成年後見人を自分の都合で勝手に辞めることはできるか

 認知症の母親の定期預金を解約するために母親の成年後見人になることがあります。この場合,無事定期預金が解約できたあかつきには成年後見人を辞めることができるでしょうか。
 残念ながら辞めることはできません。いったん引き受けた成年後見人は母親が亡くなるまで原則として辞めることはできません。


 成年後見の申し立てた理由がこのように一回限りの必要によってなされることがあります。その必要がなくなったときには成年後見人を辞めたいとおもうのも無理はありません。
 というのも成年後見人の職務がかなりの重荷になるからです。


 成年後見人を引き受けますと家庭裁判所の監督に服さなければなりません。本人の財産管理をおこない,その経過を家庭裁判所に報告しなければならなくなります。
 具体的に言えば本人の家計簿(出納簿)をつけ,レシートや領収書を保管しなければなりません。最低限でこれはする必要があります。自分の家計簿さえつけるのが苦痛なのにそのうえに他の人の分までもつけ,さらにそれを家庭裁判所に報告しなければいけないというのでは辞めたくもなります。


 しかし,成年後見人の都合で勝手に辞めることはできません。成年後見人は本人を支援するための制度で継続的なものです。辞めるのにはそれなりの正当な理由が必要なのです。正当な理由があるかないかの判断は家庭裁判所がおこないます。
 正当な理由に該当するものとして,後見人の病気などで後見人の仕事を継続することができなくなった場合などが考えられます。


 少し細かくなりますが,成年後見人の職務の期限は次のようになります。


 まず,本人が判断能力を回復したため成年後見人を必要としなくなった場合です。また,本人が死亡すればその時点で職務は終了します。
 その他の特別な終了理由もあります。まず,成年後見人が不行跡などのために家庭裁判所から解任された場合。成年後見人が破産した場合。本人にたいして後見人またはその直系血族,配偶者が訴訟を起こした場合。後見人が行方不明になった場合です。これらを後見人の欠格事由と呼んでいます。

 

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