成年後見制度における診断書の改訂と本人情報シート新設について

 平成31年2月19日(火)甲府家庭裁判所において、成年後見制度を申し立てる場合の書類の改訂について説明会がおこなわれました。以下にそのことの概略を示します。

 なお、詳細につきましては甲府家庭裁判所までお問い合わせください。

 

1.成年後見制度おける書類の改訂

 今回の改訂は以下の二点となります。

①診断書が改訂になります。

②「本人情報シート」が新設されます。

 

2.診断書式の改訂

 医師が診断書作成するに当たって、福祉関係者等が保有している情報を反映させることができるように、医師の診断書書式を改訂しています。福祉関係者等の保有の情報としては、本人のおかれた家庭的・社会的状況等に関する情報などが想定されています。

 

 診断書の大きな改訂点は以下の二点です。

①判断能力についての意見欄の見直し

 

 一部表現の改訂。

 チェックボックスの順番を今回従前の逆の順番として、「判断能力有り」から「判断能力なし」の順番に改訂。

 従来書式にあった補助相当、保佐相当、後見相当の記述を削除。

 

②判断能力判定の根拠を明確化するための見直し

 

 自由記載欄の新設

  判断能力判定の根拠を具体的に記載できるように自由記載欄を設けています。

 

3.本人情報シートの新設

(1)本人情報シートの作成者

 ソーシャルワーカーとして本人の介護・福祉を担当している者。

 例えば、介護支援専門員・相談支援員・病院や施設の相談員・地域包括支援センター職員などです。

 

 なお別途、申立をおこなう親族には同様な情報を後見等開始の申立書に記載していただきます。

 

(2)本人情報シートの活用

①医師が診断書を作成する際の補助資料

 後見等開始の申立をおこなう者が福祉関係者に作成を依頼し、診断書作成依頼時に医師に原本を提出。

 医師に原本を提出前に原本の控えを申立人はとっておき、申立書に添付します。

 

②中核機関における利用

 支援内容・後見人候補者の選定・後見方針の検討・後見事務の見直しの場面での活用を想定。

 

(3)後見等開始の申立てにおいて必須書類なのか

 本人情報シートの作成・提出は必須ではない。

 とはいえ、家庭裁判所としては作成・提出されることを期待しています。

 

(4)本人情報シートの作成の要点

 作成者の主観や評価を加えず、客観的な事実をそのまま記載。

 医師に本人の家庭的・社会的状況等に関する情報を伝えるための資料となります。

 

4.新書式の診断書導入のスケジュール

平成31年3月31日まで

 家庭裁判所においては従来の診断書書式を配布、後見等開始の申立てにおいても従来の診断書書式を使用。

平成31年4月1日から

 家庭裁判所において新書式の診断書を配布開始。申立てにおいては新書式の診断書および本人情報シートを利用。

 ただし、当分の間は従来の旧書式による提出も可能です。

 なお、本人情報シートがなければ後見等開始の申立てができないということはありません。

 

5.まとめ

 成年後見制度の該当類型判断について医的判断のみならず本人の家庭的・社会的状況等も反映させるために後見開始等の申立て書式の改訂がおこなわれました。

 医師の診断の補助資料として本人情報シートを新設するとともに、本人情報シートを反映させ、判断能力判定の根拠を明確化するため診断書を改訂します。

 書式の改訂は本年四月以降です。

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