認知症の親を持つ子供が行う支援の実際

 前回,80歳以上では7人に1人(14.6%),85歳以上では4人に1人(25%)は認知症になり,その結果,多くのご家庭が認知症の患者を抱える可能性が高まるというお話をさせていただきました。


 今回は,認知症の親が実際にいらっしゃる場合についてお話をしてみようと思います。そのときの子供が取る対応は以下のような流れになるのが一般的です。


(1)子供として親の支援を行う。

 
 このようなケースがほとんどではないでしょうか。親子だからそうするのが当たり前だというのが世間の常識でもあります。
 認知症の親に変わって親名義の預金の引き出し,年金の受取などを行います。介護保険の申請,介護保険の利用手続なども子供がすることになります。いずれの手続も,親の名前で行います。
 親の財産管理,療養看護,実際の親の介護。こうしたものを含めて支援するのが親子だから当たり前だと世間も子供本人も考えます。親に判断能力が残っていれば親自身も子供が面倒を見ることに異存は普通はないでしょう。


(2)必要に迫られて家庭裁判所に法定後見申立てを行う。

 
 成年後見人でなくてはどうしてもできない手続が発生するまでは,(1)の状態で不都合を感じることはないでしょう。
 成年後見人でなければできない手続としては以下のようなものがあります。
  ・定期預金の解約や満期金の受取
  ・生命保険の解約や満期保険金の受取
  ・親の不動産の売却
 親の介護支援費用支払いのために上記のような手続が必要になってくることがあります。


(3)法定後見人として親の支援を行う。

 
 成年後見人となって,晴れて本人を代理して諸手続が正式にできることになります。(1)で行ってきた諸手続は正式なものではなく,法律的には問題を含んだ行為なのです。
 たとえば,親名義の預金を引き出すことについて言いますと,人のお金を勝手に引き出したと言われても仕方がないのです。
 親のお金だからかまわないではないかと思われるかも知れませんが,逆にあなたのお金を親が勝手に引き出して子供のお金だから問題がないと言い張ることができますか。
 また,親のために使うのだからいいだろうというかも知れません。それを,はっきり示すことができるでしょうか。実際には子供の家計と一緒になっていて,区分して管理されることはまれです。


 法定後見人になって親の面倒を見ると言うことは親の財産を自分の財産と区別して管理することを意味します。(1)のやり方からみるとかなり面倒なことになります。お忙しい現役世代の子には相当な負担となるでしょう。


 具体的には,親の資産管理の帳簿をつけるとともに,家庭裁判所に定期的に報告することになります。

 

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