同じ戸籍に名があれば,みんな親子や兄弟姉妹でしょうか。

 戸籍に名がある者同士は親子か,兄弟姉妹の関係があるのでしょうか。それについて考えてみます。

1.子どもの氏と戸籍

 子どもは氏(姓あるいは名字のこと)は両親が婚姻中か離婚しているかによって変わります。

(1)婚姻中の子の氏と戸籍

 婚姻(結婚)をしている子供の氏は両親と同じです。また両親と同一の戸籍です。

(2)離婚した夫婦の子の氏と戸籍

 離婚がおこなわれても子どもの氏,戸籍は変わりません。

2.離婚による氏と戸籍の変動

(1) 夫の氏,戸籍(正確には戸籍の筆頭者について)

 離婚がおこなわれても夫の氏,戸籍は変わりません。

(2)妻の氏,戸籍(正確には婚姻時に氏を変えた配偶者について)

 妻は婚姻前の氏か婚姻時の氏かどちらかを選択できます。
 婚姻前の氏に戻るときは婚姻前の戸籍があるときにはその戸籍に戻ります。
 婚姻時の氏を名乗るときや,婚姻前の戸籍がなくなっているときは,新しい戸籍を作ります。
 (民法767条,戸籍法19条1項,戸籍法77条の2)

(3)両親が離婚した子の氏の変更
ア 離婚の場合の子の氏,戸籍

 離婚がおこなわれても子どもの氏,戸籍はそれだけでは変動はありません。

 父親が戸籍の筆頭者だの場合には,父と子は同一の氏であり,同一の戸籍です。
 母と子は氏は異なり,戸籍も別となります。
 婚姻時の氏を離婚後の氏として選択しても,それは同じ氏ではないとされます。母の名乗る氏は民法上の氏ではなく,呼称上の氏として区別されています。

イ 離婚の場合の子の氏の変更手続き

 子の氏を母と同じ氏に変えるためには手続が必要になります。(民法791条,戸籍法98条1項)

 子ども本人,子どもが15差未満の場合は親権者が家庭裁判所の許可を得て,入籍届を提出します。
 この手続きをおこなうことにより,母親と子どもの氏は同じものとなり,戸籍も同じ戸籍となります。
 今度は,父親は子と氏が相違すると同時に,戸籍も別となります。

参考ブログ:「子の氏の変更について考える。

3.婚姻の場合の配偶者の氏,戸籍

 婚姻に際して夫の氏を名乗る場合,夫の戸籍に入ります。(妻の姓を名乗る場合は,妻の戸籍に入ります。(民法750条,戸籍法74条1号)

参考ブログ:「夫に死別した妻が再婚後に離婚。離婚後の姓の取扱い。

3.同一戸籍の家族関係

 同一戸籍の家族関係の一例を示します。
 この例では再婚相手の妻と前妻の子が養子縁組を結んでいないとして考えています。

①親子同氏の原則
 夫に再婚前に離婚した前の妻との子がいます。夫と子は同じ氏であり,同じ戸籍です。
②夫婦同氏の原則
 夫が再婚し,妻が夫の氏を名乗ることとしました。妻は夫と同じ氏であり,同じ戸籍です。
③同氏同籍の原則
 夫も妻も子も同じ氏であり,同一の戸籍です。

 つまり,再婚時に夫側に子があり,その戸籍に再婚時に妻が入籍するという事例です。

4.まとめ

 先ほどの例でも分かりますように,同一の戸籍にある者が必ずしも親子や兄弟姉妹関係があるとは限りません。

 この戸籍で戸籍の筆頭者である夫が死亡すると,親子でもない,兄弟姉妹でもない者同士が同一戸籍に同居する事態が発生します。父の配偶者である者と夫の子である者とは姻族関係にあると言います。
 この戸籍の解消の方法については,次回とします。

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