自筆による遺言書(自筆証書遺言書)の保管場所

今回は,自筆証書遺言の保管場所について考えてみることにします。

 

エドガー・A・ポーの短編に「盗まれた手紙」という作品があります。 ものの保管場所という話題になると,いつもこの作品のことが頭に浮かんできます。興味のある方はぜひご一読ください。面白いですよ。

 

警察の必死の捜索にもかかわらず盗み取った人物の自宅の手紙の隠し場所がわからない。そこで,オーギュスト・デュパンが登場して見事に手紙の隠し場所を発見する。「手紙を隠すために、それをまったく隠そうとしない」策を講じていると見破ったのだ。古びた状差しに隠すのではなく置かれていたのである。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%97%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%89%8B%E7%B4%99

 

1 自筆証書遺言の保管場所

 

最近はご自分で遺言書を作る方が増えてきていると聞きます。書店に行きますと自筆証書遺言の書き方について指南しています。このブログでも何度か取り上げています。

たとえば,ブログ「書き置きを残しておけば,自分の死後に財産を寄付することができるのでしょうか。

しかし,遺言書の保管場所について触れたものは少ないようです。いま手元にある一般向けの遺言書の作成について解説された書籍を数冊確認してみましたが,自筆証書遺言書の保管場所について触れてあるものは,ありませんでした。

 

2 自筆証書遺言の保管場所選定の基準

 

遺言書はすくなくとも死後に発見されなければ書いた意味がありません

かといって,人目に触れる場所ですと相続人の間に波紋を呼ぶ恐れもありますし,改ざんされる恐れも出てきます。

 

3 遺言書の保管場所としての貸金庫の適否

 

貸金庫は貴重なものを保管するための場所として使われています。大切な遺言書の保管場所として,まず頭に浮かぶのは貸金庫ではないでしょうか。

 

しかし,貸金庫は厳重に保管されるが故に遺言書の保管場所に適さない一面があります。本人以外が貸金庫を開ける(開扉する)ためには厳格な手続を要します。

 

具体的には,相続人全員の同意が要求される場面が出てきます。このため,相続人間に争いがある場合には,貸金庫を開けて自筆証書の遺言内容を確認して,遺言の内容を執行できなくなることも考えられます。

 

こうした点からは,相続人間に争いがある場合に,貸金庫を遺言書の保管場所とするのは好ましくありません

 

以前にこのことについて私のブログで触れた箇所があります。 ブログ「自筆証書による遺言書の保管場所」 この中で,貸金庫の利用を勧めた部分があります。この部分について私のミスリードでした。お詫びして修正いたします。

 

4 まとめ

 

自分で遺言書を作成した場合,作成した自筆証書遺言書の保管場所は

①亡くなった直後に必ず発見される場所

②生前にはできるだけ人目に触れない場所 が最適だと言えます。

さらに,最も重要なのは遺言書があるという事実を日頃から家族に伝えておくことです。

 

貸金庫と相続についての詳細は,長くなってしまいましたので次回に取り上げる予定です。

 

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