外国に住んでいる日本人は成年後見制度を利用できるでしょうか。

Q:成年後見人が外国へ転勤になったために,成年後見を受けている本人を同行したい。ついては,成年後見を取り止めることができるかという問い合わせ受けました。
A:一度開始した成年後見は,本人の判断能力が回復するか,本人が死亡するまで続けなければならない旨説明をしました。担当の家庭裁判所と外国転居帯同について,よく打合せをすることをおすすめしました。

 

日本に住む外国人,外国に住む日本人の成年後見制度の利用について考えてみたいと思います。

 

1.日本に住む外国人

 

このことについては以前投稿しています。

 

(1)法定後見制度の利用(法の適用に関する通則法5条,35条)

日本に住む外国人は,法定後見開始の審判を日本の家庭裁判所で受けることができます。また,家庭裁判所に成年後見人を選んでつけてもらえます。
保佐,補助についても同様な取扱になります。

参照ブログ:「外国人は日本で法定後見を受けられるか。

 

(2)任意後見契約の利用(法の適用に関する通則法7条,8条)

日本において任意後見契約を結び,公正証書を作成することが可能です。

参考ブログ:「外国人は任意後見契約ができるか。

 

2.外国に住む日本人の成年後見制度(法の適用に関する通則法5条,35条)

 

(1)法定後見制度の利用(法の適用に関する通則法5条,35条)

外国に住む日本人は成年後見開始の審判を日本の家庭裁判所で受けることになります。保佐,補助についても同様です。
ただ,外国に住む日本人は居住国の法律にも従う必要があります。その国の国際私法の規定も関係してくることになり,少々厄介です。

 

(2)任意後見契約の利用

居住しているその国の法律が任意後見契約を認めているかどうかに寄ります。認めていなければ任意後見契約は利用できません。

 

3.まとめ

 

日本に居住する外国人は,任意後見契約を含めた成年後見制度を利用できます。
外国に居住する日本人は,成年後見制度の利用は可能ですが,任意後見契約については居住国の法律制度によります。

 

今後,外国人,外国への居住などの絡みをともなった成年後見が増加することが予想されます。

 

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