できちゃった婚(大沢樹生さんと女優の喜多嶋舞さんの場合)

 大沢樹生さん(44)と女優の喜多嶋舞さん(41)の間の子供として育てられた子の本当の父親は,大沢樹生さんではないことがDNA検査の結果わかりました。そのことを大沢樹生さん本人が認めたということで話題になっています。

 

 「できちゃった婚」とは,結婚をする前に妊娠をした女性が出産前にその相手の男性と結婚することをいいます。私の周りを見てもかなりの割合が「できちゃった婚」のようです。

 

 大沢樹生さんと女優の喜多嶋舞さんが結婚した当時妊娠三ヶ月であったようですので,できちゃった婚だということになります。「できちゃった婚」で生まれてくる子の父親が誰なのかをめぐる民法の規定がどうなっているか見ていきたいと思います。

 

1.結婚した夫婦の間に生まれた子が夫の子であるかどうかの3つの区分

 「できちゃった婚」で生まれた子も結婚後に妊娠して生まれた子も法律上なんの区別もないのでしょうか。民法では,結婚後に生まれた子供が父親の子であるかどうかを三つに区分して考えています。

 

(1)嫡出の推定を受ける子
 次のどれかに当てはまる子供のことをいいます。
 ア 婚姻届を提出後妊娠した子
 ロ 婚姻届の提出後,200日を過ぎたのちに生まれた子
 ハ 離婚届を提出後,300日以内に生まれた子

 

(2)嫡出の推定を受けない子
 次のどれかに当てはまる子供のことをいいます。
 ア 婚姻届を提出する前にすでに妊娠していて結婚後出産した子
 イ 婚姻届の提出後,200日以内に生まれた子

 

(3)嫡出の推定の及ばない子
 物理的,生理的に夫婦の子どもを妊娠することが不可能な状況下で出産した子
たとえば,夫が監獄に入っている場合,夫が不妊手術を受けている場合,異人種の子を出産した場合などが考えられます。

 

2.生まれてきた子が夫の子でないと主張する方法

 

(1)上記の「嫡出の推定を受ける子」が自分の子でないと主張できるのは,夫がこの出生を知ったときから1年以内だけです。この主張を「嫡出否認の訴え」と呼びます。1年を過ぎてしまえば事実がどうであろうがその子は夫の子であることが確定してしまいます。

 

(2)上記の「嫡出の推定を受けない」,「嫡出の推定の及ばない」子が夫の子ではないという主張「親子関係不存在確認の訴え」といいます。この主張は「嫡出否認の訴え」と違い,夫以外の利害関係がある人でもできますし,また,いつまでといった制限もありません。

 

3.大沢樹生さんと女優の喜多嶋舞さんの場合は
 私が調べた範囲では結婚は1996年6月,出産は1997年1月となっていました。

 

(1)婚姻届を提出してから子供が生まれるまでの期間
 結婚式当日に婚姻届がなされたとして計算してみました。
 ア 結婚式が6月1日,出産日が1月31日のとき
 この場合には244日となります。最大期間の見積もりになります。
 イ 結婚式が6月30日,出産日が1月1日のとき
 この場合には185日となります。最小期間の見積りになります。

 

(2)大沢樹生さんと女優の喜多嶋舞さんの場合はどの区分か
 上記アの婚姻届が6月1日の例であれば「嫡出の推定を受ける子」ということになります。婚姻届を出してから200日が過ぎてから生まれた子供ですから。

 

 上記イの婚姻届が6月30日例であれば「嫡出の推定を受けない子」ということになります。婚姻届を出してから200日以内に生まれた子供ですから。

 

4 まとめ
 大沢樹生さんは「自分はこの子の父親ではない」といえるものなのでしょうか。

 

(1)6月1日が婚姻届の日の例だとすると「父ではない」とはいえない
 「嫡出の推定を受ける子」は生まれてから1年たてば子としての地位は確定します。「嫡出否認の訴え」は大沢樹生さんが子供が生まれたのを知ってから1年をを経過していますので「自分は本当の父親ではない」と言い出すことはできません。

 

(2)6月30日が婚姻届日の例であれば「父ではない」といえる
 「嫡出の推定を受けない子」ですので,大沢樹生さん本人だけでなく,そうしたことを言い出す利益のある人であればできます。「親子関係不存在確認の訴え」の主張です。「父と子の」関係がないといつでも周りから言い出されることとなり,子としての地位がいつまでも不安定なままになってしまいます。

 

(3)子のためを思えば「できちゃった婚」は避けることができれば避けたいですね。万一に子供ができてしまったということもあるでしょう。結婚をして生むつもりがあればすぐ婚姻届を提出するのが次善策です。初産は出産予定日が遅れると聞きます。うまくすれば婚姻届後200日を過ぎて出産となり,無事「嫡出の推定を受ける子」の出産となるかもしれません。

 

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