精神科病院への強制入院「医療保護入院」が改正され来年4月施行

 医療保護入院が成年後見人,保佐人,配偶者,親権者,扶養義務者のいずれかの同意のみで可能になります。同時に「保護者」制度も廃止されます。この改正には精神障害者の権利保護の観点からさまざまな批判がでています。

 

 以下,医療保護入院制度,保護者制度の現在の内容,改正の内容を見ていきます。

 

 精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づく精神科病院への入院形態には任意入院,措置入院,医療保護入院の三種類があります。

 

(1)任意入院
 精神障害者本人が入院することに同意をしている入院のこと。


(2)措置入院
 自分を傷つけたり他人を傷つけたりする恐れがある精神障害者を知事等が医療や保護のために入院をさせること。本人の同意は必要ではありません。


(3)医療保護入院
 診察の結果,精神障害者としての医療や保護が必要であるが,本人に病気の自覚がないために入院の同意が得られないなどの状況の場合に,保護者の同意の下に入院させること。措置入院と同様に本人の同意を必要としません。

 

 現在,精神保健福祉法には「保護者」の定めがある。保護者は後見人または保佐人,配偶者,親権者及び扶養義務者です。保護者になる順番は後見人または保佐人がいればその者,いなければ配偶者,配偶者もいなければ親権者,それもいなければ家庭裁判所が選任した扶養義務者となっています。

 

 保護者には次のことが義務づけられています。精神障害者に治療を受けさせること,財産上の利益を保護すること,診断が正しく行えるように医師に協力するということ。

 

 来年(平成26年)4月からは次のように改正されます。同意をする優先順位はなくなり,保護者に課せられていた義務もなくなります。

 

(1)医療保護入院に同意できる者の範囲には変更がありませんが,同意できる者の優先順位はなくなりますので該当する者のうち誰が同意してもかまいません。たとえば,配偶者は反対しても本人の兄が同意すれば医療入院は行われることになります。現在では,配偶者が医療入院に反対すればすることはできない仕組みになっています。ひとりの親族の同意で医療保護入院が可能になります。


(2)保護者の義務とされていたものもなくなります。たんに,医療保護入院の同意をすることができる親族等の地位の者という位置づけです。

 

       成年後見・任意後見はこちらの業務内容  

            055-251-3962    090-2164-7028

                                         困り事や相続・遺言のご相談,許認可のお問い合わせは

                                                                                   ⇒ 神宮司行政書士事務所

 

 

コメント: 0