作成する場合には,十分な注意が必要となります。
 句読点の使い方について書かれた本の一押しは本多勝一の『日本語作文技術』です。

 

2.句読点について裁判所が行った判断例

 

 上で見た「美しい水車小屋の娘」におけるのと同じ意味合いで,読点の打ち方が争点となった裁判例がありました。それが,冒頭に引用した記事です。
 記事に寄りますと,読点を打った位置が裁判結果を左右する一因となっています。

 

3.句読点の位置による争点

 

 争点となった約款は
「責任開始日から90日以内に乳房の悪性新生物にり患し,医師による診断確定されたとき」
給付金を支払うとなっていました。


 この約款の解釈については,原告・被告の主張にそれぞれ一理あることになります。

注:約款というのはあらかじめ契約の内容が定められている契約のことをいいます。

 

(1)原告側の主張

 

 原告側は生命保険の特約の約款を次のように解釈しました。
「医師による乳がんの確定診断は,責任開始日から90日を経過していた。したがって,給付金を支払うべきだ。」と主張しました。

 つまり,「責任開始日から90日以内に・・・・・・医師による診断確定されたとき」と「90日以内に」のあとに読点が打ってあると同様な読み方をしたわけです。

 

(2)被告側の主張

 

 「90日以内に」というのは,「乳房の悪性新生物にり患し」のみにかかり,「医師による確定診断」が90日より後であった場合は含まないと主張しました。

 つまり,「責任開始日から90日以内に乳房の悪性新生物にり患し,(かつ*注)医師による診断確定されたとき」と素直な読み方を主張しています。
注:(かつ)は私が理解しやすくするために付記したものです。

 

(3)裁判所の判断

 

 以下①,②の理由などをあげて,裁判所は被告側に軍配を揚げました。

 

約款には「90日以内に」のあとに読点が打たれていないので,原告側の主張をそのまま受け入れるわけにはいかない。

②契約時に契約者に渡される「ご契約のしおり」には,「責任開始から90日以内にり患した乳がんには,お支払いしません」と記載されている。

 

3.まとめ

 

 読点があるかないかによって,その文章が書いた人の意図と違って解釈される恐れが出てきます


 契約書をご自分で書くときには,読点の使い方にも配慮が必要です。

もし,この約款が「「責任開始日から90日以内に,乳房の悪性新生物にり患し,医師による診断確定されたとき」と「90日以内に」の後に読点が打たれていたとすれば,また違った結果になったかもしれません。

 

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2015年

6月

25日

養子をとると他の子の遺留分が減ってしまいます。

 養子縁組によりもらえるはずの遺留分が減ってしまうということが出てきます。また,このことを意図的に利用して,遺留分をすくなくするための養子縁組も行われています。

 

神奈川県相模原市の40歳代の男性は今年2月、97歳で亡くなった祖母の公正証書遺言があることを知った。作成されたのは2011年7月。そして、その内容を知って愕然とした。全財産を男性の一つ年下の妹に相続させると書かれていたのだ。
男性の両親は20年ほど前に離婚し、妹とともに母の実家で祖母と暮らしてきた。母は13年9月、病気で亡くなり、相続人は男性と妹だけ。仕事は忙しかったが、祖母と同居しながら、普通の交流はしてきたはずだった。それなのに、自宅に加え、隣接する土地に所有しているアパート2棟、預貯金などすべてが妹へ渡ることになった。
しかも、妹は、男性に知らせることなく、祖母と養子縁組をしていた。男性が遺言書のあるなしにかかわらず遺産を相続できる最低限の割合(遺留分)も、4分の1から8分の1に下がってしまっていた。

食い物にされる認知症患者 悪用される成年後見制度 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版

 

1.遺留分とは

 

 遺留分というのは,法定相続人が相続財産から最低限受け取ることができるとされている割合です。
 兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

2.遺留分の割合

 

①相続人が父母,祖父母などの直系尊属だけの場合は,相続財産の三分の一が遺留分です。
それ以外の場合には,相続財産の二分の一が遺留分となります。

 

3.冒頭に掲げた記事についての遺留分の割合

 

養子縁組と遺留分(1)祖母と妹が養子縁組をしない場合の遺留分

 

 祖母の死亡にともない母の遺留分は,祖母の財産の二分の一です。母は祖母の死亡以前になくなっているため男性と妹は母に替わった代襲相続をすることになります。

 

 母の遺留分は他に祖母の相続人がいませんので二分の一。母の代襲相続人は兄・妹の2名ですので母の遺留分のを半分にした者が男性の遺留分となります。
 結局,男性の遺留分は4分の一となります。

 

参考ブログ:「遺言によっても奪えない遺留分(相続のトラブルを複雑にさせる遺留分制度)

 

(2)祖母と妹が養子縁組をした場合

 

 祖母の死亡にともない祖母の法定相続人は,母と養子縁組をして祖母の子となった妹の二人になります。
 祖母の法定相続人の遺留分は二分の一です。祖母の子各自それぞれの遺留分は,二分の一の二分の一ですので,母の遺留分は四分の一となります。
 男性の遺留分は母に子が二人いますので,母の遺留分の半分になります。結局,母の遺留分4分の一の半分,八分の一が男性の遺留分という計算になります。

 

4.遺留分を減少させることを目的とする養子縁組の有効性

 

 「精神的なつながりをつくる意思」があるのであれば,特定の人の相続分を害する意図があっても養子縁組は有効であるとするのが判例のようです。

 

参考:「相続分ないし遺留分の減少を目的とした養子縁組の効力

 

5.まとめ

 

 養子縁組制度を利用することによって,この記事の例のように特定の人間の遺留分を減少させることが可能です。
 しかし,記事の例でもわかるように相続紛争の火種になりかねません。非常にトリッキーですし,あまりおすすめできる方法ではないと思います。

 

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2015年

6月

18日

孫の養子は相続税が2割増しです(孫養子の相続税2割加算)

1.養子の相続税における取扱

 

 以前に養子になれば三人以上の親をもてるということをもてるという話をしました。
あなたの親は二人それとも三人ですか(普通養子と相続)

 

 養子縁組を行うとその養子は養親の嫡出子となります。相続権利について実子と同等の扱いがされます。
 相続税の計算についても,原則的には実子であっても養子であっても同等の取扱がなされます。ただし,例外もありますので注意が必要です。

 

2.相続税の2割加算(相続税法18条)

 

 相続をした人が亡くなった人の両親・子・配偶者以外の人の場合には,通常の相続税の額の2割増しを納税する必要があります。逆にいいますと,両親,子,配偶者が相続人であるときには2割加算をする必要はありません。

 

 「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族・・・中略・・・及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。」
参照(国税庁のページ):
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4157.htm

 

3.相続税2割加算についての二つの例外

 

(1)孫など直系卑属が代襲相続の場合の例外(相続税法18条1項)

 孫は亡くなった人の一親等の親族ではありません。孫は2親等の親族です。孫が代襲相続によって相続人になった場合には子としての相続とみなして,2割加算の必要はありません
代襲相続により曾孫が相続人になった場合の取扱は同じです。

 

(2)孫養子などの直系卑属の養子が相続の場合の例外(相続税法18条2項)

 養子は実子と同じ扱いになりますので,通常は一親等親族の取扱がなされるというのは,上記「1.養子の相続税の取扱」でみたとおりです。しかし,孫を養子とした場合は例外の取扱がなされますので,注意が必要です。

 

 孫を養子としている場合は,例外的に2割加算の対象となります。
 孫だけでなく直系卑属も同様に2割加算となります。

 

3.まとめ

 

 相続税の計算をするにあたって,相続税を回避することにつながる弊害を避けるため,養子には例外的な取扱がなされています。

 孫養子などについては,相続税に対する配慮も必要になります。

 

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2015年

6月

09日

ご家族にゆくえがわからない人がいますか(行方不明者と遺産分割協議)

 遺産分割協議は相続人全員の参加が必要であることは,何度かお話ししています。相続人のうちの一人でもその協議に加わっていなければ,遺産分割協議は無効です。


 相続人の中に行方がわからない人がいた場合には,遺産分割協議はどうなるのでしょうか。今回はそのことを考えていきたいと思います。

 

1.相続発生時に相続人に行方不明者がいる場合

 

(1)不在者財産管理人(民法25条)

 他の相続人などの利害関係者からの請求により,不在者財産管理人を家庭裁判所が選任します。
 選ばれた行方不明の相続人の不在者財産管理人は,家庭裁判所の許可を得て,他の相続人と遺産分割協議を行います。

 

(2)失踪宣告(民法30条)

 不在者が7年以上生死不明の状態が続いている場合には,家庭裁判所が失踪の宣告を行います。法定相続人などの利害関係者の請求により,家庭裁判所が行います。

 失踪宣告がなされますと死亡したとみなされます。
 代襲相続をする者がいるときには,その人が相続人となって遺産分割協議に参加します。

 

2.遺言がある場合

 

(1)遺留分侵害のない遺言

 遺言がある場合には,遺言にしたがって遺産分割がなされるので,遺産分割協議の必要はありません

 

(2)遺留分侵害がある遺言

 遺留分の侵害がある場合には,侵害された相続人は遺留分減殺請求ができます。法定相続人に最低限認められた相続分を渡すように請求することを遺留分減殺請求といいます。

 

 遺留分減殺請求権には消滅時効がありますので,一定期間が経過すれば行方不明の相続人は遺留分を請求することができなくなります。

 

消滅時効の期間は以下のとおりです。(民法1042条)

①相続の開始及び遺留分減殺請求ができる贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間で,それを過ぎると遺留分減殺請求権は消滅します。

 

相続開始の時から10年を過ぎると遺留分減殺請求権は消滅します。
この10年は除斥期間と呼ばれ,ともかくも10年がたてば遺留分減殺請求権は消滅します。時効の中断ということはありません。

 

3.まとめ

 

 推定相続人に行方不明者がいる場合には,遺言を残すことを検討するべきです。遺言があれば,遺産分割協議の煩わしさから法定相続人は免れることができます。
 相続開始から10年以内に遺留分減殺請求がなければ,遺留分減殺請求権は消滅します。

 

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2015年

5月

17日

あなたの親は二人それとも三人ですか(普通養子と相続)

一 親の人数

 

1.生物学的な親と法律的な親

 

(1)生物学的な親(実親)

 

いうまでもなく生物学的な親は男女1名ずつです。

 

(2)法律的な親(養親)

 

養子縁組によって成立する親は養親と呼ばれます。同じ養子が別の養親とも養子縁組を結ぶことを転縁組と呼びます。
転縁組まで考えると,養親の数は理論上は上限はないことになります。
参考ブログ:「養子縁組は何人まで可能か(転縁組)

 

(3)民法上の養子の数と税法上の養子の数

 

親の数の話題とすこしずれますが,養子の数の制限について見ておきます。

 

①民法上の養子の数の制限

特に制限は設けられていません。成年は尊属,年長者以外であれば養子とすることができます。

 

②税法上の養子の数の制限

相続税の基礎控除の計算は 3000万円+法定相続人数×600万円

養子は法定相続人数に加えることができますが,その数が税法上制限があります。

 

ア 被相続人に実の子供がいる場合    一人まで
イ 被相続人に実の子供がいない場合  二人まで

 

二 実親・養親の相続

 

(1)子の相続割合

 

親が死亡すれば親の財産を子が相続するということは,ご承知の通りです。
養親の財産は養子であっても相続できます。相続割合は実子,養子ともに同額です。実子であろうが養子であろうが相続においては子として同等に扱われるわけです。
養子となっても,実親の財産は実子として当然相続できます。

 

(2)養子の代襲相続

 

子が親より先に亡くなったときに,子の子(親の孫)が祖父母の財産を代わりに相続をすることを代襲相続といいます。


養子における代襲相続は,養子縁組がなされた後に生まれた子に限り代襲相続をする権利があります。養子縁組前にすでに生まれていた子は代襲相続の権利はありません。
参考ブログ:「亡くなった人の相続人は誰(法定相続人)

 

三 兄弟姉妹間の相続と養子縁組(民法900条4項)

 

亡くなった人に子どもなどの卑属,両親などの尊属がいない場合には,その亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。そのときの相続割合について,注意が必要です。

 

(1)両親の養子になっている場合の兄弟姉妹間の相続割合

この場合の兄弟姉妹間の相続割合は同一です。

 

(2)片方の親のみの養子となっている場合

この場合は養子は実子の半分が相続割合となります。いわゆる半血の兄弟にあたり,全血の兄弟の半分が兄弟姉妹間の相続割合となります。

 

参考ブログ:「半血の兄弟姉妹がいる場合の法定相続分 その1

 

四 まとめ

 

子の立場から相続を見ますと,親の数が多ければ相続できる親の数が増えます。相続できる親の数が増えれば,通常はそれだけ相続できる財産が増えることになります。実親と養親の双方の財産を相続できるわけです。

 

いいことばかりではなく,子としての義務も実親,養親の双方に対して発生します。

 

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2015年

4月

12日

新婚さんに初の”義兄妹結婚”(きょうだいの禁断の愛について)

この日、新聞のラテ欄にも「少女マンガのような禁断の愛にあこがれる夢見る妻が愛した相手は義理のお兄ちゃん!」と書かれていた、北海道・日高からやってきた夫妻。兄は33歳、妹は23歳で、もともと兄の母と、妹の父が再婚したことで義理の兄妹になった2人だという。
カップルの自己紹介を受け、文枝は「兄妹で結婚いうんは、この番組でも初めてちゃう?」、山瀬まみも「ね、ない」と驚きの表情。

 

新婚さんに初の“義兄妹結婚”、桂文枝「こんな番組やった?」と戸惑う。 | Narinari.com

 

きょうだい同士の結婚はこの記事にあるほど驚くべきことでしょうか。すこし考えてみます。

兄と妹,弟と姉どちらでもよいのですが,ここではこの記事にならって兄と妹との結婚ということで話を進めます。

 

1.親族に関する基礎用語

 

(1)血族

血のつながった人間同士をいいます。血のつながりは法定のものと生物学的なものがあります。いずれも法律的には同一の血縁関係です。

 

①法定血族
生物学的な血のつながりのない養子縁組による親子関係を法定血族といいます。
離縁によって血族でなくなります。

 

②自然血族
生物学的な血のつながりを持つ関係を自然血族といいます。

 

(2)姻族

婚姻(結婚)によってできた親戚をいいます。
離婚によって姻族関係がなくなります。
また,一方の配偶所が死亡した場合,残された配偶書は姻族修了の意思表示をすると,姻族関係は修了します。

 

(3)直系親族と傍系親族

 

①直系親族
直系に属する血族をいいます。
祖父母ー父母ー子ー孫という系列の血族です。

 

②傍系親族

同一の始祖を持つ直系から別れた血族をいいます。
兄弟姉妹は父母を同一の始祖としてする傍系親族です。また,いとこは祖父母を同一の始祖とする傍系親族です。

 

(4)親等 の数え方(民法726条)

親等は親族関係の遠近を表します。なお,親族とは6親等内の血族,配偶者,3親等内の姻族をいいます。

 

①直系親族間の親等
親族間の世代数を数えます。自分の親(1親等),祖父母(2親等),子(1親等),孫(2親等)のように数えます。

 

②傍系親族間の親等
本人から同一の始祖(祖先)にいったんさかのぼり,そこから世代をくだって数えます。

 

おじおばは父母(1),祖父母(2)とさかのぼり,祖父母から祖父母の子(3)へとくだります。したがって,おじおばは3親等となります。
いとこは,おじおばからさらにもうひとつくだりますので4親等と数えます。

 

きょうだいは父母(1)にさかのぼり,父母からその子(2)としてくだって数えます。したがって,きょうだいは2親等です。
きょうだいの子である甥姪は3親等となります。

 

③姻族についての親等の計算
配偶者を基準にして親等を数えていきます。配偶者については親等はありません

 

2.親族・親等関係の図

親族の基礎的用語を上で見てきましたが,言葉だけではわかりにくいと思います。図を付けます。
配偶者に連れ子がいない場合と連れ子がいる場合の2種類を載せておきました。ご参考にして下さい。

 

① 親族・親等図(読み方付き):http://mr36.jp/cshintou2.html
②配偶者に連れ子がいる場合の親族・親等図:http://shinashakyo.jp/koken/pdf/shinzoku.pdf

 

なお,法定後見を申し立てることができる親族の範囲については以下のブログを参照して下さい。
参考ブログ:「おひとり様(身寄りのない人)の法定後見申立は誰がしたらいいか。

前置きが長くなってしまいました。兄妹の禁断の愛については,申し訳ありませんが,次回とさせてください。

 

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2015年

4月

12日

精神科病院への入院・退院

以前書いた記事のせいなのでしょうか,これから精神科病院へ入院されるという方から問い合わせを受けます。問い合わせだけならいいのですが,その問い合わせが深夜の就寝中ということもあります。


以前のブログ記事:「精神科病院への強制入院「医療法ご入院」が改正され来月4月実施

そこで精神科病への入院,精神科病院の退院について相談窓口,精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律の入退院の概略を示します。


相談はぜひ相談窓口にお願いをいたします。

 

1.相談窓口

 

(1)一般的相談窓口

これをお読みになっていただき,「各都道府県の精神科救急情報センター 」にご相談ください。

 

(2)緊急相談窓口

 

入院に緊急を要する場合につきましては,やはり「各都道府県の精神科救急情報センター」 にご連絡の上,センターの指示に従って下さい。

 

夜間休日の全国の精神科救急情報センターの電話番号一覧はこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/pdf/ercenter.pdf

 

なお山梨県の夜間・休日の電話番号は055-254-3119です。山梨県のセンターは24時間対応ではありませんのでご注意下さい。

 

(3)精神科救急相談

 

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-001.html

上のホームページに精神科の救急について次の項目について解説があります。参考にして下さい。

①どこに相談するか
②どうやって運ぶか
③どこで診察されるのか
④どんな治療をされるのか

 

2.精神科病院への入退院

 

(1)精神科病院への入院

 

入院には4種類あります。①任意入院,②医療保護入院,③措置入院,④応急入院の4つです。

 

①任意入院(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律20条)

 

精神障害者本人の意思による精神科病院への入院です。

 

②医療保護入院(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律33条)

 

精神障害者で入院の必要があるが,本人が入院を拒否している場合に行われる入院です。


家族等の誰かひとりが同意すれば,精神科病院の管理者は,本人の同意なしで入院をさせることができます。保護者制度はなくなっています。


家族等とは本人の配偶者,親権を行うもの,扶養義務者(直系血族および兄弟姉妹)及び後見人または保佐人をいいます。(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律33条2項,民法877条)

 

③措置入院(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律29条)

 

所定の診察の結果,精神障害者で医療・保護のために入院させなければ,自身や他人を傷つけるおそれがある時に,所定の精神科の病院に都道府県知事は入院させることができます。

 

④応急入院(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律37条の7)

 

急ぎの処置が必要であるが,本人・家族等の同意が得られない場合,医療・保護を図る上で著しく支障がある時には,72時間を限度に所定の精神科病院の管理者は入院をさせることができます。

 

(2)精神科病院からの退院

 

①任意入院のとき

 

本人の退院の申出があった時には精神科病院の管理者は原則として退院をさせなければいけません。(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律21条2項)

 

②措置入院とき

 

入院を継続しなくてもその精神障害のために自身や他人を傷つけた利害を及ぼすことがなくなった場合には,直ちに退院をさせなければなりません。

 

要するに措置入院の必要がなくなりしだいた退院をさせる必要があります。(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律29条の4)

 

③退院の請求(精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律38条の4)

 

本人・家族等は都道府県知事に退院させるように請求することができます。
精神医療審査会の審査により入院の必要がないと認められたときには,退院をさせなければなりません。

 

3.まとめ

 

入院の必要があると思われるときには,各都道府県の精神科救急情報センター にまずはご相談下さい。

 

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2015年

3月

30日

有料老人ホームは特別養護老人ホームとは違います(住む場所と介護サービス)高齢者用住宅・施設編

前回は自宅において提供を受けることができる介護サービスを取り上げました。
前回ブログ:「有料老人ホームは特別養護老人ホームとは違います(住む場所と介護サービス)自宅編

 

今回は今住んでいる自宅を出て,転居先となる介護施設,高齢者用住宅と介護サービスについてみようと思います。

 

2.転居先高齢者用住宅・介護施設での介護サービス

 

(1)高齢者向け住居の種類

 

高齢者向けの住居としては各種のものがあります。次のものが代表的な高齢者向け住宅です。
注意が必要なのは,ここに掲げた住居に介護が必要になったときに必ず入居できるとは限らないことです。また,従来住んいても介護が必要になったときには退去しなければならない契約のところもあります。

 

①軽費老人ホーム(A型,B型,C型)
②養護老人ホーム(地方公共団体の入所措置のための施設)
③特別養護老人ホーム,略称は特養
④有料老人ホーム(健康型,住宅型,介護型)
④サービス付き高齢者向け住宅,略称はサ高住
⑤認知症グループホーム
⑥その他の高齢者向け各種住居
*①~③までは公的施設

 

(2)介護が必要になったときに入居できる施設・住居

 

ア 介護保険施設

 

介護というと真っ先に浮かぶ施設です。

 

①特別養護老人ホーム(特養)

介護サービスがセットになった住居と言えます。
入所先のスタッフから日常生活上の介護を受けます。地域密着型の小規模のものもあります。

②介護老人保健施設(老健)
在宅復帰を目的とします。一定期間入所してリハビリや日常生活上の介護を受けます。入所期間は概ね3ヶ月を目途。

③介護療養型医療施設
病院が経営する療養のための施設。2018年3月末に廃止の予定。

 

イ 特定施設

 

介護サービスがセットになった住居です。
高齢者向けの住居で「特定施設」として認められたものは,特別養護老人ホーム(特養)に準じた介護保険の介護サービスが受けられます。

 

特定施設入居者生活介護の指定を受けた次の住居が特定施設となります。住み替え先のスタッフから生活上の介護を受けることができます。

 

①有料老人ホーム(介護型有料老人ホーム)
②軽費老人ホーム(軽費老人ホームC型 ケアハウス)
③養護老人ホーム
④サービス付き高齢者向け住宅
⑤認知症高齢者グループホーム

 

ウ 非特定施設

 

特定施設入居者生活介護の指定を受けていない場合には,セットの介護ではなく必要な個々の介護を外部の提供業者と契約することになります。

 

3.入居費用

 

(1)介護保険施設

 

特別養護老人ホームなどの介護保険施設の利用者負担は要介護度別にサービス費の1割です。居住費と食費は全額自己負担です。

 

(2)特定施設

 

特定施設入居者生活介護の事業者の指定を受けた者が運営する施設の利用者負担は,介護保険施設と同様に要介護度別にサービス費の1割です。居住費と食費は全額自己負担です。
入居時一時金,上乗せ介護費用,介護一時金などが必要になることもあります。そのため,介護保険施設に比べて高額になると言われています。

 

(3)非特定施設

特定施設入居者生活介護事業所の指定を受けていない者が運営する施設は,高齢者が生活しやすいような環境・設備がある賃貸住宅だと言うことです。


介護が必要手であれば,個々に外部の業者と契約を結ぶ必要があります。ただ,最近では施設内に介護ステーションなどが併設されて,入居者の便宜を図っているところもあります。


介護をする立場の人からみると,介護の手間や費用は自宅に居る時とさほど変わらないとも言えます。転居のための費用が自宅で介護をするより余分な出費になります。

 

4.まとめ

 

親の介護が必要になり,自宅での介護が無理になった時に施設への入所を希望します。しかし,比較的入所費用が少なくてすむ,特別養護老人ホームは現実的に入所は不能です。
そこで,次の選択肢としては,介護付有料老人ホーム,サービス付き高齢者向け住宅などの特定施設になります。

 

今回は,介護保険の認定,介護度などについては触れていません。介護関係のご相談は地元の地域包括センターにご相談下さい。介護度によっては利用できないサービスもあります。

 

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2015年

3月

30日

有料老人ホームは特別養護老人ホームとは違います(住む場所と介護サービス)自宅編

介護保険のサービスに関する記事,高齢者が介護サービスを受ける住居などの施設の記事を読んでみるのですが,わかりづらさをいつも感じてしまいます。


今回は,介護サービスを受ける場所という観点から介護サービス,介護保険を眺めてみようと思います。介護サービスを受ける場所とは,具体的には自宅,有料老人ホームなどの高齢者向け住宅といわれるもの,特養などの老人介護施設などについて考えてみます。

 

なお,この記事は,ぱる出版の田中元著『家で介護が必要になったとき』(2014年版)を,主として参考にさせていただいております。

 

1.自宅を住居とする場合の介護サービス

 

自宅で介護を行う場合に利用できるサービスです。
自宅を住居とする介護サービスは大きく3つに分けられます。

①来てもらってサービスを受ける
②「出かけていってサービスを受ける
③「自宅の改修・福祉用具貸与・購入のサービスを受ける

 

(1)訪問型サービス

 

自分がいま生活している家に来てもらって受けるサービスが各種用意されています。ヘルパーや看護師などを住んでいる家に外部から来てもらってサービスを受けます。

 

①訪問介護(ホームヘルパーによる生活上の介護)
②訪問看護(看護師が療養上の支援)
③訪問入浴介護(家での入浴介助)
④居宅療養管理指導(医師・看護師・薬剤師が自宅療養についての指導
⑤夜間対応型訪問介護(夜間,早朝の訪問介護)
⑥定期巡回・随時対応型訪問介護看護
*⑤⑥は地域密着型サービスから提供されます。

 

(2)通所型サービス

 

昼間の時間,自宅から出かけていって受けるサービスです。いわゆるデイサービスと呼ばれています。

 

①通所介護(通いで食事や入浴などの介護,機能訓練)
②通所リハビリ(通いでのリハビリ)
③通所看護(通いでの療養上の管理)
④認知症対応型通所介護(認知症の人向けの通所介護)
*④は地域密着型サービスから提供されます。

 

(3)短期入所型サービス

 

自宅から出かけて短期間の外泊をすることによって受けるサービスです。

 

①短期入所生活介護(生活介護)
②短期入所療養介護(療養)
③老人ホームなど(特定施設)における短期入所(生活介護)
④認知症グループホームにおける短期利用(生活介護)
*③の一部,④は地域密着型サービスから提供されます。

 

(4)介護環境整備サービス

 

①福祉用具貸与(レンタル)
②特定福祉用具購入費(レンタルになじまない用具)
③住宅改修費
*②③は現金での給付

 

(5)その他サービス

 

「訪問」,「通い」,「泊まり」の組み合わせによるサービス

①小規模多機能型居宅介護
(認知症の人を対象にした地域密着型サービスで,定額制)

 

長くなりますので今回はここまでとして,次回は自宅を出て施設等に転居する場面を見ていきたいと思います。

 

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2015年

3月

21日

外国に住んでいる日本人は成年後見制度を利用できるでしょうか。

Q:成年後見人が外国へ転勤になったために,成年後見を受けている本人を同行したい。ついては,成年後見を取り止めることができるかという問い合わせ受けました。
A:一度開始した成年後見は,本人の判断能力が回復するか,本人が死亡するまで続けなければならない旨説明をしました。担当の家庭裁判所と外国転居帯同について,よく打合せをすることをおすすめしました。

 

日本に住む外国人,外国に住む日本人の成年後見制度の利用について考えてみたいと思います。

 

1.日本に住む外国人

 

このことについては以前投稿しています。

 

(1)法定後見制度の利用(法の適用に関する通則法5条,35条)

日本に住む外国人は,法定後見開始の審判を日本の家庭裁判所で受けることができます。また,家庭裁判所に成年後見人を選んでつけてもらえます。
保佐,補助についても同様な取扱になります。

参照ブログ:「外国人は日本で法定後見を受けられるか。

 

(2)任意後見契約の利用(法の適用に関する通則法7条,8条)

日本において任意後見契約を結び,公正証書を作成することが可能です。

参考ブログ:「外国人は任意後見契約ができるか。

 

2.外国に住む日本人の成年後見制度(法の適用に関する通則法5条,35条)

 

(1)法定後見制度の利用(法の適用に関する通則法5条,35条)

外国に住む日本人は成年後見開始の審判を日本の家庭裁判所で受けることになります。保佐,補助についても同様です。
ただ,外国に住む日本人は居住国の法律にも従う必要があります。その国の国際私法の規定も関係してくることになり,少々厄介です。

 

(2)任意後見契約の利用

居住しているその国の法律が任意後見契約を認めているかどうかに寄ります。認めていなければ任意後見契約は利用できません。

 

3.まとめ

 

日本に居住する外国人は,任意後見契約を含めた成年後見制度を利用できます。
外国に居住する日本人は,成年後見制度の利用は可能ですが,任意後見契約については居住国の法律制度によります。

 

今後,外国人,外国への居住などの絡みをともなった成年後見が増加することが予想されます。

 

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3月

14日

父親の相続放棄すると祖父の相続もできなくなるか(相続放棄と代襲相続)後編

前回からの続きです。
父親の相続放棄すると祖父の相続もできなくなるか(相続放棄と代襲相続)前編

 

相続放棄・代襲相続図3.相続放棄と代襲相続との関係

 

(1)問題の所在

「祖父の代襲相続の権利は父の相続の財産の一部であるので,父の相続放棄を行った後には,祖父の代襲相続権はないのではないか」という疑念が出てきます。つまり,父の相続放棄をすることには父を媒介とした代襲相続権の放棄も含まれているという解釈が成り立つかという意味と同じになります。

 

(2)相続放棄が及ぶ範囲

 

①代襲相続人

代襲相続の生じる原因の規定において代襲原因としてあげられているのは次の3つです。その3つの場合には,その者の子(長男)が代襲して相続人となるとしています。なお,相続放棄は代襲原因に含まれていません。

・被相続人の死亡以前の被代襲相続人の死亡(祖父の死亡以前の父の死)
・相続欠格
・相続廃除

 

②代襲相続人になれない人

被相続人(祖父)の直系卑属でない人は代襲相続人にはなれないとしています。
また,条文にはありませんが,代襲相続が被相続人(祖父)からの直接の相続という観点から,代襲相続人(長男)が被相続人(祖父)についての廃除者,欠格者である場合も代襲相続はできません。また,代襲者(長男)が被代襲者(父)の廃除者,欠格者である場合にも代襲相続は否定されます。

 

③代襲相続権の性質

代襲相続権は,代襲相続人が被相続人を直接に相続する権利である。」(新版注釈民法(26)237頁,242頁)と解釈されています。ただし,その相続割合は被代襲者(父)の相続分に限定されます(民法901条)。

親の相続権を親に替わって代位相続するのではないのです。代位相続権であると考えると,被相続人の死亡以前に被代襲者が死亡している場合には説明がつきますが,被代襲者の欠格,廃除の場合には代襲相続が説明できなくなります。

 

④結論

代襲相続は被相続人(祖父)を直接相続する権利ですから,被代襲者(父)に対する相続の放棄がなされていたとしても,その相続放棄によって代襲相続が否定されることはないということになります。

注:被相続人に対する固有の相続権を認めないと考える人もいます。近江幸治「民法講義 親族法・相続法」

 

4.まとめ

父の相続にあたり,その相続を放棄した人であっても,祖父の相続にあたっては代襲相続者として相続が可能と考えられます。

 

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2015年

3月

14日

父親の相続放棄すると祖父の相続もできなくなるか(相続放棄と代襲相続)前編

父親が借金紛れであったので,父親の相続を放棄する。そうするとまだ健在のお祖父さんの相続も放棄したことになるのか。」ということが話題になりました。今回はそのことを考えてみたいと思います。

 

1.相続放棄とは

 

(1)相続放棄の方式(民法938条)

相続をするかしないかは相続人の意思次第です。相続したないと思えば,相続放棄の手続きをとります。

 

①家庭裁判所への申述
相続の放棄は,家庭裁判所に申し出てその許可を得る必要があります。相続人は各自自分の判断で単独で申出が可能です。

②熟慮期間
相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に申し出る必要があります。

③生前の相続放棄
相続の放棄は,本人が生きているときにはその財産の放棄をすることはできません

 

(2)相続放棄の効力(民法939条)

 

相続放棄の申立てが家庭裁判所の申述受理審判を受けることによって,相続放棄の効力が発生します。
相続を放棄したものは,その相続において最初から相続人でなかったことになります

 

①相続人への相続放棄の影響

例えば,配偶者が相続放棄をすれば,相続人としての配偶者がいないとして相続人を考えていきます。また,例えば3人の子どものうち2名が放棄したときには,相続人の子は1名のみと考えます。さらに,子ども3人全員が相続放棄を行えば,次順位の相続人である父母が相続人に繰り上がります。

②相続割合への相続放棄の影響

例えば,配偶者が相続を放棄すれば,子どもたちの相続割合は子ども3人とすれば,各自3分の一ずつになります。子どものうち2名が相続放棄をすれば,子どもの相続分は残された子どもが全部相続することになります。

 

相続放棄・代襲相続図2.代襲相続(民法887条2項,889条2項)

これからの説明において誰のことをいっているのかわからなくなりましたら,右の関係図で確認をしながらお読みください。

 

(1)代襲相続人

 

①代襲相続人は,相続人の子であるとともに被相続人の直系卑属です。(図では長男のことです)
②相続人の配偶者は代襲相続人にはなれません。(図では母のことです)

 

(2)代襲原因

 

以下の3つの原因によって代襲相続が発生します。

①相続開始以前の被代襲者の死亡

図でいいますと,祖父の死亡以前に父が死亡していることが必要です。そのときに,代襲相続が発生します。
祖父と父が同時死亡でも該当します。同乗していた飛行機事故で二人とも死亡したときなどが同時死亡の例です。

②被代襲者が相続欠格となったとき

相続欠格制度とは,例えば,「相続人が被相続人を殺害した場合には相続人になれない」といった類のものです。民法891条に5つの相続欠格事由が掲げられています。
図でいいますと,父が相続欠格者である場合です。

③被代襲者が廃除されたとき

図でいいますと父が祖父によって廃除されたときに代襲相続が発生します。廃除とは遺留分を有する推定相続人から相続人である資格を奪う制度です。被相続人に対する侮辱などの著しい非行があったときに認められます。

 

すこし長くなってきましたので,続きは次回とさせて頂きます。

 

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2015年

2月

18日

成年後見人の報酬(成年後見人が受けた報酬の収入計上時期など)

確定申告の時期です。今回は成年後見人の報酬についてみていこうと思います。

 

1 成年後見人の報酬の計上時期


①成年後見人の報酬は,人的役務の提供にあたります。
②通達によりますと「人的役務の提供による収入すべき時期は、役務提供を完了した日が原則とされています。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日とされています(所基通36-14(2)、36-8(5))。」
③通常,成年後見の役務提供を完了した日とは,成年被後見人が不要となる時つまり成年後見人の死亡日などになります。
④しかし,家庭裁判所の審判による成年後見人への報酬は,通達のただし書きににある通達の「期間の経過等に対する報酬」にあたります。
⑤つまり,成年後見の報酬の収入計上時期は,家庭裁判所の報酬付与審判の通知がされた日となります。
(名古屋国税局文書回答 成年後見人が受領した報酬に係る収入金額の収入すべき時期)
https://www.nta.go.jp/nagoya/shiraberu/bunshokaito/shotoku/150122/01.htm
家事事件手続法74条(審判の告知及び効力の発生等)

 

2 成年後見人の報酬

 

(1)家庭裁判所の報酬付与審判

 

①報酬付与審判の申立人

 報酬付与の申立てができるのは,成年後見人です。
 親族後見人も報酬付与審判の申立てができます。また,扶養義務のある親族後見人も報酬付与審判の申立て報酬を受けることも可能です。

 

②報酬額

 後見人の報酬については民法の862条に規定があります。家庭裁判所は,後見人及び被後見人の資力やその他の事情を事情に応じて,被後見人の財産から,相当な報酬を後見人に与えることができると規定されています。

 

 なお,専門職の標準的な報酬額の目安が,東京家庭裁判所から「成年後見人等の報酬額のめやす」として公表されています。

基本報酬 月額2万円
被後見人の財産が1千万円超5千万円以下の場合は月額3万円から4万円
被後見人の財産が5千万円超の場合は月額5万円から6万円
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/130131seinenkoukennintounohoshugakunomeyasu.pdf

 

 ③不服申立て

 この報酬の支払いは,後見人の権利(報酬請求権)ではなく,家庭裁判所の裁量によっています。
 支払いを認める・認めない,認めるとしてその金額がいくらであるかという家庭裁判所の審判に対して,不服申し立てをすることはできません。
 家事事件手続法39条(審判事項),別表第1の13項,123条(即時抗告)

 

④その他

 保佐人・補助人・成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人についても成年後見人にの報酬支払いに準じた取扱になります。

 

3 まとめ

 

①成年後見人の報酬は権利ではありませんが,家庭裁判所に報酬付与審判の申立てを行うことによって,成年被後見人本人の財産から報酬を受けることができる可能性があります。
②その報酬の計上時期は,家庭裁判所の審判の通知を受けた時になります。

 

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