未来からの遺言の効力

自筆証書遺言においては,必ず日付を書かなければ遺言としての効果がありません。
それでは,遺言書作成の時より以降の日付を書いたときには,その効力はどうなるのでしょうか。
また,遺言書作成の時より以前の日付を書いたときには,その効力はどうなるのでしょうか。

 

1.自筆証書遺言の方式

 

遺言の方式は民法に厳格に決めてあり,その方式と違うと遺言としての効力が認められません。

 

自筆証書遺言の方式は次のとおりです。

①全文の自書
②日付の自書
③氏名の自署
④押印

 

2.日付の自書

 

1 自筆証書遺言において日付の自書が必要になる理由

 

理由として次のようなことが言われています。
①遺言書作成時点において遺言能力,意思能力があったかを判断するために必要。
②複数の遺言書が出てきた場合に,どちらの遺言が直近のものかを判断する必要。

 

2 日付の特定

 

日付は特定することが必要です。
たとえば,平成27年1月吉日という日付は何日であるか特定できないので,無効とされます。
しかし,「70歳の誕生日」,「定年退職の日」という記載でもよいとされています。何年何月何日と具体的にわかるからよいということです。

 

3 記載してある日付と実際に記入した日が違する場合

 

実際に記入した日が遺言書に書いてある日付と違っている場合の効力が問題となります。

 

(1)実際に記載した過去の日付を後日に記入

判例によりますと,その日付(実際に遺言の内容を書いた日)が遺言の成立日とされました。(昭和52年4月19日最高裁判決)。

 

(2)実際に記載した日でない過去の日付を後日に記入

前項の判例から推測するに,特別の事情がない限り,遺言書に書かれた日付が遺言の成立日とせざるを得ないのではないでしょうか。

 

(3)将来の日付を遺言書に記入(本人が生存して記入した日を経過したとき)

この時には前項と同じく,特別の事情がない限り,遺言書に書かれた日付が遺言成立の日とされるのではないでしょうか。

 

(4)将来の日付を遺言書に記入(記入した日より以前に本人が死亡したとき)

この時には記入した日にちを特定しようがありませんので,特別の事情でもない限り,日付の自書を欠く遺言書となり無効ということになるのではないでしょうか。

 

3.まとめ

 

せっかくの遺言書が無効とされないためには,実際に遺言を作成した日付を記入することをお勧めします。そして,日付の表記は暦の日付を使用することも大事です。

 

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