後見監督人を指定した旨の家庭裁判所の突然の通知に後見人が戸惑い。

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  http://www.mbs.jp/voice/special/201310/08_post-363.shtml
 
 開業医である天野さんは母親の後見人も務めている。後見人の財産管理のための日々の記帳や家庭裁判所への報告なども怠ることはなくおこなってきた。
 
 そうしたなか,突然裁判所から次のような通知が天野さんの元に送られてきた。
 [裁判所からの通知]
 「職権により,次のとおり審判する。主文,成年後見監督人として次の者を選任する。」

 

 天野さんは自分が家庭裁判所から信頼されていないと感じ,成年後見監督人を選任した理由をたずねた。
 [裁判所の回答]
「監督人を選出した理由は,天野さんの父親が亡くなり,遺産相続により財産が増えたためです」というもの。

 

 父親が亡くなり,母親が1000万円を新たに相続をした。とは言え,監督人をつける基準については一切明かされなかった。
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 成年後見監督人は,後見人の仕事を監督することが主な仕事です。家庭裁判所が必要だと判断したときに,選ばれます。本人やその親族,後見人も申立ができますが,家庭裁判所が申立とは関係なく独自に判断することもあります

 

 法定後見においては,後見人の監督は通常は家庭裁判所が直接おこないますので,後見監督人が選ばれるのは特別の場合ということになります。この点は,任意後見制度とは異なります。任意後見制度では,後見監督人が選任されて初めて任意後見契約が開始します。後見監督人への報酬は,支援を受ける本人(被後見人)の財産の中から支払う必要がありますので,後見監督人の選任はその点からも限定されるのではないでしょうか。
 
 この記事は,家庭裁判所が独自に判断をして,後見監督人をつけたという事例です。

 

 「被後見人の資産が多い。管理が複雑で不慣れである。財産の混同が起きる危険性が高い。」などが後見監督人を選任する具体的な判断基準になると思われます。この記事のケースでは,財産が1000万円増えたことにともなって,後見監督人が必要と裁判所は判断したと記事にあります。記事の通りだとすると,この家庭裁判所の判断には少し違和感をもちます。

 

 開業医という後見人の職業からすると,1000万円という金額は,年収と同等あるいはそれ以下の金額ではないでしょうか。相続財産によってお母さんの資産が高額になったとも思えません。家庭裁判所もその義務はないかもしれませんが,もう少し後見人の立場に立った丁寧な説明があってもよかったのではないか,という印象を受けた記事でした。

 

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コメント: 8
  • #8

    神宮司公三 (月曜日, 15 2月 2016 20:28)

    神宮司行政書士事務所の神宮司です。
     被後見人(支援を受ける人)の金融資産を信託銀行に預けて,必要なお金をすこしずつ後見人(支援する人)に信託銀行を通じて渡す制度です。
    詳しくは家庭裁判所のこの散らしをご覧ください。
    http://www.courts.go.jp/vcms_lf/210034.pdf

  • #7

    奥田 健雄 (月曜日, 15 2月 2016 17:48)

    裁判所からわからないことを言ってきています
    ネットで出ていた<後見制度支援信託>について教えてください

  • #6

    神宮司公三 (日曜日, 01 2月 2015 11:58)

    家庭裁判所の事務処理に,不満をお感じになっていらっしゃるようですね。私にはその事実関係がわかりませんので,判断のしようがありません。
     家庭裁判所とよく話し合い,監督人を必要とされる理由などをお尋ねください。

  • #5

    後見人 (日曜日, 01 2月 2015 11:32)

    昨日裁判所から事務報告を見て45万円銀行からおろされているが領収書を出すようにと通知がきましたが45万円は以前家裁が報酬付与許可した通知の金額であり45万円引き落とした後も連絡表でほうこくしているのにも限らずこんなことを聞いてくるのは全く家裁に対して不信感がのこり挙句の果てに監督人を付ける用紙がきましたこの制度本当に大丈夫?このままでは家裁のしじには従えません

  • #4

    神宮司公三 (日曜日, 01 2月 2015 10:51)

    金融機関が預金を預かり,裁判所の許可をえて預金を成年後見にが引き下ろすものです。多額な預金・現金を成年後見にの手元に置かせない工夫です。
     詳しくは,下記にある裁判所のチラシをご覧ください
      http://www.courts.go.jp/vcms_lf/210034.pdf

  • #3

    成年後見人 (日曜日, 01 2月 2015 10:45)

    後見制度支援信託とは何ですか?

  • #2

    神宮司公三 (日曜日, 01 2月 2015)

    神宮司行政書士事務所の神宮司です。
     家庭裁判所は,「後見制度支援信託」を積極的に利用しはじめています。この制度は増大する家庭裁判所の成年後見人の監督業務を軽減する狙いがあるのではないかと推測しています。
     成年後見監督人の利用については,家庭裁判所の姿勢はあまり積極的ではないと思います。

  • #1

    成年後見人  (土曜日, 31 1月 2015 22:05)

    最近の家庭裁判所は忙しいのか後見事務監督が出来てないと思います
    そこで私が思うのは自分たちができていないので外部委託監督人を
    (被後見人の費用で)付けるのではないでしょうか?後見人から見ると
    怠慢なのか制度が悪いのかわかりませんけどこんな裁判所にあずけていいのでしょか?