戸籍を移動することの損得

 戸籍を移動することを転籍と言います。転籍はいつでも,何回でも,地番があるところであればどこにでも可能です。

 確かに,遠方への転居を繰り返す必要がある人から見ると,戸籍地が住所と同じところにあれば住民票と一緒に戸籍謄本も取れるので何かと便利です。しかし,戸籍地の頻繁な移動がかえって仇をなすこともあります。

 たとえば父親が亡くなったときには,遺産分割の協議書を作成しなければならない。この時には父親の出生から死亡までの全部の戸籍が必要になります。それぞれの本籍ごとの除籍謄本が必要になります。

 除籍謄本の発行には手数料がかかります。現時点では1通につき750円です。転籍が頻繁であればその回数分発行手数料がかかります。実際にはそれ以外に改製原戸籍というものも取らなければならない。発行手数料だけでもすぐ1,2万円にはなってしまいます。

 お金だけの出費ではすみません。それぞれの戸籍があった市役所に郵送で除籍謄本を請求しなければなりませんが,意外と手数と時間がかかってしまいます。

 私が取り扱ったケースは相続時の遺産分割協議書の作成にともなう相続関係図の作成においてではなかったのですが,法定後見の申立にともなう親族関係図の作成において取り寄せ除籍謄本が増えてしまい,思わぬ時間と費用がかかってしまいました。

 頻繁に戸籍を移動していて,住所も県外移動を繰り返した後に自家用車の譲渡をするときにも思わぬ手数がかかることになります。ほかにも過去に遡って戸籍が必要になるときがままあります。

 以上のようなことを考えますと転籍で戸籍を頻繁に移動することはできることなら避けたほうがいいようです。

 

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