事理弁識能力とはどういう意味なのだろうか。

 成年後見について書かれたものを見るとよく出てくるのが「事理弁識能力」がどうだこうだという表現である。

 被成年後見とは「事理を弁識する能力を欠く状況にある者」をいう。

 被保佐人とは「事理を弁識する能力が著しく不十分である者」をいう。

 被補助人とは「事理を弁識する能力が不十分である者」をいう。

という具合である。

 「事理弁識能力」を「理解力」と言い換えて使うことが多い。私もそうしている。しかし,具体的にどういう状態を表現しているのかうまく伝わっているのか心配である。

 家庭裁判所が医師に診断書記入要領として配布している手引書によると次のようになっている。

 

 後見の概要「自己の財産を管理・処分できない程度に判断能力が欠けている者,すなわち,日常生活に必要な買い物も自分ではできず誰かに代わってやってもらう必要がある程度の判断能力の者のことです。」

 保佐の概要「自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要な程度の者,すなわち,日常的に必要な買い物程度は単独でで来るが,不動産,自動車の売買や自宅の増改築,金銭の貸し借り等,重要な財産行為は自分ではできない程度の判断能力の者のことです。」

 補助の概要「自己の財産を管理・処分するには援助が必要な場合があるという程度の者,すなわち,重要な財産行為は自分でできるかもしれないが,できるかどうか危ぐがあるので,本人の利益のためには誰かに代わってやってもらった方がよい程度の判断能力の者のことです。」

 

 どうだろうか少しは分かりやすくなっているだろうか。いずれにしろ医師の診断書,場合によっては医師の鑑定書を参考にしながら家庭裁判所が,本人がどの類型にあたるか判断をすることになる。

 成年後見の申立をおこなうにあたってはたぶんこれにあたるだろうという類型(成年後見,保佐,補助)を決めてすればよく,裁判所の判断に従って最終的な類型へ変更が可能である。その類型にしたがって,成年後見人,保佐人,補助人が裁判所によって指名され,制限行為能力者(被後見人,被保佐人,被補助人)の支援に当たることになる。

 

成年後見・任意後見のお問い合わせは 055-251-3962 090-2164-7028

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