戸籍から離婚歴を消すことは可能か。

京都府向日市鶏冠井町の筧勇夫さん=当時(75)=が青酸化合物で殺害されたとされる事件で、京都府警捜査本部(向日町署)に殺人容疑で逮捕された妻の千佐子容疑者(67)が、戸籍簿上、再婚した経歴を消した上で、筧さんと結婚していたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。
引用元:
Yahoo!ニュース - 容疑の妻、戸籍からバツ消す 京都・青酸殺害、再婚歴隠しか (京都新聞).

 

 現時点では,この事件の真相は明らかではありません。 戸籍から結婚歴や再婚歴が消える理由を調べてみました。

 

一 結婚から離婚までの戸籍の動き

 

(1)婚姻時

 結婚をした男女について原則的として新しい戸籍が作成(編製)されます。結婚によって姓を変更しない者が戸籍の筆頭者となります。夫・妻ともに両親の戸籍から除かれ(除籍され)ます。現在の日本では戸籍の筆頭者に男性がなることが多いです。 (戸籍法第16条 婚姻による新戸籍の編製)

 

(2)離婚時

 離婚をしたときには,結婚したときに姓を変えなかった者は婚姻時に作成した戸籍から除かれます。紙に記載することによって管理していた戸籍では,戸籍から除かれた者にバッテンをつけていました。

 現行の戸籍は,デジタルデータで管理していますので,バッテンは比喩的に使われています。 戸籍から除かれた者としては女性が多いので,今後は戸籍から除かれる者を妻として話を進めます。

 

(3)離婚による除籍後

①妻は結婚前の姓に戻り,結婚前の戸籍に戻るか,新しい戸籍を編成する。

②婚姻時の夫の姓をそのまま継続して使用して,新し戸籍を編成する。 (戸籍法第19条 離婚・離縁等による入籍又は新戸籍の編製)

 

参考ブログ:夫に死別した妻が再婚後に離婚。離婚後の姓の取扱い。

 

二 離婚の経歴の表示

 

 離婚の経歴は夫・妻の両方の戸籍の身分事項欄に表示されます。

①妻が除籍された後の夫の戸籍の身分事項欄に記載。 ②妻が入籍した又は,新しく編製した戸籍の身分事項欄に記載。

 

三 離婚の経歴を非表示とする戸籍

 

(1)移記

 元の戸籍の表記から必要な事項のみを新しく編製した戸籍に移すことを移記といいます。 移記がおこなわれるときに,元の戸籍の表示事項がすべて移記されるのではないということです。 単純にすべてを移記することによる煩雑さを避けるために,現在の身分事項に直接影響が及ばないものは移記しないのです。 移記がおこなわれるのは次のような場合です。

 

①戸籍の様式の改正,戸籍の再製などにともない元の様式の戸籍(原戸籍)から必要項目を移記。 ②他の市区町村に本籍地を移す転籍にともない転籍前の戸籍から必要事項を移記。

 
(2)転籍

 転籍とは本籍地を変更することをいいます。転籍は本人が届け出ることによってできるので,離婚歴・再婚歴を消すのに打って付けの方法になります。

 他の市区町村への転籍において,離婚事項や認知事項などは新しい戸籍に移記されません(戸籍法施行規則第39条)。

 また,転籍前にすでに除籍となって者のすべての事項も移記されません(戸籍法施行規則第37条)。

 

四 まとめ

 

 現在戸籍のある市区町村から他の市区町村に転籍をすることによって,離婚歴・再婚歴を戸籍上から消去することができます。

 しかし,これは見かけ上のことであって,その以前の戸籍には離婚事項はしっかりと記載されていますので,戸籍をさかのぼれば離婚歴・再婚歴は一目瞭然です。

 とはいえ,転籍前の戸籍について除籍謄本を取り寄せて調べることは,相続が発生でもしない限りめったにないでしょう。

 

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