扶養義務と介護義務

扶養義務
 扶養義務については芸能人が高収入にもかかわらず親の扶養義務を果たさずに,親が生活保護費の支給を受けていたと話題になりました。
 また,公務員も充分な収入があるにもかかわらず,その親は生活保護を受けていると報道されて生活保護の問題は拡大しました。
 扶養義務には二つあり,一つは生活保持義務と呼ばれ一つの米粒でさえお互いに分かち合って食べなければならないと言われる扶養の在り方です。親の未成熟子の扶養,夫婦の相互扶養がこれに当たります。
 もうひとつは,生活扶助義務と呼ばれるものです。自分の生活をした上で余裕があればその範囲で援助するという扶養の在り方です。親と成熟した子間の扶養,成熟した子供同士の扶養がこれに当たります。
 この区分にしたがえば親の扶養義務は生活扶助義務ということになります。


扶養義務と介護の関係
 気になりましたのが子の扶養義務と介護の関係です。ここで介護というのは事実行為としての介護です。身体的・精神的機能の低下にともなう生活上の困難を日常的に支援する,日々の生活の面倒を見ることをいいます。
 扶養義務につきましては経済的支援で事足ります。金銭の支払いで解決します。しかし,介護が扶養義務に含まれるということになるとその負担は金銭的な負担をはるかに超えるものとなってしまいます。
 法律だけの観点でいえば,どうも,扶養義務には介護の義務は含まれておらず,扶養義務があれば金銭の支払いのみでかまわないということになるようです。ましてや嫁の立場においては扶養義務・介護義務は原則としてありません


多様な家族観
 この結論には異論が出てくることは明白です。「自分を育ててくれた親にたいする恩をなんと考える」。「家に嫁いできた嫁は義理の親に尽くすのは当たり前である」。などなど。それに対する反論もまたいろいろあるでしょう。「親は子を育てることに無償の喜びを感じているはずであるから,親への報恩などというのはおかしい」。「嫁は夫と結婚したのであり,家に嫁いだのではない」。などなど。」
 法律が考える家族観と日常を支配する家族観とにズレがあることがわかります。家族観のズレのために問題が発生します。その一例が,扶養義務での大騒動ではないでしょうか。

 

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