介護保険においては「居宅」は「自宅」ではない

「居宅」と「自宅」
 介護保険では「居宅」という言葉が通常と違う使い方がされていて,読む人を混乱させるひとつの原因となっていると思います。
 通常の言葉の使用では「居宅」すなわち「自宅」を意味するのですが,介護保険では「居宅」と「自宅」は別のことをいっていると考えた方が分かり易いでしょう。

 

介護保険のサービスを概観してみましょう

 

居宅サービス
 介護保険の居宅サービスと聞いて皆さんは何を思い浮かべますか。自宅に来てくれるホームヘルパーのサービス。あるいは本人が施設に出かけていくデイサービスなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
 介護保険法に言う居宅サービスは実はもっと広い範囲を言います。列挙すると以下のとおりになります。

 

(1)自宅訪問系サービス 
訪問介護,訪問入浴介護,訪問看護,訪問リハビリテーション,居宅療養管理指導
(2)通所系サービス
通所介護,通所リハビリテーション
短期入所生活介護,短期入所療養介護
(3)福祉用具系サービス
福祉用具貸与,特定福祉用具販売
(4)居住系サービス
特定施設入居者生活介護
(少し類型が違いますが,地域密着型のグループホームもここに入れてもよいと思います。)

 

 介護保険でいう居宅サービスのなかで紛らわしいのが(4)の特定施設入居者生活介護です。
 特定施設とは有料老人ホーム,軽費老人ホーム,ケアハウス,養護老人ホームなどを言い,そのうち介護保険の特定施設の指定を受けたところに入居した者が特定施設入居者生活介護のサービスを受けられます。


 (1),(2),(3)のサービスはいずれも自宅での生活を中心にして利用できるサービスです。
 (4)については現在の自宅から特定施設に移り住むことによって利用できるサービスである点が特異です。


 移り住んだ先である特定施設を新たな自宅だととらえれば居宅サービスという語でくくることも可能だと言うこともできますが,少し違和感があります。
 普通の人の認識では「介護を受けるために自宅を出て介護が提供される施設に入所した」ということになるのではないでしょうか。

 

介護施設サービス
 介護保険でいう介護施設には特定施設は含まないことに注意が必要です。介護施設とされているのは特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設),老健(介護老人保健施設),介護療養型医療施設の三施設のみです。入所者には施設サービスが提供されます。

  

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