非嫡出子(婚外子)と嫡出子の法定相続分は平等,では,遺留分は。

 さきごろ,「非嫡出子の相続分が嫡出子の半分だと決めている現在の民法の規定は,憲法違反だ」と最高裁判所が判断しました。

 

 それでは,相続人が望めば必ず遺産の分け前にあずかれる遺留分の受取割合に,非嫡出子と嫡出子の差はあるのでしょうか。民法には,「遺留分は法定相続の相続分に準ずる」と規定されています。

 

 つまり,最高裁判所の判決が出る前には,次のように遺産が分配されていました。相続分においても遺留分においても,結婚をしていない男女の間に生まれた子は,結婚している男女の間に生まれた子の半分になっていました。

 

 違憲判決が出たことによって遺留分の割合も非嫡出子・嫡出子ともに同額となりました。遺産を残す本人の意に沿わないとしても,遺留分以下にすることはできません。遺留分というのは,家庭の事情にかかわらず,遺産に対して最低限主張できる権利です。

 

 今回の「非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにしなさい」という最高裁判所の判決は遺留分に関する影響のほうが大きいのではないかと思います。

 

 この判決により,非嫡出子への相続財産の最低限の分配額である遺留分が,自動的に嫡出子と同じになりました。判決前までは,非嫡出子に対して亡くなった本人である親が気にかけ,配慮するのであれば,遺言によるしかありませんでした。非嫡出子の相続分を嫡出子と同等になるような遺言を残すわけです。しかし,家庭の事情で遺言を残すことがはばかられる場合が多いのではないかと推測されます。その場合でも,非嫡出子の相続分を嫡出子と同額にすることとなり,親が非嫡出子の分配額に配慮して遺言をしたと同じ結果になります。

 

 具体例で見てみましょう。たとえば夫の遺産総額が3000万円,妻,夫婦の子(嫡出子)2名,結婚することなく終わった女性との間に生まれ,認知した子(非嫡出子)1名としましょう。

 

 法定相続分について。判決以前ですと妻が1500万円,嫡出子が各々600万円,非嫡出子が300万円となります。判決後は,妻は同じく1500万円,嫡出子は各々500万円と減額になり,非嫡出子は500万円に増額されます。

 

 遺留分について。判決以前ですと妻が750万円,嫡出子が各々300万円,非嫡出子が150万円となります。判決後は,妻は同じく750万円,嫡出子は各々250万円に減額,非嫡出子は250万円に増額となります。

 

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