サービス付き高齢者住宅は終の住処となりえるか(1)

 老後の安心を求めて利用者が増加しているサービス付き高齢者向け住宅を,介護を受ける最後の場所と考え入居を検討する人がいます。


 サービス付き高齢者向け住宅の現況はどうなっているのか,どういったものか,そして老後の安心をえられる終の住処として適当な住宅と言えるかを見ていきます。

 

1.現況
 サービス付き高齢者向け住宅は,今後の高齢者の増加,高齢の単身生活者・夫婦生活者の増加を見込み,「高齢者用の住宅不足」・「介護度の低い人が特別養護老人ホームに申し込んでいる問題」を解決するための制度として2011年10月にスタートしました。

 

 平成25年1月末現在の登録件数は全国では2777件,8万9219住戸です。ここ山梨県では35件の登録があります。住戸数は1000戸を大幅に下回ります。甲府市が9件,甲斐市8件と続きます。登録は10市町村でそれ以外の市町村では登録はありません。

 

2.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
 サービス付き高齢者向け住宅はサ高住と略して言われることもあります。賃貸契約が基本です。単純化していえば都道府県から基準に合格しているというお墨付きをもらってサービス付き高齢者向け住宅として登録した賃貸アパートということになります。部屋を借りているというのが元の姿です。

 

 適合基準として高齢者の住宅にふさわしいと考えられる基準が設けられています。提供サービス面と住居設備の両面から規制をされています。

 

(1)提供サービス面

 入居者に対する安否確認と生活相談のサービス提供が最低限義務づけられています。毎日定期的に本人の様子を見に巡回・声かけをするとともに,日常生活一般のことも含めた生活相談に応じます。ここまではどこのサービス付き高齢者向け住宅に入居しても同様なサービスが受けられますが,これ以外のサービスは入居先事業所によって違ってきます

 

 最低限義務づけられている以外のサービスは入居先事業所によりそれぞれです。食事の提供,家事手伝い,入浴介助などのサービスがなされるところもあります。

 

 義務づけられいるサービス,それ以外のサービスの両者とも入居先の事業者が直接運営することもありますが,外部の業者に委託していることもあります。

 

 入居先の選定について検討するときとくに注意を要することがあります。入居先の事業者が提供していないサービスが入居先と同一建物内にあるためにサービス付き高齢者向け住宅に入居すると自動的に受けられると勘違いしてしまうことです。入居先から違う場所の施設へ通所あるいは施設からの訪問を受けるというイメージでとらえてください。同じ建物内にあるのは「たまたま」そうだというだけです。

 

 つまり,デイサービス,訪問介護などの介護保険によるサービスが入居にともなって受けられる入居先もありますが,一般的には必要であればデイサービスを提供する業者,訪問介護を提供する業者と入居契約とは別に契約をする必要があります。当然,入居の賃料とは別の費用がかかります。

 

(2)住居施設面

 共同住宅内において住居として個室を提供すること。床面積は原則25平方メートル以上。段差のない床・手すりの設置。廊下の幅などが詳細に決められています。

 

 サービス付き高齢者向け住宅がもつ終の住処としての安心度について次回考えたいと思います。

 

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