後見を受ける人の財産は後見人の財産ではない

 後見人の犯罪について「親族相盗」の適用があるかどうかについて最高裁判所の判断が出ました。

 

 交通事故で意思疏通ができなくなった成人の養子の預金1000万円弱を養父が使い込んだ。養父はこの養子の成年後見人を務めていた。養父は業務上横領罪に問われた。
 親族間における犯罪に関する特例があり,窃盗,横領などについて刑を免除される。この横領事件で被害者と加害者が親子関係であることからこの特例が適用されるかが争われた。

 2012年10月9日最高裁判所の決定があった。「家庭裁判所から選任された成年後見人の事務は公的性格を有するものである」として親族間における犯罪に関する特例の適用を否定した。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82627&hanreiKbn=02
 以前にも,未成年者の親が後見人のケースでは同様な判断が2008年に最高裁でなされているが,今回は貢献を受ける者が未成年者であろうがなかろうが後見人には親族間における犯罪に関する特例は適用されないこととなった。
 以上が事件・裁判の顛末です。

 

 親族である後見人が支援するべき本人の財産を横領するケースが増えています。つい先日も山梨県の娘夫婦が娘の父親の後見人である立場を利用して9000万円を着服した事件が報道されました。
 高齢化が進んでいる現在,親族が後見人を務めることも多くなってきています。親だからとか子だからとかいって本人の財産を後見人の財産と勘違いしてしまうことは許されません。どうしてもルーズになってしまう傾向がありますが,後見人の財産と本人の財産は峻別して管理しなければいけません。親族だからだという甘えは許されないのです
 今回の裁判所の判断は親族後見人への強い警鐘ではないでしょうか。

 

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