相続時精算課税制度とは,なにもの

 「親が子に財産をあげた場合,2500万円以内なら今は税金は1円もいりません。実際に親が亡くなったときに親が残した財産とこの生前もらった財産とを合わせたものの相続税を納めてくれればいいですよ」という制度を相続時精算課税制度と言います。

 参考 相続時精算課税制度のあらまし

   https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103_sankou.htm

 

(1)メリット

 最大のメリットは実際は贈与ですが,税金は贈与税ではなく,相続税を支払えばいいという点です。しかも,税金の支払いは「今」でなくて「相続時」でよいのです。

 

 この制度を利用しないと,生前に親の財産を分けてもらう場合には,贈与税を払わなければなりません。この税金は高額です。課税価格が1000万円を超えるともらった金額の半分を税金で持っていかれます。

 

 一方,相続税の税率は贈与税に比べれば格段に割安です。相続税の課税に使われる税率は3億円を超えた場合に,初めて税率が50%になります。その他基礎控除など優遇措置が適用になります。

 

(2)有効活用

 親の生存中に遺産分割が可能になるので,死亡後に発生する遺産分割をめぐる争いを軽減できるという点がすぐれていると思います。

 

 なぜこの財産をこの子にあげるのか,他の相続人である子に親は直接語りかけることができます。説明を受けた子も直接に親から事情の説明をされれば,納得しやすいのではないでしょうか。この点は,遺言よりすぐれています。

 

(3)制度利用にあたっての注意点

 

この制度を利用しても減税になるわけではありません

 あくまでも,将来の相続時には相続税相当額の支払いは必要になります。相続税としてみれば増税でもないし,節税でもありません。相続税の基礎控除額以内なら課税はありませんが,それを超えれば当然相続税が課税されます。

 

いったんこの制度の適用を受けますと事情が変わっても撤回できません。

 たとえば,養子が相続時精算課税制度の適用を受けた場合,たとえ養子縁組が解消されたとしてもこの制度に関しては相続・非相続の関係は残ります。養子縁組解消前に贈与を受けた財産について元養親の相続時に元養子は相続税を課税されることになります。

 

 長くなりましたので,遺留分減殺請求,相続放棄と相続時精算課税制度との関係については次回に述べようと思います。

 

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