遺言を使って後妻が夫の財産を奪取する計画の限界

筧さんの死亡直後に交際していた複数の男性に遺産の相続を約束させる公正証書遺言を求めていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。筧さんとの結婚前に交際し、死亡後に遺体から青酸化合物が検出された大阪府貝塚市の男性=当時(71)=らからも、公正証書遺言を得て遺産を引き継いでいた。

 

千佐子容疑者には少なくとも1千万円の借金があったといい、捜査本部は確実に遺産を得るため法的効力が強い公正証書遺言を男性に要求していたとみて調べている。

 

引用元: 複数男性に公正証書遺言求める 別の青酸検出死でも相続 : 京都新聞.

 

 この事件をきっかけに「公正証書遺言」が話題になっています。遺言による財産奪取の有効性とその限界について検討してみようと思います。

 

一 遺言の種類

 

 遺言は法律で決められた方式に則ってすることが必要です。それ以外の方法によってした遺言は無効です。

 おもに使われるのは,自筆証書遺言と公正証書遺言です。いずれの方式を使用してもその効力に違いはありません。

 

(1)普通方式

 

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

③秘密証書遺言

 

(2)特別方式

 

①危急時遺言

 ア 死亡危急時遺言

 イ 難船時遺言

②隔絶地遺言

 ア 伝染病隔離時遺言

 イ 在船時遺言

 

ニ 公正証書遺言

 

公証役場におもむき,公証人,本人,証人二名以上が参加して遺言書を作ります。

手続が自筆証書遺言に比べると煩雑でお金もかかります
しかし,間違いが少なく相続時に家庭裁判所の検認も不要であるなどの理由で公正証書遺言が推奨されています。

 

公正証書遺言は次の手続にしたがっておこなわれます。

 

①遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝える(口授)

②公証人が遺言者の言った内容を筆記する

③筆記したものを遺言者・証人に読み聞かせるか閲覧させる

④遺言者・証人が口頭で伝えた内容が正確に筆記されていることを承認をし,各人が署名・押印する。

(署名ができない場合は公証人がその理由を添え書きして署名に代えることができます)

 

三 遺言による財産譲渡の限界

 

(1)贈与では

 贈与は自分の財産を無償であげると申し出て,相手がそれではもらうと受諾することによって効力が発生します。「あげるわ」「もらうわ」ということだけで話が成立することになります。

 

(2)遺言では

①遺言者が死亡するまで遺言は効力が発生しません。

②遺言者はいつでも好きなときに誰の同意の必要もなく自由に以前の遺言を撤回することができます。

③遺留分がある相続人がいる場合は,全財産をあげるということは遺言では実現できません。

 

 つまり,遺言では遺言者が死亡するまで貰えるはずの財産はお預け状態ですし,財産を丸ごと受け取ることは難しい。

 遺言者の機嫌を損なえばいつ遺言を書き換えられてしまうかわからないという不安定な状態に耐えなければなりません。

 

四 まとめ

 

最初に掲げた事件において

 ①相続人が少ない,財産の多い男性を見合いの相手として指定していた。

 ②遺言を通じて財産の大部分を譲り受けようとした。

と言うことが報道されています。しかし,本当のことは,今一つはっきりしません。

 

相手方の男性を殺害してその財産を相続財産として受け取ろうと画策するのは割のよい計画でないという印象を持ちます。
 それであれば,生前に贈与を受ける方策を考えた方が割がいいのではないかと思いますが,真実は那辺にあるのでしょうか。

 

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