国籍法からみた二重国籍の解消手続(蓮舫氏の場合)

 蓮舫氏のケースを例として重国籍の解消手続について考えてみました。

1.重国籍

(1)発生原因

 国籍が違う男女の間に生まれた子は重国籍者となる可能性があります。また、外国で出産した場合にも重国籍になる場合があります。

 生まれた子の国籍について、出生地をその子の国籍とする生地主義両親の国籍を獲得する血統主義とがあります。
 血統主義はまた、父系優先血統主義と父母両系血統主義の両方の考え方があります。

 たとえば、アメリカで生まれた子は自動的にアメリカ国籍を取得します。日本では両親のいずれか一方の国籍が日本であればその子は日本国籍を取得します。
 日本国籍夫婦の子がアメリカで生まれた場合は、その生まれた子は日本国籍とアメリカ国籍の双方の国籍をもつことになります。重国籍の発生です。

(2)蓮舫氏の重国籍発生理由

1967年(昭和42年11月28日出生)
 蓮舫氏は台湾国籍の父と日本人の母とのことして生まれています。
 出生当時、日本は父系優先血統主義であったため、日本国籍は付与されず台湾国籍のみでした。

1985年(昭和60年1月1日改正国籍法施行)
 父系優先血統主義を改め父母両系血統主義の改正国籍法が施行
 改正国籍法の特例にしたがい届出によって日本国籍を取得しました。この時点で重国籍が発生しています。

(国籍の取得の特例) 昭和59年5月25日法律第四十五号附則
第五条 昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
 前項に規定する届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。

2.重国籍の解消手続

(1)国籍の選択(国籍法14条1項)

 日本の国籍法は国民が複数の国籍をもつことを認めていません。
 20歳前に外国籍を得た場合には22歳になるまでに、20歳以降に外国籍を得た場合には2年以内に日本国籍か外国国籍かのいずれかの国籍を選択しなければなりません。ただし、罰則規定はありません。
 

(2)国籍の選択の方法(国籍法14条2項)

外国の国籍を離脱する方法

選択の宣言をする方法
 「日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言」をします。

(3)選択の宣言により国籍の選択をした場合の義務(国籍法16条1項)

 残っている外国の国籍を離脱するように努力する義務が生じます。ただし、罰則規定はありません。

(4)蓮舫氏の国籍の選択の事実関係

以下につき、2017年7月18日の会見で明らかになった。
①蓮舫氏は20歳以前に日本国籍を取得していますので、22歳に達する前に国籍の選択をする義務があります。
②蓮舫氏は国籍の選択をしないまま、22歳になった平成元年11月28日から平成28年 10月6日まで国籍選択の義務を怠っていた。
③平成28年 10月7日に国籍選択の義務を履行した。
④外国籍離脱の今後の努力義務はなくなったと思われる。
 「日本政府が台湾との外交がないこを理由に、台湾当局発行の証明書が不受理となったため、行政指導に従い日本国籍の選択の宣言を行った」といういきさつからして、台湾籍の離脱の方法は閉ざされている。台湾の外交的地位が変化しない限り難しい。

(5)台湾の外交的地位

 中華人民共和国と中華民国の取扱いは外交上の難題です。
 台湾籍を日本として一国の国籍として扱うのかどうかという見解がはっきりしていないことが混乱のひとつの原因となっていいます。

 台湾の「国籍」が「外国の国籍」でないかどうかという日本政府の法律解釈については、以下のページが参考になるかもしれません。
 二重国籍問題が導く日本版・台湾関係法  多田 恵(本会理事・亜細亜大学非常勤講師)

3.まとめ

 蓮舫氏の国籍選択の義務違反であったのは事実関係からみて実務的には明白です。ただし、罰則規定はありません。

 

 その事実、その違法性の軽重をどう評価するかは別の問題です。
 さらに進んで「国籍唯一の原則」に妥当性はあるのかなどは、政治的な判断にかかわる領域です。

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