成年後見人の不祥事が頻発,その原因と対策

NHK NEWSWebによって

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120226/t10013289481000.html

 成年後見人の財産使い込み額が314件,37億円
 親族による成年後見人による件数          306件(97%)
 親族でない第三者による成年後見人による件数  8件(3%)

という状況が伝えられています。

 

 専門職の事件としては,沖縄県の司法書士会の元会長が本来後見しなければいけない相手の預金口座から着服をした事件が最近報道されました。

://www.jhttpiji.com/jc/zc?k=201202%2F2012022900954&g=soc

 もちろん行政書士かかかわった事件もあります。

 

 本来保護されなければならない被後見人を本来守るべき立場の後見人が食い物にしているという嘆かわしい状況がうかがえます。これはほんの一部の不心得の者が起こす事件であり,ほとんどの後見人は真剣に後見人のためを思い,活動に従事しています。

 とはいえ,不祥事はゆゆしき問題であり,家庭裁判所も対策に乗り出しました。

 その一つが「後見制度支援信託」です。保護を必要とする者(被後見人)の財産を信託銀行に預けて,面倒を見る者(後見人)は月々日常的に必要となる費用を信託銀行から定期的に受取,臨時の出費については家庭裁判所の許可をそのつどえて出金するという制度です。

 一つの防止策ではありますが,まとまった資産がある方でないと利用対象になりにくく,信託銀行に支払う手数料も考慮しなければなりません。

 

 家族が法定後見人になる場合。親と子というような人間関係のなかで,親の金は俺の金,俺の金は親の金という感覚が抜けきれないのではないのでしょうか。しかし,成年後見制度は親のお金(資産)は子のお金(資産)とは厳格に区別することを求めています。

 家族後見人の不祥事はこうした感覚のギャップが遠因となっている気がします。家族による法定後見人は無報酬というケースが多く,このことも資産の区別を難しくしています。

 

 専門家が法定後見人になる場合。家庭裁判所の監督以外の制限はなく,後見人の事由に法定後見人の資産を管理・処分ができます。裁判所も多数の法定後見人の案件を抱えており,監督が手薄になってしまっています。ここに,間違いを起こさせる誘惑が潜んでいます。

 

 不祥事に対する対策は後見人ここの個性に応じて対応する必要があり,一律に決められるものではありません。今後,こうした不祥事を教訓としてより安全・安心な法定後見制度,任意後見制度を築いていかなければなりません。

 私が所属する「社団法人コスモス成年後見サポートセンター」ではセンターが所属員を教育・監督するという態勢を整えています。


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