認知症患者の各種保険給付金などの受取方法(生損保の指定代理請求制度)その2

 前回,成年後見人でなくても認知症の本人に代わって保険金などを受け取ることが可能な制度として生損保の指定代理請求制度があるというお話をさせていただきました。今回はその概要をみていきます。なお,詳細は個々の保険会社により取扱いが変わる場合もありますので必ずご自分が加入している保険会社にご確認ください。

 


(1)請求ができる場合
 以下のいずれかに該当する場合などには請求できます
ア 認知症などの精神上の障害・意識不明により本人の意思表示が困難な状況
イ 本人が癌などの病名・余命期間の告知を医師から受けていない状況

 

(2)対象となる保険金等の範囲
 被保険者が受取人となる保険金など
ア 高度障害保険金
イ 障害給付金
ウ 入院給付金
エ 手術給付金
オ 満期保険金
カ 年金
キ 生存給付金
 特殊なものとして保険料払い込みの免除(保険契約者と被保険者が同一のものであるとき)

 

(3)代理請求ができる人
 あらかじめ契約者が指定した者か保険会社の約款に定めた順序によって決定する者のいずれか
ア 保険契約者が被保険者の同意を得て前もって指定した人が請求者となる。契約者が指定できる代理請求者の範囲は保険会社があらかじめ定めています。
イ 被保険者との続柄のあるもののうち保険会社が定めた順序に従って請求者が自動的に定まる。

 

(4)成年後見人と代理請求人との関係
 成年後見人の請求が優先します。損害保険会社約款では指定代理請求制度による請求人の請求は成年後見人などがいない場合にのみ有効であるとなっています。

 


 もし現在自分が加入している生命保険に指定代理請求制度が適用されていなければ,指定代理請求特約の中途付加を生命保険会社に申し出ることをお勧めします。保険料はかかりませんので申し出て手続をするだけで済みます。損害保険については長期契約でないものは契約時に組み込まれていますので特別な手続はいりません。自分が加入している契約の内容が不明であればご加入の生命保険会社,損害保険会社にご確認ください。

 

 成年後見人が選任されるまでには時間がかかります。治療費の支払い・生活費などの支払いは急を要します。ぜひ,指定代理請求制度が利用できるようにしておいてください。

 

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