あなたの墓地はどのタイプ?

現在,自分の家の墓地をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。また,これから墓地を買おうかなと考えている方もいらっしゃる。
墓地にもいろいろな種類や・タイプがあり混乱してしまいます。
そこで今回は,墓地の種類・タイプと相続についてみていこうと思います。

なお,この記事は愛媛大学文学部の竹内康博教授の論文「墓地所有権・墓地使用権にまつわる法的諸問題」(月報司法書士No.520)をベースにしています。

1.墓地に関係する用語の法律上の定義

墓地,埋葬等に関する法律(墓埋法と略)による定義は次のとおりです。

(1)施設

①墓地
墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域。
②墳墓
死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設
③納骨堂
他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設
④火葬場
火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設

以上が墓埋方が定義をする施設に関する用語の定義です。(墓埋法2条)
次の墓所については墓埋法での定義はありませんが,イメージが湧きやすいので付け加えておきます。

⑤墓所
墓地内の限定した区域で墓石・墳墓などの施設を設置する区分。

(2)葬送

①埋葬
死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ること
②火葬
死体を葬るために、これを焼くこと

(3)用語のまとめ

日常「自分の墓地」と言った場合は,葬送の場所として墓所のことを指しています。

そうした区別をはっきりさせるために,墓埋法の用語を使えば,葬送の儀式は以下の例のように表されます。
お寺の墓地の一角にわが家の墓所があり,その墓所内に設置された墳墓に遺体を埋葬したり,火葬した焼骨を埋蔵する。

2.墓地の所有権に基づく分類

公有墓地と私有墓地

登記簿上の所有権に基づく分類では次のようになります。

(1)公有墓地

国又は地方公共団体が所有する墓地のことです。千鳥ヶ淵戦没者公苑などがその例です。

(2)私有墓地

①個人有墓地
自分の所有地を墓地としているもの。共有しているものもあります。現在は新設できませんが,全国各地に多数例があるようです

②寺院有墓地
宗教法人などが所有する墓地です。

③公益社団・公益財団法人有墓地
公益社団,公益財団が所有する墓地です。

④株式会社有墓地
現在は認められていない。

⑤集落有墓地
不動産登記簿では一村総持・村持などと記載。

3.墓地の経営主体から墓地使用権の分類

経営主体から墓地使用権を分類すると次のようになります。

①集落営墓地使用権
②寺院営墓地使用権
③公営墓地使用権
④霊園営墓地使用権

4.墓所の相続

墓所の所有形態,墓地使用権の種類によって,相続するときの権利関係が変わってきます。

墳墓の所有権の相続に関しては民法(897条)にその規定があります。相続の順位は次のようになります。

①亡くなった人が指定した祭祀主宰者
②慣習に従って祖先の祭祀を主宰するべき者
③家庭裁判所が定める者

ここで言う慣習とは「旧法時代の家督相続的慣習ではなく,新民法施行後新たに育成される慣習」ですので注意が必要です。「被相続人と親族関係ないあることや,氏を同じくすることを必要と」しない。(昭和24年10月29日大阪高裁決定)

5.まとめ

墓地を誰が所有しているのか,墓地を誰が経営しているのかによって,相続する権利の内容が違ってきます。
又,墓所の相続については法定相続人とは違う観点から祭祀主宰者が相続することになっています。

 

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