預金が遺産の大部分の場合の遺産分割

 遺産のほとんどが預金だけという人も多いのではないでしょうか。その場合に遺産の分割はどうしたらよいでしょうか。遺産分割協議書が必要になるのでしょうか


 遺言がなければこの預金は当然に法定相続割合にしたがって相続時に分割されます。相続人がわざわざ協議して相続割合を決めるまでもないのです。まあ,そんなものだろうと納得する人も多いでしょう。


 この遺産の分け方に不満を感じる相続人が出てきます。
(1)亡くなった本人(被相続人)の財産の維持・増加に特別に貢献したという自負を持つ相続人です。特別の貢献を寄与分と呼んでいますが,預金は自動的に相続時に分割されてしまいますので評価される機会がないことになってしまいます。
(2)亡くなった本人(被相続人)から他の相続人は生前独立資金などを援助してもらっているのに自分だけは援助を受けていない相続人は非常に不公平感をもっているはずです。生前の独立式の援助などを特別受益と呼び遺産分割の際に考慮するようになっているのですが,預金だけの遺産のために自動的に分割されてしまうと特別受益を考慮してもらう機会がありません。


 遺産分割調停,遺産分割審判を家庭裁判所に請求すればよいのではないかとお考えになるかもしれません。しかし,預金は相続開始時(被相続人の死亡時)に自動的に分割されてしまいますので預金だけしか遺産がない場合は分割する遺産がありません。家庭裁判所が分割の判断をする財産そのものがないのです。
 また,預金以外の財産がわずかしかない場合にはこのわずかの財産の分割協議では寄与分のある者また特別利益のない者を満足させることはできません。ただし,他の相続人が遺産分割の対象に預金も含めるという合意があれば預金も遺産分割の対象にすることができます。


 このように遺産となるもののほとんどが預金である場合において相続について考えるときには(1)の寄与分(2)の特別受益についての配慮が必要となってきます。

 

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