任意後見監督人の役割

 任意後見契約を結び,本人の判断能力が不十分になった時に家庭裁判所に申し出て任意後見監督人を選任してもらうという話は以前にしたかと思います。


 任意後見監督人はなぜ必要なのでしょうか。

 


 任意後見契約の目的は本人の判断能力が不十分になった時に本人を支援することにあります。
 通常の委任契約・準委任契約においては,委任を受けた者の監督は委任をしたものが行う仕組みになっています。頼んだ人が頼まれた人の仕事ぶりを評価するわけです。
 任意後見契約においては,判断能力が十分でないために支援を必要とする人に監督・評価する役目を割り当てることは不適当です。


 そこで任意後見監督人を任命して任意後見人の仕事を監督させようと考えたわけです。任意後見人から見ると場合によっては任意後見監督人は目の上のたんこぶのような存在にもなります。
 任意後見監督人は家庭裁判所が本人の諸状況を勘案して選任することになっています。本人の希望も参考にはしますが,それに拘束されることはありません。


 このように任意後見監督人の制度は正常に運営されれば非常にすぐれたものですが,任意後見契約の移行型と呼ばれる契約において問題が指摘されています。
 移行型は本人の判断能力が十分な間は委任契約・準委任契約です。判断能力が不十分になった時に初めて任意後見契約に移行します。しかし,判断能力が不十分になった時に自動的に移行するわけではなく,家庭裁判所に請求して初めて任意後見監督人が選任されることによって任意後見契約に移行する仕組みになっています。
 任意後見監督人の監督・評価による関与を嫌い家庭裁判所へその選任の請求をしないという委任契約受託者が現れます。監督者がいない状態で判断能力が不十分な者の財産が管理されているという好ましくない状態が続くことになります。


 何らかの歯止めの必要性が指摘されているところです。

 

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