舛添要一氏都知事選立候補で「扶養義務」問題が再燃するか。

 舛添要一氏が都知事選立候補を表明しました。そこで囁かれているのが「4番目の姉の扶養問題」です。

 

 週刊文春2007年10月4日号(42-45p)が,次のようなことがあったと伝えています。

「・4人の姉のうち4番目の姉が生活保護を長年受けていた
・平成四年(1992年)、北九州市の担当職員が「可能な範囲で1万でも2万でもいいから仕送りしてくれ」と頼みに舛添氏の家を訪ねたが追い返された(元市職員談)。
・当時の舛添氏はタレント学者としてテレビで稼いでおり、億単位で不動産を買い漁っていた。
・北九州市は生活保護率が全国一だったこともあり、当時は生活保護の適正化に一生懸命だった。」

 

 生活保護法も去年(2013年11月)に改正(未施行)されています。いい機会なのでもう一度,生活保護法と民法の扶養義務者との関係を見ておきたいと思います。

 

1.民法の扶養義務
 民法で扶養の義務があるとされているのは夫婦,親子,兄弟姉妹です。特別の事情があるときには甥・姪などの三親等内の親族となっています。

 

 扶養義務には生活保持義務と生活扶助義務の2種類があります。


(1)夫婦間の扶養義務又親の未成年の子に対する扶養義務は生活保持義務と呼ばれて,扶養をするのが当たり前だと考えられています。いわば,重い義務です。
(2)それ以外の扶養義務は生活扶助義務と呼ばれ,自分に余裕があったら助けてあげなさいというほど軽い義務です。

 

2.生活保護法の保護の補足性
 生活保護法では,扶養義務者の扶養を補う形でおこなうとしています。保護の補足性といわれているものです。

 

 兄弟姉妹間の扶養する義務,成人の子が親を扶養する義務はどの程度のものが求められているのでしょうか。また,福祉事務所は,実務的にどういう手順で扶養義務を求めているのでしょうか。


(1)扶養義務の程度
 生活扶助義務としていて,余裕があれば扶養をお願いしたいというスタンスです。強制をされる義務ではないと考えています。
(2)扶養義務者への働きかけとその手続
 扶養義務者がいるかどうかを調べ,扶養義務者である親族に扶養ができるかどうかの問合せをします。普通には手紙での問合せになります。

 

3.まとめ
 扶養義務者である親族に多額の資産があっても,いかに高額の収入があっても,扶養する意思がなければ親族は扶養する必要はないわけです。また,扶養義務者の親族が扶養できる経済状態にあるにもかかわらず,扶養しないからといって生活保護をしないということはできません。

 

 本人の資産や収入が保護基準に該当すれば扶養義務者の意向にかかわらず生活保護費を支給しなければなりません。

 

4.参考として平成22年の保護率(出所:国立社会保障・人口問題研究所)
(1)日本全体の保護率
世帯1000世帯当たりの保護世帯数:約15世帯(1.52%)
※昭和26年の世帯1000世帯当たりの保護世帯数約24世帯(2.42%)
※戦後最低の世帯保護率は平成7年で世帯数約7世帯(0.7%)
(2)山梨県の保護率
世帯1000世帯当たりの保護世帯数:約6世帯(0.57%)

 

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